2-15 付録 シオンの笑顔
ネリアによる講義はためになる。とてもためになる。が、眠くなる。
なにせ、ゴーシュの依頼で一日中魔物の相手をした後に、温かい部屋で食べ物を食べながらの座学だ。とても眠い。
なんとか講義を終え、膝に乗る子供たちを引き剥がし、寝床に帰る日が続いていた。知らないことは山ほどあり、基本的な教養以前の地理歴史の知識を身につけるにもまだまだ時間がかかりそうだった。
真面目に講義を受けていないこともネリアは気に食わなかったみたいだが、クランに入ろうとしないことも気に入らないみたいだ。
「だ〜か〜ら〜。つべこべ言わず、早くクランに入りなさい! なんなら私が口利きしてあげるから」
ネリアがしつこく食い下がる。
「それ以前に、シオンは早く正式に登録するべきよ。仕事をちょっと減らして、勉強増やせばなんとかなるわ!」
そう親切に忠告してくる。こっちのことを思ってのことなのだろうが、だんだん面倒になってきた。今も軽食を食べに寄っただけの食堂で引っ付かれて、帰りたいのに帰れない。
こんな時どうすればいいか。日本にいたとき姉が言っていた気がする。
『シオンは顔がいいんだから、ニコって笑っておけば大抵の子は黙っちゃうわよ』
たしかそんな内容だったはず。
『たまには強気に『何も言わずについてこい』とかいっちゃってもいいかもね』
そんなことも言っていた。どこについていくというのか。
まあ両方やればいいか。
そう思い、笑顔で
「黙って俺についてこい」
と言ったら、ネリアは黙ってくれた。ついてきてはくれなかったが。
店を出てしばらくしたら、
「これだから! イケメンは!」と激怒する声が聞こえてきたので足早にその場を去ることにした。
「この方法、一時的に効果あるな」そう思い、ザバックにもやってみた。一瞬固まっていたけど、その後なんか怒られた。
ゴーシュにそんな話をしたら、
「シオンはそんなに笑わないからね〜。いつも楽しそうに口元は笑ってるけど、ニコってのはないかも。どんな感じ?僕にも見せてよ!」
「こんな感じだ」
「!!!」
ゴーシュは速攻で何も言わずに筆をとった。
「悪かった! もう勘弁してくれ」
そう言うも、気の済む枚数を描き終わるまで許してくれなかった。
おかげで頬が筋肉痛だ。





