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14 わたくしの服装が変わった理由



 フリードリヒと婚約してからというもの、わたくしはとても幸せでした。


 フリードリヒは、沢山デートに誘ってくれました。

 わたくしが何も言わなくても、女性が好みそうないろんなお店を調べて案内してくれて、素敵にエスコートしてくれるのです。


 けれども、フリードリヒは「婚約者だから」とわたくしに触れようとすることだけは、困っていました。


 わたくしは、絵本の中の王子様とお姫様に憧れていたので、やはり初めての口付けはロマンチックな場面で、と決めていたのです。

 そして何より、気持ちがこもっていないと嫌だったのです。


 わたくしはフリードリヒのことが好きでした。

 けれども、フリードリヒは……。


 本当は……本当は、分かっていたのです。


 フリードリヒはわたくしのことを、大して好きじゃないって、分かっていたのです。


 だから、フリードリヒが軽いノリで、家の廊下や庭などの日常生活の中で()()()()()()をしようと迫ってくることには、本当に困っていました。


 わたくしは心が受け入れられなくて、淑女であることを盾に、全て拒絶してしまいました。

 フリードリヒは、いつも不満そうにしていたけれども、ジェイラス殿下は逃げるわたくしを助けてくれました。




 そして、わたくし達が成長するにつれ、わたくし達の関係はさらに変わってきました。

 背が伸び、足が早く、そこそこに勉強ができて、何よりリーダーシップのあるフリードリヒは、御令嬢達に大変モテ始めたのです。


 わたくしは嫉妬しました。

 今までフリードリヒはなんだかんだとわたくしだけを見てくれていたのに、今やフリードリヒの目線は、大人っぽい年上の御令嬢に釘付けです。



 そんなある日、わたくしは街に侍女達とお忍びでお出かけをしている際に、フリードリヒがとても綺麗で大人なお姉様と仲睦まじくデートをしている場面を目撃しました。

 しかもなんと、別れ際に、軽くですが頰に口付けまでしていたのです。


 当時14歳だったわたくしにはない豊満なお胸と、細い体に大きなお尻が魅力的な方でした。

 あれは確か、フリードリヒ様のお家にいらっしゃる侍女の一人ではなかったかしら。


 わたくしは泣きました。泣いて泣いて、声が枯れるまで泣きました。


 そして考えました。

 フリードリヒのことを諦められるのかどうかを。



 結果、わたくしは最後まで頑張ることにしました。



 わたくしは一途なのです。


 フリードリヒのことを、好きで好きでたまらないこの気持ち。

 これはきっと、努力して努力して報われなくてボッキリ折れる、というところまで追い詰めないと、消えないものだと判断いたしました。


 それに、わたくしには、白詰草の指輪の思い出があります。

 あの時のように彼がわたくしの方を向いてくれたら、きっと……。


 わたくしの相談を受けたジェイラス殿下は、とても苦い顔をしていました。「君はそれでも、まだあれに愛想がつきないのか」と、とても悔しそうな顔をしていました。

 けれども、わたくしが、自分の心を折るためにも最後まで頑張りたいと言うと、結局は協力してくれました。



 化粧が得意な侍女を紹介してくれて、一緒に服を選んでくれて、わたくしは、見た目で背伸びをすることを覚えたのです。



 フリードリヒは最初、わたくしの見た目の変化に驚いていました。


 それまで、わたくしは清楚で可憐な貴族令嬢としての服しか着ていなかったので、わたくしが大人っぽい服装をするのが意外だったようです。


 というか、「似合わないな」と言われました。

 見た目は大人っぽいのに、中身が子供っぽすぎるそうです。

 わたくしは泣きました。


 ちなみに、泣いているわたくしを慰めているジェイラス殿下は、何故かホッとした顔をしていました。

 わたくしは拗ねて軽く怒りましたが、それでもジェイラス殿下はニコニコしていたので、最後はわたくしもつられて笑顔になってしまいました。殿下はとても素敵な方です。



 わたくしの見た目で攻める大作戦は、こんなふうに始まりからこけていましたが、わたくしは一途で不屈の女なのです。頑張って化粧技術を上げ、いつも大人っぽい服装をして、気取った喋り方をしているうちに、体がそれに見合うように成長していきました。

 何を隠そう、わたくしの家の女性は皆、スタイルがとてもいいのです。わたくしの胸は大きく、ウェストは細く、お尻はむっちりと大きく育っていき、大人っぽい化粧と服装は、本当の大人の女性のようにわたくしを飾り立ててくれました。 


 そうすると、フリードリヒはたまにですが、わたくしに「その服似合うな」と言うようになりました。


 わたくしは嬉しくて、はにかむように微笑むと、フリードリヒも顔を赤くして、照れたようにそっぽを向いてしまいます。わたくしを見て照れてくれたのだと思うと嬉しくて、わたくしはさらにフリードリヒを好きになってしまいました。


 ただし、幸せなのは最初のうちだけでした。


 そのうち、フリードリヒはわたくしの容姿に慣れてきたらしく、わたくしに対するスキンシップが激しくなってきたので、わたくしは逆に彼から逃げ回るようになりました。

 このときも、ジェイラス殿下がそれとなく助けてくれました。




モヤつき展開があと一話続きますが、頑張って耐えてほしい。


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