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かつて最強と呼ばれた男は前世の知識と共にTSお嬢様を満喫するようで  作者: 赤木林檎
第2章 低学年編

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幕間の間 尤もらしい一つの仮説

お読みいただきありがとうございます。

話数の数え方を変えましたので話数が変わっていますが、内容と順番は同一です。

「カルトラ様ではございませんか」

「あーモンドさん。どうも」


 ある日、カルトラは町でモンドと出会した。

 彼はステラの家の庭師である。なるべく多くの人間と仲がいい方が都合がいいので仲良くしている人間の一人だ。


 カルトラはモンドから何か面白い話を聞くべく、いつものように話を振った。


「この前言ってくれたようにしたら、庭が綺麗になりました。流石はモンドさんです」

「いえいえ、また何かあったらなんでも言ってくださいね」


 カルトラが相手の懐に入るためによく使う常套手段の一つである。相手の得意領域に関して尋ね、その成果を報告し感謝する。人は人の上に立てることで非常に満たされ、それと同時に下にいる人間を好意的にみることが多い。

 モンドも例外ではなく、今となっては街で会っては雑談をするほどの仲になっていた。


「それで、本日はどちらへ?」

「今日は知人の広場の修理を手伝わされましてね。まったく、私も歳なのにこき使いやがる」

「あはは、それはまたご苦労様です」


 広場が壊れているのは、前にドラゴンが町に現れた時の影響だ。あの事件は街に甚大な被害を及ぼした。


「しかし、あの事件は不思議なものですよね」


 そう、どういうわけか直接的な被害者はほとんどいなかった。カルトラは今日もその事件について調査をしていたのだが、あまり芳しい結果は得られなかった。


 あの事件の収束結果は明らかに人為的なものだった。しかし、少なくともそれは勇者といった表立って魔法を生業をする人間ではなかった。じゃあ裏の人間かとも思ったが、カルトラの知るかぎり、そういう人間はいなかった。つまり、彼の知らない人間の関与の可能性があった。


 それは、カルトラにとって最も脅威だった。わからない、ということほど恐ろしいことはないのだから。


 しかし、一向に手がかりが見つからなくて半ば諦めていた。


 そんな中、モンドが口を開いた。


「実をいうとね、私もあの日ドラゴンに会いまして。確かこの辺だったかな。ドラゴンが目の前にやってきて」

「それはそれは。ご無事で何よりです」

「たまたまですよ。ドラゴンが何をするわけでもなく霧と共に遠くに行ってくれたものでして」

「ほぅ」


 霧なんてドラゴンは出さない。ドラゴンの炎により空気中の水分が蒸発したものだとも考えにくい以上、これも人為的なもの。この話は確信につながる可能性があった。


「その時周りに誰かいませんでしたか? 特徴的な姿の人とか」

「うーん、車も人もいっぱいいたから分かりませんなぁ」

「それはそうですよね……」

「あぁ、でもステラ様にはお会いしましたよ」

「へぇ、ステラ様ですか」


 その名前が出るとは思いもしておらず、カルトラは思わず驚きの声をあげてしまった。重要そうな話なので、慌てて話を本筋に戻した。


「っと、具体的にはどのあたりで?」

「えぇっと、確かこの辺であって、それで私がここまで歩いてきた時にドラゴンが来て……」


 カルトラは頭の中で各々の行動をシミュレートした。道の混雑、モンドの位置、ステラの位置。モンドはステラとここで会い、その後このように動いたとしたら……



 ……まさか?



 いや、合点はいく。最近のステラのステータスを考えれば不可能ではない。魔法も体力も知性も、聞いた部分だけは足りてしまう。霧を出すくらいなら、そちらに走るだけなら、それは可能なのだ。


 わずかでも可能性がある話がこれまでなかった以上、ステラの関与という可能性は、現状最も可能性のある話であった。そんなこと、あっていいはずがないのだけれど。


「すみません、急遽用事ができたので失礼します」


 カルトラはこの話を聞いた直後から調査の方向性を変えた。具体的には、ステラの可能性を考慮した調査に切り替えた。


 少し不法侵入などを繰り返して彼女の家を調べるなどして――


――――――――


 その調査結果、ある仮説に到達した。


「おそらく彼女がドラゴンに関与した人間のうちの一人だ」


 ありえないことばかりで信じがたい。しかし、一年以上かけてようやく辿り着いた結論だ。反論意見をあらかた潰し、それでもなおこの仮説が否定されることはなかったのだから、この仮説は限りなく真実に近い。


「彼女は本当に使えるぞ」


 カルトラはついにステラを仕事で使うことを決意した。





お読みいただきありがとうございます。


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