3-5 付録 シオンと花束
クエストが終わり、町の飯屋でいつものようにご馳走を食べた帰り道。花屋のおばちゃんに声をかけられた。
「あんた! モテそうな顔してるね。この花どうだい?」
よく考えると今まであまり花を買ったことはない。母の日くらいか。もらったことはあるが。
何となく面白そうだと思ったので寄ってみることにした。
移動式ワゴンの上に、ところどころ桶に入れられた花がおいてあった。
「数が少ないな」
「そうさ! もう今日は閉店しようと思ってね! 明日から里帰りするから売り切っちゃおうと思ったんだよ」
おばちゃんは豪快に笑いながらこれがいいか、あれがいいかと勧めてくる。
今まで声をかけられたことがなかったのだが、今回は売り切るために声をかけたということか。
「これはどんな花なんだ?」
せっかくなのでよく観察することにした。おばちゃんは花に詳しく、色々とためになる話も聞くことができた。さすがプロだ。
「あれもいいだろ。これも合わせるといい。これはしばらくすると咲くから変化を見られるよ」
いろいろと理由をつけられてたくさん買う羽目になった。……さすがプロだ。
結局ワゴンのすべてを購入し、巨大な花束になってしまった。さて、これをどうしようか。
とりあえずネリアにあげることにした。花といえば女の子だろうという、安直な考えだ。
ネリアの滞在している部屋にいくと、戸を開けたネリアが花を見てから動かなくなってしまった。口を開けて固まるところにとりあえず渡して帰る。
俺が花を買う姿を見ていたのだろうか。翌日も別の花屋に声をかけられるようになった。その次の日も、次の日も、次の日も。
うまいことたくさん買わされ、またもや巨大な花束になる。武器と飯以外にお金を使わないので、たまにはこんな使い方もいいかと思う。
とりあえず今回は受付嬢に渡すことにした。頻度は低いが、いつも世話になっているから。受け取った受付嬢は顔を真っ赤にして喜んでくれた。
他の受付嬢にやっかまれたらしく、別の日に他の受付嬢にも感謝の印としてそれぞれ渡していった。
マリウスたちは、喜んで持ち帰っていった。後日聞いたら、母親に渡したそうだ。
武器屋の爺さんに渡したら呆れられたが、律儀にドライフラワーにして店に飾ってくれていた。意外とまめで昔はもてていたかもしれない。
ゴーシュにもやったが、たまに絵に描いたり画材にしたりしているようだ。
次第に渡す相手もいなくなり、部屋中に飾る。
そのうち部屋に置くスペースもなくなってきた。
最終的にザバックにもあげたらなぜか怒られた。気の短いやつだ。





