不幸の子
「ねぇ、きいて! このあいださー!」
「今日の帰り、マックよろうぜ!」
ーー放課後ボクは一人で帰る。
一日誰とも会話をしてない。
ボクは一人だ。
友だちはいない。
なぜかって?
僕の近くにいると、みんな不幸になるからーー
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「ねぇ、お母さん! 幼稚園に行ったらいっぱい友だちできるかな?」
「ええ、幸ちゃんが優しい子でいられたら、いっぱいできるわ。」
ーー僕の名前は幸
母が幸せに育つよう願いを込めてつけられた。
烏丸 幸高校ニ年生だ。
ーーガシャァン!
「きゃあっ! 誰か! 誰かきてぇっ!」
僕が幼稚園に通って初めて出来た友だちーー智くんは、蛍光灯が急に割れ、その破片が頭に刺さり大怪我を負った。
ー一命はとりとめたがそれ以来彼が幼稚園に来ることはなかった。
別の幼稚園に移ったらしい。
ーーキイィッ、ドン!
小学生になって集団下校している時、車が僕たちにつっ込んで来た。
一番後ろを歩いていた僕に怪我はなかったが、他の子たちは大怪我を負い、一人は半身不随になった。
僕の周りでは昔から事故が起こる。
しかし、いつも僕だけは無傷だ。
不幸の子ーー周りの大人たちは僕のことをそう呼ぶ。
なぜこんなことになったのかーー僕だけが理由を知っている。
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「あらぁ? コウちゃんおかえりー!」
僕は女を無視する。
「今日は学校どうだったぁ?」
僕はいつかこの女を殺す。
絶対に許さない。
「僕に話しかけないでくれる?」
不機嫌に僕は言う。
「え~なんでぇ? こんなにコウちゃんのこと、愛してるのに!」
くそっイライラする。
ーーこの女ーー名をフォルトゥナという。
この女のせいで僕は周りに不幸をばらまく事になった。
僕が四歳の時ーー幼稚園に入ったばかりの時だ。
僕は近くの公園で遊んでいた。
ガウッ! ワウッ!
「なんだろ?」
公園の裏から犬の鳴き声が聞こえてきた。
僕が見に行くと、黒い仔犬が大きな犬に吠えられていた。
「クゥーン……」
仔犬は傷だらけで弱っており、大きな犬が今にも飛びかかろうとしている。
ーー助けなきゃ!
「あの犬、助けるの?」
僕が走り出そうとすると、後ろから声をかけられた。
振り向くと、キレイな女の人が立っていた。
「そうだよ! このままじゃあの子、死んじゃうよ!」
「やめといた方がいいわよ?」
ーー知るもんか! 僕がぜったい助ける!
「こらー! こいぬをイジめるなー!」
女の制止を無視して僕は仔犬を助けた。
「今この瞬間、運命の歯車が動き始めたわーーあなたに耐えられるかしら?」
女はそう言い残し、公園を去って行った。
ーーその日から僕は、家からお菓子を持ち出して仔犬に与えた。
「わんっ! わんっ!」
弱っていた仔犬はみるみる元気になっていった。
「うわぁ! やめてよ! クロっ! 舐めないで!」
僕は仔犬にクロと名前をつけた。
そしてクロは僕になついていった。
ーーある日のことーー僕はいつものように公園にお菓子を持って来た。
しかし、仔犬の姿がない。
「おーい! クロー!」
公園を探しても見付からない。
仕方なく家に戻ろうとすると、家の近くにクロがいた。
「クロッ! 僕の家まで来ちゃったの!?」
クロが僕に気づいた。
「わんっ! わんっ!」
僕の元に走って来た。
その時ーー前からスピードを出したトラックが来た。
「危ない! クロッ! 来ちゃだめ!」
ーートラックがクロを避けようと急ハンドルを切った。
しかし間に合わず、トラックはクロを引き飛ばし、僕の家に横転しながらぶつかった。
「うぅ……うっ……!」
母はトラックの下敷きになって死んだ。
僕の声が聞こえたので、玄関まで出てきていたのだ。
ーーお母さんは僕が殺した
葬式の帰り道ーー父に連れられて歩いて帰った。
僕は家に入らず、いつもの公園に向かった。
「どう? 運命に耐えられそう?」
ブランコに座っていると、前みた女の人が現れた。
「わかんないよ。僕はどうしたらいいの?」
女の人は僕を優しく抱きしめた。
「だいじょうぶ、わたしが導いてあげる。あなたに幸運があらんことをーー」




