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18 わたくしは変態のようです



現在時間軸に戻ります。





「はぁ……」


 わたくしは、深いため息をつきながら、貴族学園の廊下をとぼとぼ歩いています。


 あれから色々考えましたが、わたくしは自分のことが分からないままでした。


 なぜなら、『エリー改造計画』実行から一月半、ジェイラス殿下は相変わらずわたくしに意地悪なままで、わたくしは気持ちを落ち着ける暇が全くないのです。


 ジェイラス殿下は私を見ると、花が開くような輝かしい笑顔で迎えてくれるし、段々と距離が近くなっているというか。

 とにかく私が照れるようなことばかりをしてきます。


 そしてなにより、そんなジェイラス殿下にわたくしが困っているのを見ると、「今日はこのくらいにしておくよ。ごめんね」と言って、寂しそうな顔をして去っていってしまうのです……。



 なんて小悪魔的な殿方なのかしら!

 お陰でわたくしの頭の中は、ジェイラス殿下のことでいっぱいです。



 だってわたくしは昔から、ジェイラス殿下の寂しそうな顔にとっても弱いのです。ジェイラス殿下にはいつも笑っていてほしい。なのに、あんなに寂しそうな顔をするなんて、ずるいですわ!



 それにその……………………。



 ほんのちょっとだけ。



 ちょっとだけなんですけれども。



 …………意地悪するのを、やめてほしくない……なーんて……………………。



(わたくしったら、なんてふしだらな令嬢なのかしら!?)


 わたくしはとんだ変態だったのです。

 わ、わたくしは、わたくしのことが分からない……!


 こんな破廉恥な思いを、キャロラインに打ち明ける訳にはいきません。でも、自分一人ではどうしたらいいのか分かりません。


 分かっているのは、ジェイラス殿下のことを考えれば考えるほど、胸の奥がむずむずするということだけ。

 気持ちが迷子になったわたくしは、どうすることもできないまま、教室に向かってとぼとぼ廊下を歩いていた、というのが現状なのです。



 そして、そんなわたくしに、声をかけた人物がいました。



「エリー」



 振り向くと、そこにはコジラセーノ子爵家の長男のコンスタンタン卿が立っていました。

 わたくしは彼が苦手なので、思わず身構えてしまいます。


 彼は、わたくしがフリードリヒと婚約解消した後、早い段階でわたくしに婚約を申し出てきました。そして、まだ申込段階だというのに、なんだか婚約者のようなそぶりでわたくしに接してくるのです……。


「ご、ご機嫌よう、コジラセーノ卿」

「いやだなぁ、エリー。コンスタンタンと呼んでくださいと言っているじゃないですか。タンタンと愛称で呼んでくれてもいいんですよ?」


 ぞわぞわっと背筋に悪寒がして、わたくしはつい一歩下がってしまいます。


「いえ、婚約をお受けしていませんので」

「なに、時間の問題ですよ。婚約破棄された傷物令嬢と婚約しようとする優しい男は私くらいでしょう? あなたは遠慮せずに私の優しさを受け入れるべきです」


 婚約破棄ではなく、婚約解消なのですけれども。

 わたくしへの婚約申込みが28件にのぼることも、彼はご存じないのですね。



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