第79−1話 Day0:灯された部屋で夜更かし中
お読みいただきありがとうございます。
〜零日目 夜〜
「それでは本日は失礼します」
「えぇ、おやすみ、アルカ」
「暑いからって部屋中に氷魔法をぶちまけるのはやめてくださいね」
「せいぜい氷(で作った)枕くらいしかしませんわよ」
「それは普通に危ないのでやめておいた方がいいかと……」
八月の終わりぎわ。
二年生も終わりに差し掛かったこの時期には、とある学校行事が控えていた。
「とはいっても、暑いからといって夜更かししちゃだめですよ」
「わかっていますわよ。いつもみたいにちゃんとしますわ」
「いつもみたいに夜更かしするなと言っているのですが?」
「バレたか」
「明日から忙しいのに、ステラ様ときたら」
本日はその行事の前日。子どもが浮足立つのも当然だ。
「まったく、アルカったら。私、そんなに子どもじゃありませんのよ」
「子どもでは?」
「いや何をいいますやら」
「いやいや子どもでは?」
「……学校行事の前日からウキウキするなんて子どもじみた真似はしませんわよ」
「よく考えてください。楽しいですよ、レクリエーション、お泊まり会、その他諸々と盛りだくさん」
「ウキウキするなんて……しま…………クフフッ」
「ウキウキしてるじゃないですか」
さて、色々盛りだくさんな学校行事、それは何かというと。
――何かというと!
林間学校である!!!
「林間学校、そんな楽しみなんですか?」
「うん、楽しみですわ!」
「夜なのでお静かに」
「ごめんなさぃ」
――――――――
林間学校とは何か。
簡単に説明すると、八月後半、二年終わりの夏休みに行われる学校行事の一つだ。グループに分かれて、一緒にご飯を作ったり謎解きフィールドワークをしたりする、ドキドキワクワクなイベントだ。
この行事の重要なポイントは、野外での活動であって野生での活動ではない、ということだ。
どういことかというと、この行事は貴族の持つ整備された土地を学校が借りて行われるものなのだ。宿泊地はこの土地に付属するお屋敷。なので清潔な水と寝床は確保されているわけである。
外で活動するにあたっての面白さはそのままに、不便は取り除かれたこのイベント、これを神イベントと呼ばずしてなんと呼ぶべきか。
『神様だよ。呼んだ?』
「呼んでませんわ」
『んもぉ、紛らわしいなぁ』
そんなことを考えていると神様が反応してきた。アルカが部屋を出て行ったから遠慮なく思考の隅に登場してきたわけだ。そんな暇を持て余していた神様なんて気にかけず。
話は戻り、私はこの林間学校を非常に楽しみにしていた。その理由は簡単だ。外で遊ぶことが好きだから、というのもあるが、なんといっても、家から解放されてお泊まりできる、と大きな魅力があるからだ。
家から解放された私を誰が止めることができようか。いや、とめられない!
いやまぁ別に家が嫌いというわけじゃないよ? もちろん、私を束縛するお母様らの行動は正しいと思うよ? でも、それはそれとして、自由奔放にしたい気持ちは抑えられないわけでして。
そう考えているうちに、ついに廊下の足音が聞こえなくなったので、私はそそくさとベッドから抜け出した。
――――――――
早速私は鞄へ向かい、カーテンを少し開けて部屋に月明かりを取り込んだ。忘れ物はないかしら? それを旅のしおりで確認しなくっちゃ。
しおりを探すため月明かりを頼りに鞄を漁る。服やら固い何かやら、なんやかんやと大荷物だ。
「あぁ、ありましたわ」
そしてしおりらしき紙を見つけて取り出した。のだが。
「残念、はずれかー」
『いや、普通にそっちも……というかむしろその手紙こそ確認しなよ』
「むぅ」
私が取り出したのはカルトラからの手紙である。暑中見舞いとかそんな優しいものではなく、今回のお仕事の依頼内容が示された手紙である。
そう、私は今回の林間学校で、学校行事とは別にカルトラから受け取った仕事を達成する必要がある。しかも、これまでと違って少しややこしい仕事だ。
「はぁ、仕方ありませんわねぇ」
私はその仕事を再び確かめるべく、念のため先ほど開けたカーテンを閉め、魔術で夜目を効かせてカルトラの手紙を読み直すことにした。
――――――――
お読みいただきありがとうございます。もし面白いと感じてくださいましたら、是非ともブックマーク、そして下にある「☆☆☆☆☆」をクリックして応援していただけると嬉しいです。ついでに以下も読んでください。
しばらくの話は、一日目や二日目、三日目四日目、と明記しつつ進めます。わかりやすいね。加えて、昼や夜といった時間を明記します。昼夜を明記するのは、ストーリー上の展開と関係があるのですが、それについては次話で説明いたします。
また現在、ある実験的な試みを考えており、いくつか協力していただきたいことがございます。
協力していただきたいこととは、今後しばらくの本作品の投稿に関して、特に気に入った投稿や、求めている路線の投稿に関しては、積極的に「いいね」していただきたい、ということです。もちろん感想でも構いません、むしろウェルカムです。
よりよい作品作りをしていくために、ぜひともご協力よろしくお願いします。
あとだれかレビューください。辛口でもいいので……




