第69話 いきなり登場、いきなり暴露
お読みいただきありがとうございます。
以前とは話数が変わっておりますがお気になさらず。
うーん。
うーーーーーーーん。
いやダメだろこれ。
「あれ、ステラちゃん。久しぶり」
「ひ、お久しぶりですね」
「おかえり、ノルン様。こちらへどうぞ」
「うん、ただいま……ってクッキーとジュースがある!」
「はい、どうぞ。お母様には内緒ですよ」
「やったー」
なんと、カルトラとちょっとしたお話をしている最中にノルンが帰ってきて、しかもそのままこの部屋までやってきたのだ。カルトラはさも当然のように執事をしているものの、私はまるで意味が分かっていない。
慌てるな、私。確か、ノルンが来る直前にカルトラと打ち合わせをしたはずだ。それを思い出してみよう。
はい、回想スタート。
――――――――
「僕に適当に合わせること。いいね」「はい?」
ガチャ。ドアが開く。ノルンが来る。
――――――――
はい、回想終わり。
……短い! 短すぎる! 回想をした意味がまるでない!
ってかこれ、打ち合わせでもなんでもないじゃありませんこと? 一体どうなっていますのよ!
「ステラちゃん、来てくれたんだ。嬉しい! もしかして待たせたかな?」
「ええっと……」
「ステラ様もつい先程、来たところですよ。ね?」
「ぇ、えぇもちろん」
あの打ち合わせでただ一つ言われた言葉に従い、カルトラと話を合わせつつ、どうにかして状況を理解しようと試みた。どうやら、先ほどまでカルトラとお話していたことは秘密というスタンスらしい。ということは、私のことをバラすつもりはないということだろうか。
「あれ、ステラちゃん、お菓子食べないの?」
「えぇっと、それはその……」
ここで例の打ち合わせに無かった事態が発生した。具体的には、ノルンが来る前に既にたくさん食べた私は、もう既にお腹がいっぱいななのである。しかし、それは私らしくなく、その点でノルンに疑われているようだ。おいノルン、私をなんだと思っている?
しかし困った、どうしようものか。
「ステラ様は今日のディナーに向けて準備をしてるんじゃないかな?」
すると見かねたカルトラが助け舟を出してくれた。
「今日は降臨祭、だからパーティみたいにたくさんの夕食がくると考えたわけだ。そうだよね。ね?」
「そういうことでございます、えぇえぇはい」
少し癪ではあるが素直に乗ることにした。
なるほど、そんなことを考えていたのね、賢いじゃん私。そんなことは微塵も思っていないけど。ってか確かにやばいな。またお母様に怒られる、どうしよう……
と、今晩のことはさておき、誤魔化せたので今はこれでよしとしておこう。
「そうだノルン様もクッキーは控えめでお願いしますよ。夕食があんまり少食ですと、間食がバレて僕が怒られるのですから」
「確かに、カルトラの言う通りだ。うん、分かった!」
ノルンは素直にカルトラの話を聞き、手に持っていたクッキーを入れ物に置き直した。あら、子どもは素直でいいわね。
「さて、実はステラ様を呼んだのは僕なんだ」
「そうですの!?」
「ステラちゃんがなんで驚いてるの?」
「あははー、ステラ様は驚きやさんですねぇ」
カルトラはそう言いつつ私の方にすごく圧を感じる目配せをしてきた。はい、すみません。
「でもどうして?」
ありがたいことにノルンの興味は既にカルトラの招集理由に向いていたらしい。私もそれが気になっていたので、その意味でも実にありがたかった。
「そうだね、でもその説明の前に一つ、ノルン様にいっておかなくちゃならない、すごいことがあるんですよ」
おそらくろくな理由ではないのだが、先ほどの会話から、私のことはある程度秘密にしてくれると思われる。
とすれば、一体カルトラは何を話すんだ?うん、非常に気にな――
「なんと、ステラ様は魔法が使えます」
――るとこ……ま?
「ええ!」「み?」「うん」
む? 今なんて言った?
さすがに唐突すぎるだろ、どう考えても。考える余裕も与えないのは反則じゃないのか。あとあまりにも想定外の動きをするのも非常に悪質じゃありませんこと?
一度落ち着こう。息を吸って吐いて。スーーハーー。
ここはメリダ家の一室。私はメリダ家の……じゃなくてラメル家のステラ。現在八才、今を輝く小学生。趣味は魔法……じゃなく筋トレ……でもなくて、お裁縫だ。うん、お裁縫という設定でしたわね。アルカとそう決めました。
よし、落ち着いてきたぞ。
「もう一度聞きますわ。なんとおっしゃいました?」
「あれ、聞こえていなかったかな? じゃあもう一度」
カルトラは少し跡のついた首筋を擦りながらそう言って、続いて間髪入れずに私と目線をしっかり合わせて復唱した。
「ステラ様は魔法が使えます」
こいつ本当に言いやがった!!?
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