守ってあげたい-21
「はるみ、純子、応援を呼んできてくれ」新田
新田は上着を投げ捨て、叫んだ。言われた二人は校内へ走った。
殴り合う中川を加勢しようとした新田を、由起子は制した。同じく、城西の連中をも睨みつけて止めた。
殴り合いは椎名の圧倒的優位に見えた。しかし、それが長くなると、次第に椎名は息を切らしていた。野球部やサッカー部の応援が到着した時には、もうすでに大勢は逆転していた。
「おう、中川頑張れよ!」
「ファイト!負けるな!」
「彼女のために負けるな!」
中川は右手を挙げて声援に応えると、最後の力を振り絞ってボディブローを加えた。もんどりうって倒れた椎名に、ゆっとりと近づくと、仰向けに転がし四の字固めに入った。悶絶のうめき声が上がり、椎名はギブアップした。しかし、中川はもう足をほどく力も残っていなかった。新田や一郎の力を借りてようやく二人を引き離すことができた。
城西の連中は、椎名が負けたことと緑ヶ丘の人数に圧倒されて、それ以上何もしようとしなかった。ただ、松本が捨て台詞を残して立ち去ろうとしたため、石やらボールやらあちこちから投げつけられた。
「おおといきやがれ!」
「二度と来んな!」
「今度はオレが相手してやる!」
皆が口々に叫ぶ中、明智は中川を抱き寄せていた。
不安そうな明智に向かって由起子は言った。
「心配しなくてもいいわ。中川君はタフだから。それに、これからもきっと守ってくれるわ。もし、暴力団の連中が来たら、わたしに言いなさい。それは、わたしの領分だから」
「…頼りにしてますよ、由起子先生」中川
中川が腫れた口をもごもごさせながら言った。
「大丈夫、中川君」明智
「どうだ、勝ったぜ」中川
明智は何も言えず涙を流していた。
「みゆきちゃん」由起子は近づいてそっと言った。「あなたの気持ちはまだ中川君に伝わっていないわ。さぁ」由起子
明智は由起子の顔を見て、そして中川に言った。
「中川君、ありがとう。…あたし、…あたし、……こんなあたしのために…、あたし、中川君のことが、好きです」明智
やんやの歓声の中、中川はゆっくりと右手を上げVサインを見せて笑った。
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