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不幸の子

「ねぇ、きいて! このあいださー!」

「今日の帰り、マックよろうぜ!」


ーー放課後ボクは一人で帰る。

一日誰とも会話をしてない。

ボクは一人だ。

友だちはいない。


なぜかって?


僕の近くにいると、みんな不幸になるからーー


※※※※※※※※※※※※※※※※


「ねぇ、お母さん! 幼稚園に行ったらいっぱい友だちできるかな?」


「ええ、幸ちゃんが優しい子でいられたら、いっぱいできるわ。」


ーー僕の名前は(こう)

母が幸せに育つよう願いを込めてつけられた。


烏丸 幸(からすま こう)高校ニ年生だ。


ーーガシャァン!


「きゃあっ! 誰か! 誰かきてぇっ!」

僕が幼稚園に通って初めて出来た友だちーー智くんは、蛍光灯が急に割れ、その破片が頭に刺さり大怪我を負った。

ー一命はとりとめたがそれ以来彼が幼稚園に来ることはなかった。

別の幼稚園に移ったらしい。


ーーキイィッ、ドン!

小学生になって集団下校している時、車が僕たちにつっ込んで来た。

一番後ろを歩いていた僕に怪我はなかったが、他の子たちは大怪我を負い、一人は半身不随になった。


僕の周りでは昔から事故が起こる。

しかし、いつも僕だけは無傷だ。

不幸の子ーー周りの大人たちは僕のことをそう呼ぶ。


なぜこんなことになったのかーー僕だけが理由を知っている。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「あらぁ? コウちゃんおかえりー!」

僕は女を無視する。


「今日は学校どうだったぁ?」

僕はいつかこの女を殺す。

絶対に許さない。


「僕に話しかけないでくれる?」

不機嫌に僕は言う。


「え~なんでぇ? こんなにコウちゃんのこと、愛してるのに!」

くそっイライラする。


ーーこの女ーー名をフォルトゥナという。

この女のせいで僕は周りに不幸をばらまく事になった。


僕が四歳の時ーー幼稚園に入ったばかりの時だ。

僕は近くの公園で遊んでいた。


ガウッ! ワウッ!


「なんだろ?」

公園の裏から犬の鳴き声が聞こえてきた。


僕が見に行くと、黒い仔犬が大きな犬に吠えられていた。


「クゥーン……」

仔犬は傷だらけで弱っており、大きな犬が今にも飛びかかろうとしている。

ーー助けなきゃ!


「あの犬、助けるの?」

僕が走り出そうとすると、後ろから声をかけられた。

振り向くと、キレイな女の人が立っていた。


「そうだよ! このままじゃあの子、死んじゃうよ!」


「やめといた方がいいわよ?」


ーー知るもんか! 僕がぜったい助ける!


「こらー! こいぬをイジめるなー!」

女の制止を無視して僕は仔犬を助けた。



「今この瞬間、運命の歯車が動き始めたわーーあなたに耐えられるかしら?」

女はそう言い残し、公園を去って行った。




ーーその日から僕は、家からお菓子を持ち出して仔犬に与えた。

「わんっ! わんっ!」

弱っていた仔犬はみるみる元気になっていった。


「うわぁ! やめてよ! クロっ! 舐めないで!」

僕は仔犬にクロと名前をつけた。

そしてクロは僕になついていった。


ーーある日のことーー僕はいつものように公園にお菓子を持って来た。

しかし、仔犬の姿がない。

「おーい! クロー!」

公園を探しても見付からない。

仕方なく家に戻ろうとすると、家の近くにクロがいた。


「クロッ! 僕の家まで来ちゃったの!?」

クロが僕に気づいた。

「わんっ! わんっ!」

僕の元に走って来た。

その時ーー前からスピードを出したトラックが来た。

「危ない! クロッ! 来ちゃだめ!」

ーートラックがクロを避けようと急ハンドルを切った。

しかし間に合わず、トラックはクロを引き飛ばし、僕の家に横転しながらぶつかった。



「うぅ……うっ……!」

母はトラックの下敷きになって死んだ。

僕の声が聞こえたので、玄関まで出てきていたのだ。


ーーお母さんは僕が殺した


葬式の帰り道ーー父に連れられて歩いて帰った。


僕は家に入らず、いつもの公園に向かった。


「どう? 運命に耐えられそう?」

ブランコに座っていると、前みた女の人が現れた。


「わかんないよ。僕はどうしたらいいの?」

女の人は僕を優しく抱きしめた。


「だいじょうぶ、わたしが導いてあげる。あなたに幸運があらんことをーー」

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