2-11 美少女冒険者ネリアの授業
「それで? これからどうするんだ?」
とりあえず町に戻り、馴染みの食事処に移動してからそう聞いたのは俺じゃなくローレンス。なぜかこの場を仕切り始めた。
ネリアの彼氏の遺品は皆で分担して持てるだけ持ち、持ち帰れそうにないものは埋めていった。
その場では大泣きしていたネリアだが、三年の月日の間に諦めはついていたため心の整理はできていたのだろう。泣くことができたのでいい区切りになったのかもしれない。晴れやかな表情になっていた。
前を向いて以前のより更に自信あふれる表情で話し出す。
「どうするもこうするも。ここで生きていくしかないわ」
「故郷は?」
「もう戻れない」
詳しくは聞かなかったが、戻れない事情があるようだ。
「冒険者業を続けるのか?」
「この足だと難しいわ。低級の魔物なら狩れないこともないけれど、不測の事態が起きたら逃げ切れない。もう資金も底をつきそうだし、町中で出来る仕事を探すわ」
「そうだ! いいことを考えた」
突然声を上げた少年に驚いてみんなが顔を見る。面白半分についてきて、ちゃっかり食事にありついているマリウスたち。その仲間のうちの元気な少年エルスがフォークを振り上げ発言していた。
「シオンに常識を教えてあげてよ」
「どういうことだ? というかどういう話の繋がりだ」
「だから、シオンに常識を教えるのをネリアおねえちゃんの仕事にすればいいんだよ」
どうしてそんな話になるのかと文句を言いたくなったが、少年たちは名案だと目を輝かせる。
そして、どういうことかとマリウスに問い詰めて事情を聴いたネリアがあきれ顔で俺を見る。
「シオン。そんなに強いのに、あなたまだFランクなのはどうしてかしらと思ってたけど。情けない。移民の資格も取れないの」
となぜか怒られた。
「いいわ。私がみっちりしごいてあげる」
その日から討伐後の夕方からネリアの家庭教師が始まった。
あふれ出る自信を裏付けるように、ネリアの教え方はとてもうまかった。そして俺はまるでこの世界のことを知らなかったことを思い知った。
ネリアがまずこの世界の成り立ちを簡潔に話してくれた。
今より百年ほど前のこと。空から何かが降ってきたと言う者もいれば、大爆発が起きたという者もいる。とにかく、突然この辺境の地に異変が起きたのだそうだ。
異変とは、生き物たちの魔物化。魔物化の定義は曖昧だが、従来の生態系から逸脱した凶暴な何かになってしまうことを指し示しているようだ。
そして、この地から溢れ出てくる魔物を退治するために冒険者と呼ばれる者たちが生まれた。やがて冒険者たちにも派閥がうまれたそうだ。
「シオン。あなたもどこかのクランに所属しないと、早死するわよ」
そしてネリアにそう脅された。





