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魔獣イラストレーターと最強のFランカー  作者: 成若小意
第二章 冒険者たち     (推定累計ポイントEランク)

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2-13 冒険者入門講座②

説明回です。

よろしくお願いします。

 

 ネリアは改めて詳しく説明してくれた。


 ある時からこの世界には魔物が発生するようになった。時代的には彼女の曽祖父が幼い頃の話らしい。つまり百年ほど前ということか。しかしそれは局所的だ。どうやらある一定の地域に出没しているらしいということまではわかった。


『空から何かが降ってきたと言う者もいれば、大爆発が起きたという者もいる。とにかく、突然この辺境の地に異変が起きたのだそうだ』


 このフレーズは定番のようで、ネリアが説明したら子供たちもそらんじて繰り返していた。


 その地域はもともと辺境の地だったので、最初は問題視されなかった。周辺国において、たまに人里に現れる魔物による被害が報告され、軍隊や救助隊が派遣される程度だったそうだ。


 研究者が徐々に分析を始めわかったことだが、そこにいる生き物に魔力が及んで魔物化するという報告があがっている。だから魔物と言っても地上の生き物と似ていたわけだ。こちらの世界(異世界)と前にいた世界の生態系が同じとも限らないが、少なくとも魔物に似た元々の生き物がいたと、横で一緒に話を聞いているマリウスが教えてくれた。






「初めはね、近くの村から冒険者が誕生したんだよ」


 マリウスとともについてきたチビたちが横から口を挟む。


 ネリアはやりづらそうに横目で見るが、俺としては一対一よりかはやりやすい。


「最初はこの魔境の周辺国で自警団が発足したの。それが初期ギルド。多分シオンが最初にいたところも話を聞く分だとそれだと思うわ。

 少し田舎っぽくて、システムも適当だけど情がある人が多いイメージね。田舎ギルドとも揶揄されるわね。


 次第に魔物の生息域が大きくなって、対応できなくなってきてからできたのが組織ギルド、周辺国が協力して対策したってことね。ここらへんの支部はだいたい組織ギルドよ。システムはしっかりしているわ。

 もともと国の軍隊だったところも多くて、組織だっている感じね。でも協定によってむりやり出兵している国が多いから、あまりやる気がない人が多いわ。


 そして一番雰囲気が最悪なのが帝国ギルド。これはここよりももっと遠くの、魔物なんか関係ない国がしゃしゃり出てきて作ったギルドよ。

 帝国ギルドにもいくつかあるみたいだけど、だいたいが大規模ね。魔物を狩るときに得られる素材に価値があるとわかってあとから出てきたのよ。魔法の技術が半端なく優れているわ。

 初期ギルトだけじゃなく組織ギルドのことも田舎者とバカにしてる風なのよ。面子はだいたいが犯罪者とか戦闘狂とかで、国で爪弾きにされてる者が多いわ」


 ネリアが一気に説明してくれた。


「ここまでがギルドの話。わかった?」






「ここからは、クランの話よ。


 それぞれのギルド発祥のクランがあるわ。自警団クラン、軍隊クラン、帝国クラン。それぞれ三つに大別できるけど、更に細分化されていくつもあるの。もちろんギルド発祥ではないクランもあるけれど、どのみちどこかの冒険者ギルドに登録してはいるわね。


 ちなみにギルドというのは商業組合のことよ。冒険者が退治した魔物の素材なんかの値段を統一したり、救護協定を結んだりするのが元々の目的だったんだけど、今では仲介業みたいな存在になりつつあるわ。


 そしてクランというのはチームとかグループのようなものね。氏族っていう意味もあるように、もともとは同一国からの人たちだけで成り立っていたけれど、今ではあまり気にしていないようでとりあえず強い人を取り入れる傾向にあるわ。まあ軍隊クランは別で、自国から徴兵した人たちで成り立っているわ。


 とりあえずクラン同士の仲は悪いわね」


「だから知識の共有が弱いのか」


「そうね。むしろどれだけ独自の情報を持っているかがクランの価値になると言ってもいいわ。もちろんそれだけじゃなくて人の質や武器の量も必要よ。クラン内、もしくは親しい者同士でしか知識の共有がされないのは基本よ。クランの情報は秘匿されているわ」


 これはかねてから不思議に思っていたことだ。俺が魔物を討伐した中で得た知識がある。居酒屋などで冒険者仲間に話してみると、そんな俺が知っていることを知らない者が多いかったことに驚いた。だが、この命をやり取りする職業でそんなことはあり得るのか?


 よく異世界転生などでの知識チートで無双とかいう話があるが、その異世界にも歴史があり、猛者がいて、しのぎを削っているわけだ。そこでの文化が発達して、知識も蓄積されていくものだろう。


 しかしネリアの話で少しわかった。お互いの情報を秘匿しているのなら当然だろう。特許制度が発展しなかった世界線とでもいえばいいのか。それぞれのクランにとっては最適解なのだろうが、業界全体では最適解とは言えないだろう。


「それで? シオンはクランに入らないの?」


「入る気はないな」


 いままでは特に興味がなかったためクランには所属していなかったのだが、ネリアの話を聞いたら余計やめておこうと思えた。

 

 なぜなら、ゴーシュのイラストはクランの規則違反になる恐れがあるからだ。あそこまで詳細な情報を公開しているのだから、クランに入りなどしたら今後の活動が難しくなってしまうだろう。


 なんだかんだで俺は今の暮らしが気に入っている。ゴーシュの無茶ぶりに付き合うこの暮らしが。


『クランに入らない』。この判断で俺は後ほど厄介なことに巻き込まれることになるのだが、この時はまだ知らなかった。……と言いたいところだが、この後にもさんざんネリアには忠告されている。


「ま、なるようになるだろう」


 そうつぶやいたらネリアにとても睨まれた。

読んで下さりありがとうございます。

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