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魔獣イラストレーターと最強のFランカー  作者: 成若小意
第四章 クラン抗争と追いかけっこ     (推定累計ポイントAランク)

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4-4  キファランガ

「なんの話だったか? ああそうそう。溶ける怪鳥がなぜ一斉に逃げたかって話だったな」


 シオンは話しながら下草を刈っていた。光も届かないほどの森の中なのに、なぜこんなにも植物が生えているのかと疑問に思いながらも、せっせと草を刈る。


「これは憶測に過ぎないが」


 そう前置きをし、解説を始める。


「ゴーシュに言われるまでは色の違いなんて気がつかなかった。流石絵描きだ。感心する。だが、違いがあると言われてそう認識してから怪鳥たちを見上げてみたら、なんとなくだが区別できるようになってきたんだ」


 話しながらも手は動かす。これはなにも雇い主ゴーシュが通りやすいように道を作っているわけではない。


 自分の命を守るために、せっせと足場を作っているのだ。


「それでまあ、いつも通りよく観察してみた。あの餌になる鳥みたいなやつをボーガンで打ち上げてみたとき、あることに気がついたんだ。餌に食いついているのは、ゴーシュの言うところの『鮮やかな色をした方』だけなんじゃないかなと」


 シオンが足場を作っている最中、たびたび影が動く。というよりか、襲ってくる。たびたび動く影。それは、木でできた、()()()


 木が冒険をしているわけではない。おそらく木が人を模しているのだろう。


「最初は、単に強い個体だから餌も取れるし毛並みがいいのかとも思った。だが、くすんだ色の方は、餌に見向きもしない様子なんだ。ただ、単に鮮やかな怪鳥を追いかけている感じはした。

 一方で、怪鳥全体の群れの動きはそれとは真逆だったんだ。くすんだ奴らが、先頭きって人がいる方に向かっている感じになんとなく思えた。

 その時には鮮やかな方はあまり人に興味がなさそうだったんだ。ただ単に群れが進む方についていっているだけのようだった」


 木を叩く独特な音を森に響かせながら、シオンは定番の長期戦を始めていた。ちなみにゴーシュはジープに乗っている。

 ちなみにここは、魔境においた拠点への帰り道。


「そんな時あの帝国ギルドだかなんだかが闘いを始めていたわけだが、まあ格好良かった。正直見入ってしまった。そんな中でまた新たな発見だ。人に襲いかかるのは、鮮やかな方だけ。役割分担とか、そういうのがあるのかもしれないな」


 冒険者を模した木の魔物は一体ではなく次々と襲ってくる。森に生えている木から、次から次へと生みだされているようだ。


 それらも次々と薙ぎ払いながら、解説を続ける。


「その後なぜか冒険者(ヤツら)こっちの方に向かってきただろう? それで怪鳥も追いかけてきた。ついでにゴーシュに追加で怪鳥を提供しようかと思って、鮮やかなやつだけ狙い撃ちしたんだ。


 群れが解散したのは偶然だ。意図してやったわけではない。なんとなく推測するに、きっと攻撃担当の鮮やかな奴らがどんどん狩られていくもんだから、危険を察知して逃げ出したんだろう」


 そう話を締めくくりつつ、木の魔物の最後の一体を吹き飛ばした。


 実際、シオンの推測はほぼあたっていた。後に、更に解明したことは寄生虫は頚椎に寄生し、脳へ向かう。そして乗っ取り、体が朽ちても飛ぶ、ゾンビ集団となる。ということだった。


 ほとんどの怪鳥(もともとは巨大な鳥の魔物)は死の飛行へと飛び立つわけだが、群れの何羽かには寄生しないでおく。その数羽を護衛として残しておくと考えられている。


 寄生されなかった数羽は鮮やかな毛並みを残し、普通に狩りをし、仲間だと思っているすでに取り憑かれたもの達に混ざって空を渡る。


 寄生された方は、人に産卵するために人影を見つけるとしつこく追いかけ、人の上で頚椎から抜け出て、宿主である怪鳥の神経を断つ。そうすることで人に降りかかることができるわけだった。


「ところでシオン。この魔物たちは植物なのかな。それとも人型の魔物なのかな。どっちなんだろ」


ゴーシュは今シオンが闘っている、木の魔物を描きながら首を傾げる。


「多分、植物だろ」


「なんでそう思うの?」


「木だって動き回りたいだろ」


「あ〜〜……。?」


 こうして二人、長閑な会話を繰り広げていた。





 ◇◇◇

 シオンが魔境を散策している一方その頃。


 キファランガは泣いていた。


「クソ叔父貴。なにがガキの使いだ。こんなところ生身の人間が来る場所じゃねえ!!!」


 彼は魔境を彷徨っていた。細身だがしなやかな筋肉がついており、戦いになれた人間だと見るものが見ればわかるだろう。


 彼は新米の冒険者で、今現在迷子とまではいかないが、目的のモノを見つけだせずにいて途方に暮れていた。


『なあ、キファ。お前暇なんだから、ちょっと使いを頼まれてくれないか。なに。人探しだ。初級ランカーだから入口付近をうろついてるだろさ、すぐみつかる』


 叔父にそう言い含められて捜索にでるものの、一向に見つからない。人づてに情報を集めようにもなかなか集まらない。


 数少ない目撃情報と勘をもとにエアーバイクを進めるにつれ、段々と不気味な土地に突っ込んていってしまった。


 叔父はあんなにも優しげな口調で話してはいたがとても怖い人だ。見つけられませんでしたではいられない。


 とにかく、目的の人物を早く見つけ出さなければ。


「くそ……! どこにいるんだよ、シオンってやつは!!!」


 キファランガはそう空に吠えた。

 

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エンジェライト文庫様より2023/12/23電子書籍化
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