15 わたくしの化粧が濃くなった理由
そして15歳になり貴族学園に入学すると、わたくしはどんどん化粧を濃くしていきました。
「エリーはそのままで十分可愛いのに、なんで化粧を濃くするの?」
「……化粧が好きになったので、楽しくって」
「楽しんでやってる人は、そんな顔をしないよ」
いち早くわたくしの変化に気がついたのは、やはりというか、ジェイラス殿下でした。
けれども、ジェイラス殿下には恥ずかしくて、わたくしは化粧を濃くした理由を告げることができなかったのです。
そんなわたくしを助けてくれたのは、クラスメートのキャロラインでした。
「エリザベス様の化粧が段々濃くなってるのって、男避けですわよね?」
そうなのです。
わたくしは入学してから特に、男の方に声をかけられたり、接触されるようになっていて、困っていたのです。
そして、化粧を濃くすると、男性から避けられることに気がついたわたくしは、どんどん化粧を濃くしていったのです。
実は、学園入学前までも似たようなことはありました。
ただ、街や図書館など、人が多い場所で通りすがりにお尻を撫でられたりする程度だったため、なんとか気にしないようにしていたのです。
ですが学園入学後は、男性の先輩達からデートと思しき誘いを受けたり、「どうせ遊んでるんだろ?」と声をかけられることが多くなってしまって、本当に本当に困っていました。
最初はフリードリヒに守ってもらおうかとも思いましたが、彼と二人きりになるのはそれはそれで危ないのです。
なのでわたくしは、自分で自分を守ることにいたしました。
わたくしの豊満な体つきは家系的なものだったため、同じ悩みを抱えているであろう叔母さま達やお婆さま達に相談したところ、とても有用なアドバイスを頂けました。
「カバンや本を胸元に持って、必要以上に知らない人に近づかないのよ。狭い廊下で知らない男性とすれ違いそうになったら、広い廊下まで戻るか、友達や侍女、一緒にいる男性に盾になってもらうの。絶対に、知らない男性と二人きりになってはだめよ」
ちなみにこのとき、わたくしは、服装を変えた方がいいのか悩みました。
わたくしの服装は、フリードリヒが好むのものばかりだったため、男性をより寄せ付けてしまうかもしれません。
そうしたら、お婆さまや叔母様達はけらけら笑いながら、必要ないとおっしゃいました。
「痴漢するような奴らはね、どんな服装をしていてもするのよ。わたしが若い頃、胸を隠せるような服にしたら、逆にそれが煽るとか訳が分からない理屈をこねられたわ」
「今の大人びた格好の方が、へんに拗らせた奴が近づいてこないからいいんじゃない? 露出が多いものではないのだし」
そんな助言を元に、わたくしは大人っぽい服装を維持しながら、色々と行動にも気をつけたり、化粧を変えてみたりと試してみました。
そうしていくうちに、目化粧を濃くすると近寄ってくる男性が少し減ったことに気がついたのです。
それでも、わたくしは自分で思っていたより不安だったのでしょう。
キャロラインに気がつかれて、わたくしはポロポロと人目も憚らず泣き出してしまいました。
「モテる子って大変なのね。わたしも協力するから、卒業まで頑張りましょう」
そう言って笑ってくれた彼女は、その日からわたくしの心の支えになりました。
彼女は学園ではできる限り傍にいてくれて、わたくしを守ってくれたのです。
わたくしはそうして日々、男性に対するガード力を高めていきました。
けれども、問題が一つありました。
肝心のフリードリヒまで、学園でのわたくしの目化粧を嫌がって、わたくしを避けるようになっていったのです。




