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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第2章 低学年編

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幕間の間 期待以上に期待して

お読みいただきありがとうございます。

話数の数え方を変えましたので話数が変わっていますが、内容と順番は同一です。

「私は合格かしら?」


 カルトラはステラの諸々の行動を非常に高く評価していた。


 カルトラとしては、敵対的な行動をした時のステラの行動の可能性はあっても二択だと考えていた。


 一つ目の可能性は、カルトラが敵対的な行動をしていることに気づかないこと。

 ステラは貴族の娘として生きている少女である。だから、彼の言ったことを十分に理解できない可能性は非常に高かった。

 しかし、話しているうちに、どういうわけかステラはカルトラの言葉の意味をほとんど理解していることがわかった。ならば二つ目の行動の可能性が高いということになる。


 二つ目の可能性は、ステラが動揺し、カルトラに交渉を持ちかけること。普段は温厚な彼が急にそんなことを言い出すなんてありえない、とステラが言うことを期待していた。


 現実は違った。彼女は思ったよりずっと冷静で、そして冷徹だったのだ。


 ステラは彼の言葉を理解すると即座にカルトラの首元に氷を向けた。


 彼にとってこれは予想外だった。一線を越えることに迷いがないとは思っていなかったからだ。初めは毅然とした態度を取るも、さすがに余裕がなくなった。


 しかし、この行動は決してステラに対してマイナスな要素ではなく、むしろ非常に好印象を受けた。何事も引かない人間は大抵強いという彼の持論によるものだ。


 評価できた点はもう一点あった。それは彼女の次の行動だ。

 ステラはカルトラにテストをしていることを尋ねた。彼が評価しているのは、その事に気づいた点も当然あるが、それだけではない。


 ステラはあの時、確実に臨戦態勢をとっていた。おそらく、あの時の言葉次第で本当に氷を放っていただろうと、カルトラは肌で感じていた。だからこそカルトラも言葉を慎重に選ぶ必要があった。

 あの行動を意識的にしたのか無意識でやっていたのかはわからなかった。しかし、ここまで徹底した立ち回りをできるのはあまりにも想定外であり、想像以上であった。


「合格というか、満点以上だよ。度が過ぎている」


 カルトラはそのように言うか迷ったが、結局言わず、むしろギリギリ合格したかのように演じた。

 彼女がそこまでの苦難を想定したのなら、その想定に合わせるが都合がいいと判断したからだ。そのほうが、要求も通りやすく、彼女が不満がることはないだろう、とカルトラは考えた。


 それは思いもよらぬ方向で効果を発揮することになった。


――――――――


 思ったより早くノルンが帰ってきた。

 カルトラにとって、これは既に予想していたことだった。ノルン様が早めに帰ってきた時は一度話を中断すればいいだけだ。今日、すなわち降臨祭の日にステラが家にいることはなんら不自然ではないので、それで済むだけの話だった。


 しかし、ここでカルトラは一つ面白い案を思いついた。


 ――そういえば、ステラは魔法を教えられるんだったな。ならば、ノルンに魔法を教えさせるのはどうだろうか。


 ここで先ほどの言葉が良い意味で効いた。今の彼女に対してであれば、二つの要求も通るはずだ、そう予想したのだ。

 もしうまくいくならかなり楽ができる。なにより、魔法を教えるべき時間がフリーになるという状況は彼にとって非常に都合が良かった。


 なので、カルトラはステラに追加の要求をすることを決断し、急遽シナリオを変更した。


――――――――


 これもまたうまくいった。……多少家が火事になりかけたけど。


 いや、カルトラが驚いたのはそれではなく、あの練習方法だった。あんな方法をカルトラは知らなかった。ノルンに教えることになっている手前、一応一通りの教育方法は学んだつもりだったが、それでもなお知らなかった。


 あれは一体……?


 やはりステラという少女は未知の要素が多くあった。


 カルトラは引き続き、ステラを観察することにした。


――――――――


 それから、ステラに元々の依頼を渡してから家に帰した。

 元々の依頼というのは、魔法に関する仕事をいくらか手伝ってもらうこと。


 狙いはいくつかあった。


 まず単純に、仕事が追いついていないのだ。

 執事の仕事は案外楽しくて、他の仕事にろくに手が回っていなかった。しかし仕事は仕事、やらないといけないわけで。

 そこで猫の手ならぬステラの手を借りるに至ったわけだ。決してサボりたかったわけではない。


 そしてもう一つの狙いは、少女を使うことでいくつかの障壁をスキップできる依頼をこなしてもらうことだった。

 貴族の少女というのは非常に好都合だ。利用できることに越したことはない。


 それから何ヶ月間の間に、カルトラはステラはいくつかの仕事を彼女に任せた。


 やはりカルトラの判断は間違ってなかった。彼女は非常によく動いてくれた。それも都合が良すぎるくらいに。


 カルトラにとって特にありがたかったのは、禁書の回収の仕事の手伝いだ。

 子ども向けの見学ツアーに参加させることで、厳重なセキュリティのかかった図書館の第一セキュリティを突破させ、裏口を開けさせた。それによってカルトラはすんなりと仕事をこなし、禁書を回収することができた。

 彼女なしにあの仕事はできなかった、といっても過言ではない。


 これまでの仕事の完遂度から、カルトラはステラを非常に信頼していた。ステラになら多少の重い仕事でも任せられるだろう、とすら考えていた。そして、一つの行動を思い出した。


 ――そういやステラちゃんって、結構強気な子だったよな。


 少なくとも、そういう魔法が抵抗なく使えることを、あの日の氷の刃から分かっていた。

 だから彼女は仕事によっては多少手は汚してくれるのではないか、と彼は推測した。そんな仕事を任せてもいいというほどに信用もしていた。


 もちろん、当然だが人間に対して手を汚させる気は一切ないが。


 それでも、それなりに重い仕事くらいなら任せてみようかと思い、彼は色々と模索して――


――――――――


『――というわけで、よろしく』


 夏になり、ようやく手頃な仕事が舞い込んできた。あまりの都合よさにガッツポーズを行いそうになるほどに。


 早速カルトラはメッセージを書いた。

 そして、ついでに高まった気分で思わず作ってしまったカルネと共に、ステラに仕事を依頼した。





 林間学校内での、彼女の行動を期待して。








お読みいただきありがとうございます。


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