第84-2話 Day1夜:ポケットの中からナイフが一つ
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私は魔法の杖を振り回しながら森を歩いた。
『怖い怖い怖いって』
「いや、これでも私、真剣ですのよ?」
『真の剣の間違いでは?』
確かに疑われるのも無理はない。はたから見たらただの不審者だし。
実際こう思われることをふまえて、念のためわざわざ施設から離れてナイフを取り出したのだ。
ただ、冗談ではなく私は最適と思ってこの行動を取っている。
『ほんとにー? 君、嘘つきだからねー』
「本当ですってば。私は今、魔力を探しておりますの」
私が探しているのは魔力、正確には魔力の余韻だ。
人間を含む動物はほとんどの場合、わずかしか魔力を持たない。
一方で魔物は、その名にふさわしく桁違いの魔力を持っている。生命機関に魔力が組み込まれているのだから当然だ。
だから、その魔力を追えば、魔物を探すことができる。
とくに、ここはある程度整備された場所だから、基本的に魔物は生息していない。ならば、魔物が見つかれば、それは自動的に私の標的だというわけだ。
ここまでの情報があれば、探すのはそこまで難しくない。
『それとナイフを振り回す少女になんの関係が!?』
「要するに、このナイフが探知機ですの」
『あー、そゆことね』「そゆことですわ」
探すのは難しくないというものの、今回ほど弱い魔物を探すとなると話が変わる。理由は簡単で、魔力が少ないからだ。
建物の中ならともかく、この大自然の中での弱い魔力となると、簡単に離散してしまうためほとんど探知に引っかからない。
そこで、探知機としてナイフが最適なのだ。
ナイフを使う利点は主に三つ。
一つ目は、金属であること。
熱が伝わりやすいのと同様に、魔力も伝わりやすいため、感知性能に優れている、と私は思っている。魔法と同様、私が思っている限り効果はあるだろうから、まぁ大丈夫。
二つ目は、形状がいいこと。
ダウジング棒なども検討したが、それより、表面積が大きいナイフのほうが、魔力の検知においては優れている。
「そして、なによりこの形状は持ちやすい。だって慣れているし!」
『ナイフに慣れている少女って怖いよぉ』
「まぁそれはお気になさらず」
三つ目は……また、その時に説明することにしよう。三つ目の利点が生かされる、その時に。
「さて、早速引っ掛かりましたわね。ふむむ……こっちね、じゃあ行きますわよー」『おー』
引き続き、私はナイフを振り回しながら森を歩く。
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