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魔獣イラストレーターと最強のFランカー  作者: 成若小意
第四章 クラン抗争と追いかけっこ     (推定累計ポイントAランク)

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4-6  木製冒険者

「そう言えばシオンが怒っているところって見たことないよね」


 仰向けに寝転がったままのゴーシュがそう言いだす。


 今は森で木の冒険者との対戦が終わり、後片付けをしているところだ。この魔物、厄介なことに人の持ち物をなぜか持っていく性質がある。大体は防げたが、何体かはしれっと持ち出していっており、退治した後には持ち出されたものがあちこちに散乱していた。シオンはそれを回収しているのだ。


 ゴーシュの方はジープに仰向けに倒れ込み、先ほどまでぷんぷんと怒っていたところだった。


 この木の魔物はすでにイラスト集にも載せてあるので今更描く必要のなさそうなものだったが、レアな色が出るという噂があったので、レア色出現までシオンに粘ってもらっていたのだ。しかし悪い意味でシオンの粘り勝ちというか、木の冒険者の魔物の方が先に音を上げ、何も出現しなくなってしまった。


 そのことに対し、駄々をこねる子供のように「なんで出ないの~」と怒っていたのをシオンがなだめていた流れでの冒頭の発言だ。


「まあ惜しいところまで行っているのに成果が得られないというのは、フラストレーションがたまるよな」


「じゃあ今シオンも怒ってるの?」


「いや、別に」


「ふ~ん。前からそうだったよね。最弱のFランカーとかって悪口言われても怒らなかったし」


「悪口か。的を射ているなら改善すればいいだけだし、見当外れなら何のダメージもない。言葉だけなら実害もない。そもそも人の感想より自分の感想の方が大事だからな。ある意味自己中心的なんだろう」


「じゃあ、実害があった場合は? 襲われそうになったり」


「それは怒る怒らないではなく、どう対処すればいいかという問題な気がする」


「勝てるか勝てないかみたいな? 武闘派だね~。じゃあ、弱い者いじめは? マリウス君みたいな子たちが悪い大人にいじめられているとか」


「それはもちろん不快だ。でも残念なことに理不尽なことは世の中に溢れている。全部をどうにかできるわけでもない。……そうだな、あとは身内をバカにされるのもあまり好きではない」


「そりゃそうだよね。よかった。シオンも人並みの感情をもっていたみたいで」


「当然だ。お前は俺を何だと思っているんだ」


「そうだね~。シオンって大体のことは自分で解決できちゃうから、怒る前に済んじゃうんだろうね」


「どうだろうな。ところでこの木の魔物は今回で諦めていいか?」


「いやだ~!」


「ゴーシュはもっと感情をコントロールした方がいい」


 そう言って片付けが終わり、ジープを出発させた。




 ジープの真下にレア色が出ていることに気が付かないまま。

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