第7話 外を出れば庭師とイケメンと子どもがいる
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ステラになって初めてちゃんと歩く外だ。ベビーカーで連れて行ってもらったことは多々あったが、自分の足で歩くほうが楽しいに決まっている。
「ステラ様、くれぐれも私から離れないでくださいね」
「はーい」
「ステラ様、お庭にいきましょうか」
「はーい」
「ちゃんと聞いています?」
「はーい」
「まあ良いでしょう。お庭はこちらです」
アルカに連れられて家の庭にやってきた。
そこには大きな庭には色とりどりの花が咲いており、形の整った庭木が所々に植えられていた。
「めっちゃきれい」
「喜んでいただいて何よりです」
そして、そのどれもが丁寧に手入れされているのが一目瞭然だった。こんな繊細な仕事をしてくれる人がいるとはな。
「あら、ステラちゃんとアルカさんじゃないですか」
そう思っていた時に、後ろから声をかけられて振り向くと、そこには大きなハサミを持った大男がいた。いかにも適当でガサツそうな男だが、姿をみるに彼こそが庭師であり、つまり、繊細な仕事をしてくれている男というわけだ。いつもありがとうございます。
「あ、ステラ様は初めてですよね。こちらはモンドさん。毎日ラメル家の庭を手入れして下さっています」
「ステラです、よろしくー」
「すみません、モンドさん。ステラ様にはちゃんと挨拶するように日々躾けているのですが……」
「良いじゃないですか、子どもなんだからね、ステラちゃん。よろしくお願いしますね」
モンドさんとの挨拶を終えた後、私は庭の花の様子、それに群がる虫の様子、花を手入れするモンドさんの様子をじっくりと観察することにした。
「あ、ステラ様、チョウチョが飛んでいますよ」
「おー、ちょうちょ」
少しして、アルカが私に蝶々がいることを伝えてくれた。
蝶自体はそこまで興味はないが、せっかくなので風魔法で蝶々を操ることにした。小声で魔法を出してっと。「『ウィンド』、右にー左にー」
「またもや、やけに集中して見ていますね、何がそんなに楽しいんですか。なかなか暇な人ですね」
「おー、ひさしぶりのどくぜつ」
「くれぐれも真似なさらぬ様お気を付けあそばせ……私が怒られるので」
そういえば最近はアルカの毒舌っぷりが減っている。私がわざわざ真似をしてお母様と話しているのが多分原因だ。うん、ごめんなさい。
「そういえば、あるか、おにいさま、どちらに?」
「それでしたら、あちらの方の家ですね。せっかくなので挨拶だけしていきましょうか」
「あいさつ……あいさつするってことは、つまり、あそぶ?」
「挨拶だけ、していきましょう。いいですか、いつも教えている通りに挨拶するのですよ。さっき見たいのはダメです。ちゃんと、お嬢様らしく、ご無礼のないように」
「かしこまり!」
アルカにはきちんと釘を刺されてしまう。ちっ、せっかく楽しく遊べると思ったのに。
ところでお嬢様らしい挨拶とは、おそらく「ごきげんよう」と言って軽く会釈するあれだろう。庭師には適当な挨拶をしてしまったけれど、今度はちゃんとお嬢様するぞー!
ん? なんかこれフラグみたいだな。
――――――――
「アルカちゃんじゃん! 久しぶり、元気にしてた?」
「はい、おかげさまで」
そこにはめちゃくちゃチャラい男がいた。お前は誰だ。メリダ家も地に落ちたな。
チャラ男の後ろには小さな男の子がいた。なるほど、これが私のお兄ちゃん、ノルンだ。なかなか情けなさそうな男だ。もっとシャキッしろ。
「……………………」
男の子をじっと眺めるが、なかなか挨拶をしようとしない。ふむ、まだまだ教育がなっていないなぁ。
「そういや、その子が例のステラちゃんかい?」
「はい、そうです」
アルカはそういうと私の方に目を向けてきた。ノルンよ、こっちのお嬢様は完璧であられるぞ? 見本を見せてやろう。ふむ、ごきげんよう? だよな。
そういや「ごきげんよう」というのはどういう意味なのだろうか。相手のご機嫌を伺っているのだろうか。ちなみに、メイドから聞かれるごきげんいかがでしょうか。という言葉には常に「ヨイデスワ」と答えている。「悪い」なんて口にしようものなら、すぐに精密検査を受けさせられそうじゃん。
さて、挨拶ですね。ごきげんは今日もいいですよっと。
「ごきげんいかがでしょうか?」
「……うん? 僕は機嫌いいけど?」
「ステラ様……惜しかったです…………」
軽く頭を下げ、頭をあげてから気づく。ご機嫌を聞いてどうする。
案の定、完全にやらかしたのであった。
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