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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第2章 低学年編

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幕間の間 情報戦だからおしゃべりに

お読みいただきありがとうございます。

話数の数え方を変えましたので話数が変わっていますが、内容と順番は同一です。

 降臨祭の日。


 カルトラにとってこれはチャンスだった。


 カルトラの根回しによって、家にはカルトラしかおらず、ステラのメイドは軒並み忙しいという状況が作られた。

 おそらく、ステラは一人でここへ来る。


 お菓子もちゃんと用意しておいた。彼女が食べている間に油断することをカルトラは知っていた。


 少し待ち、そして――


 リンリンと玄関のベルがなった。開けてみると、目線の先に人はおらず。


「どなた様で?」


 成功を確信し、カルトラは下にいる一人の少女に目を向けた。


――――――――


「あら、アッサムティのいい香り。でも私は紅茶が苦手なの。できればジュースをいただけるかしら」

「それは失礼」


 カルトラの仕えるメリダ家は紅茶好きが多い。いつもの癖で紅茶を出してしまったが、それを引っ込めて、あらかじめ準備していたステラの好物であるオレンジジュースと、それからこちらも準備していたケーキを出した。これはステラがすぐに帰るのを防ぐためのものだった。


 予想通り彼女は席に座り、カルトラの話を悠長に聞いてくれた。


――――――――


「うーん、どこから話そうか……そうだな、物珍しい子どもがいたって話から始めようか」


 彼女が食べ終わったのを確認して、カルトラは本題に入ることにした。


 この本題を話す意味は二つあった。

 一つ目は彼女の弱みを握っていることを明確化させる点だ。ただ知っているだけでは弱い。経緯を持って知っている点を明確化させ、彼女の退路を防ぐという狙いがあった。


 二つ目は真実を確認したかったという点だ。既知の内容の中にブラフを混ぜ、彼女の反応を見たかったのだ。

 カルトラは自分で調べていながらも、その情報が信じられていなかった。だからこうやって確かめるに至ったわけだ。


「お嬢様は、オレンジジュースを選ばない」


 彼女が落としたグラスと、彼女の表情。そしてそれから少し話すことでカルトラは確信した。彼女が魔法、いや魔術を使えることは間違いない。そして、それを彼女は隠そうとする意思があり、加えてそれが見つかってはいけないことを彼女は知っている。


 それはカルトラにとって非常に好都合だった。


 続いて、カルトラは、経緯を話していく中で、自分が持っている噂がどれほど事実に近しいのか、ということを確かめることにした。


――――――――


「ねえねえ聞いているの、聞いていないならこっちから話すけどいいよね」


 カルトラは彼女の反応を見ながらペラペラと饒舌に話した。


 言葉は情報であることを考慮すると、その行動は誤っているようにもみえた。


「うん、コミュニケーションは大事」


 しかし、カルトラはそれでも話し続けた。


 理由は簡単だ。

 まず、彼は話術に自信があった。色々と話しながら、重要なことは一切話さない。それが普段からやるカルトラの話術であり、今回もそれをするだけで良かったのだ。


 加えて、多少失敗してもそこまで問題ではなかった。なぜなら、そこで失う損失よりも得られるメリットの方が大きかったからだ。


「――と、そうは言ってもだ。――」


 ステラは黙ったままカルトラの話を聞いていた。

 おそらく彼女は気づいているのだろう。自分が話す一つ一つが情報となってカルトラに渡ってしまうことに。だから、黙ることで彼女はそれを防ごうとしていた。


『甘いんだよね』


 カルトラは心の中で笑った。言葉だけが情報だと、そう考えている時点で甘いのだ。


 言葉は情報を伝えるための一つの手段でしかなく、言葉ほど嘘で塗り固められる不誠実な情報もそう多くはない。

 情報とは言葉だけではない。身振り手振り、仕草、表情、言葉と言葉の隙間、目の向く先。その全てが情報なのである。

 その点で、彼女は多くの情報をカルトラに提供してしまっていた。


「――それで、その時に不自然な霧ができたのさ。その時僕は確信したね。これはステラちゃんに違いない、と」


 そして、提供した情報の中には、カルトラが最も欲しがっていたものもあった。



 ――やはりか!



 彼女の反応は間違いない。本命を引き当てたカルトラは勝利を確信した。


 やはり、彼女はドラゴンに対して少なからず関係していた!


 当然ながら、彼はその日その場にいなかったので、霧に関してはまったくのブラフだ。しかしステラの表情を見ると、彼女が霧を出すことに対して関係していたことは明らかであった。


 カルトラにとって、この情報は本日の損失を十分に相殺し、むしろ有り余る価値があった。ブラフでさらに深く聞くか迷ったが、それは自分の無知を晒すことになりかねないので適当に話を切り上げることにした。


 ただし、カルトラは先ほどのステラの僅かな違和感を見逃さなかった。ステラはあの一瞬、少し安心した表情をしたのだ。そしてカルトラは、彼女の様子から自分の言葉に僅かな誤りがあるのだと予想した。彼女が安心したのは、その誤りに気づいたためだろう、と。


 そして、それならばどこが間違っていたのかは明らかであった。


 アルカだ。彼女が霧に関わっていたに違いない。彼女も少なからず関係していたのだろう。

 そうなれば、彼女がステラに魔法を教えたのか? いや、おそらく違うな。随分と昔に彼女と魔法について話したことがあったが、アルカは明らかに魔法に対して無知であった。じゃあ逆で、ステラがアルカに魔法を教えたことになる。


 へー、そういうこともできるのか。

 カルトラは素直に感心した。人に教えられるということは、それ以上に熟知しているということである。それについてもカルトラは気になっていた。


――――――――


「――ま、この辺でいっか。話す話題も尽きたし」


 そんなことを考えていたカルトラだが、その一方で彼女に対する評価は概ね良好だった。まだまだ甘いところがあるものの、今後鍛えれば済む話なのでそこまで気にしていなかった。

 そもそも彼は初めから、彼女を利用するつもりはあったが、非道に扱うつもりはないのだ。

 もしそのつもりなら、彼はとっくの昔に彼女を強制連行していた。魔法が使える相手を無力化する方法を彼はいくつも知っていたし、見てきたのだから。


 だから、あとは適当にネタバラシするだけだった。


 しかし、カルトラは考えてしまった。

 ここまできて急に友好的になるもの不自然だし、何より面白みがないと。


 彼女の思考力を試すという点でも、彼は少し彼女を挑発して楽しむことにして――


――――――――


「っちょっっと待ってステラちゃん、脅しにしては流石に一点を狙いすぎというか――」


 でも、ステラちゃんがそこまでやってくるのは聞いてなかった。



 ……いや首筋は普通に死ぬよ?


お読みいただきありがとうございます。


もし面白いと感じてくださいましたら、是非ともブックマーク、そして下にある「☆☆☆☆☆」をクリックして応援していただけると嬉しいです。

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