第61−1話 そういえば私は
何がなんでもメラクたちの元に行ってやる。
そう思って立ち上がるも、すぐに冷静に戻った。
いやまて、そうはいっても傷害沙汰にするのはいくらなんでもダメだ。
しかし、それでは動くことができない。堂々巡りである。
「じゃあ、また今度な」
「……ま、まって、メラクさん」
このままではいけないと思い、私は声を上げた。私は決めたのだ。この日々の堂々巡りから脱すると。
「ん? どした?」
「私も一緒に――」
「ステラ様? 何を言ってるんですか?」
「あんな奴らとご飯なんて、あなたがするようなことではありませんわ」
彼女たちはそういって私を説得する。私のことなんて考えずに。
「皆様、別にメラクさんらはそんな悪い人ではないし、私だってそんなお嬢様じゃありませんの!」
「いいえ、そんなことありませんわ。そんなのはダメなのですわ」
「そんなぁ……」
ようやく分かってきた。彼女たちはあえて退かないのだ。
私をここに閉じ込めるために。理想の私を作るために。
そうなのだとしたら、誤魔化しても仕方がない。説得も当然できない。
そう考えると、自分の無力さを感じ、ふと足の力が抜けそうになった。立つのをやめて、近くの椅子に座りそうになり……
「なあ、お前って昨日、そんな弱かったか?」
メラクは私にそう尋ねる。私は思わず座るのをやめて、ふと我に返る。私は……私は?
そうだ! 私は強いんだった!
「ステラ様はね、きゃしゃですの。お分かりになって?」
彼女たちは私のことをそう評価する。しかし、それは私がそう演じていただけ。
私は弱くない。私は彼女たちが思っているより、ずっとずっと強い。
そうだな、彼女たちの前でお嬢様を演じるうちにすっかり自分が弱いものだと思わされていたのだろう。
私は座りかけたところからもう一度立ち上がる。
「ステラはお前らが思ってるより、ずっと頑丈なんだぞ。昨日だって、俺たち男子より長く縄跳びで飛び続けていたし」
「そんなわけありませんの。あなたたちはステラ様のこと、何にも知らないくせに」
メラクと彼女たちが言い争いをしていた。果たして何にも知らないのはどっちだろうか。理想のステラの像を押し付けて、知っている気になっているのはどっちなのだろうか。
私は再び考え直す。彼女たちの壁を抜けて、教室の外に行く方法を。教室でお嬢様を演じる弱い私ではなく、本来の私、実は強い私として。
改めて教室を見渡した。私を閉じ込めていたように見えた教室も、今ではそうは見えず、なんだか違う景色のように見えた。
その中に私がいて、私を囲む彼女らがいる。机と椅子と、それから教室の外を見て。
……あ、そうだ。やろうと思えばできるじゃん。
私は思いついた策を実行するため、手始めにくるりと優雅に回ることにした。
――――――――
お読みいただきありがとうございます。
もし面白いと感じてくださいましたら、是非ともブックマーク、そして下にある「☆☆☆☆☆」をクリックして応援していただけると嬉しいです。
続きは多分明日。




