第84-1話 Day1夜:待ちに待った自由時間
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夜が来た。
今日のスケジュールはあらかた終わり、後は自由時間の後に就寝するだけだ。
久しぶりの温泉は非常に良かった。お湯に浸かっているというだけなのに、全身の疲労感が若干和らぐ。
その余韻で体がポカポカとしていて心地よい。このまま寝てしまいたい気分だ。
寝てしまいたい気分だが……待ちに待った自由時間だというわけで…………
「ハァァァァァァ、自由時間ですわ」
『待ちに待ったようには見えないが!?』
「ねぇこの世の中、基本的に待っているものは面倒なことだけなのよ?」
『うん、神様に世界の文句言うのはやめてねー』
「とりあえず出ましょうか」
魔法で存在感を薄くして、私は皆、とくにメメに見つからないよう、こっそり建物から抜け出した。
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隠密魔法をかけ、私は森の中を走った。
流石にポケットの中の物を取り出すのは、もう少し後にしよう。
「せっかく楽しい自由時間だというのに、どうして私はこんな外に一人でいますのよ」
『知らないよ。依頼を引き受けたのは君だろう?』
「まぁ、そうなのですが」
神様にいわれた通り、この林間学校において私はカルトラから依頼を受けている。魔物『妖狐』の討伐だ。
そして、それは夜しかできない。もとより自由時間が夜しかないし、あまり人目に付きたくもないので、今しかないのだ。
『張り切っているけど、実際どうなの? いまもできるの?』
「まぁ多少腕は鈍っておりますが……今回のレベルの魔物なら大丈夫かと」
『かつて最強と呼ばれた君が言うのなら間違いないや』「煽ってます?」
魔物の討伐と一言にいっても、その種類は様々だ。
既に大型な被害が出ている場合もあれば、被害が出る前の小動物サイズの魔物を討伐するだけの場合もある。
今回は後者だ。危険度は当然低い、というか危険ではない。
まぁ、ある意味、これはこれで難しいのだけど。
『弱い奴を叩けばいいだけだろ? 簡単じゃん』
「言い方はともかくとして……そうじゃありませんのよ」
『そうなの?』
「いや、このタイプって面倒くさいんですわよねぇ。……探すのが」
『そっちか』
でかいやつは楽なのだ。探さなくても勝手にやってきてくれるし。
ただ、今回の依頼は『妖狐』の討伐だ。そしてそれは、まだ尻尾が二本くらいしか生えていない、ほとんどただの狐だというわけで。
数多の動物がいる森の中から、特定の動物を探して討伐せよ、だと?
『無理では?』
「まぁ、この森には本来狐はいないので、見つけられたらすぐにわかるのですが、とはいえ普通に探すのは簡単ではありませんわね」
『その口ぶりだと策はあるんだね?』
「えぇ、もちろん。っと、ここまでくれば十分ね」
施設からある程度離れたので、私はようやくポケットから小道具を取り出した。安全器具も外しましてっと。
「さて、魔法の杖で、ガンガン魔法を使って探しますわよー」
『そのナイフ、どうみても物理だけどね!?』
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