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守ってあげたい-18

 緑川由起子がテニスコート裏に駆けつると、由起子の目には立ち尽くしている中川だけが目に入った。声を掛けようとした時、まわりで呻いている三人の見知らぬ学生が倒れていた。

「あぁ由起子先生」中川

「中川君。やっちゃったの」由起子

「まぁ、しょうがないさ」中川

 由起子に遅れて走ってきた新田と山吹はその光景を見て唖然としてしまった。

「いいわ、園長先生には正当防衛ということで伝えるから」由起子

「そんなことどうでもいいよ」中川

中川は呻いている一人の襟首を掴むと揺り動かしながら怒鳴った。

「いいか、二度と来るんじゃねえぞ」中川


その男は中川の勢いに気押されながら、答えた。

「…俺らは、椎名さんに言われて来ただけなんだ」

「誰だ、その椎名っていうやつは?」中川

「…知らねえのか。椎名さんっていうのは城西のボスだよ」

「そのボスがみゆきちゃんに何の用だよ」中川

 その時、明智が坪井と立花に支えられるようにしてやって来た。中川の声に驚いてしまって声も掛けることができなかったが、中川が足音に気づいて振り返った。そして、掴んでいた襟首を放り出すと、舌打ちをして、

「もう、いい。とっとと帰りな」と言った。

城西の三人はふらつきながら去っていった。土手に上がって越えようとする時に言い残した。

「いいか、次は椎名さんが来るぜ。椎名さんはこわいんだぜ。おまえなんか、相手になんねえからな」

「うるせえ、消えろ!」中川

中川はいつもの冷静さも失って怒鳴った。怒鳴って振り返ると、怯えたような明智の様子に戸惑ってしまった。

「もう、追い返したから、心配するなよ」中川

明智は静かに頷いた。

「また、来たら追い返してやるよ」中川

中川はそう言いながら、明智の横をすり抜けて立ち去ろうとした。

「待って、中川君」明智

明智は俯きながら、中川に視線を合わせないようにしながら、口を開いた。

「ありがとう……。でも、いいの。これはあたしの問題だから、もう、いいの」明智

「でも、みゆきちゃん…」中川

「あの連中は、札つきのワルよ。さっきの松本だって、何人も入院させたの…。これ以上やったら、中川君が危ない…」明智

「いいよ、おれはただもんじゃないから」中川

「んん。椎名…さんはおそろしい人よ。暴力団ともつながりがあるし…。だから、やめて」明智

「おれは、おれがやりたいようにやる。それがおれの生き方だ」中川

「…でも。あたしが、わるいのよ……」明智

 ためらいがちに、ひとことずつ確かめながら、吐き出すように、明智は続けた。

「……あたし、ワルだったの……。それで、あの人たちと、つきあってて……。…それが、……嫌になって…、リンチがあったの、…それを見てて、嫌になって……、それで転校したの。本当は、もっと遠くへ行きたかったけど、……けど、お父さんにもお母さんにも言えなくて、怖くて、ワルイことしてたのが、言えなくて、…私立だからあいつらも手出しできないと思って、それでここに入るのに勉強して。……だけど、もうダメだから」明智


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