守ってあげたい-16
一瞬険悪な雰囲気の中、扉が開いて、由起子先生が入ってきた。
「あら、どうしたの?」由起子
「いや、別に」中川
「先生、何かいい話でもありました?」坪井
「そう、中川君、喜んで。スポンサーがついたわよ」由起子
「本当ですかぁ。おーし」中川
「誰なんです?」新田
「ミキちゃんが出してくれるって」由起子
「ミキって誰?」中川
「知らない?中川君でも知らないの?二年F組の立花美生。彼女が出してもいいって」由起子
「立花って、純子ちゃんのお姉さん?」中川
「んん、わたし、一人っ子」立花
「じゃあ、別…人か。あれっ、別人っていうのか?」新田
「でも、そいつ中学生だろ。どれだけ金がかかるかわかってるのか?」中川
「もちろん。ちゃんと説明したわ」由起子
「だけど、たった100部作るとしても、写真集は目茶苦茶高いんだぜ」新田
「彼女は金持ちなの」由起子
「お嬢様ってことか」新田
「違うわよ、新田君。彼女が金持ちなの。中川君、金儲けが得意なのは君だけじゃないのよ」由起子
「どういうことだよ」中川
「まぁ、いいじゃない。ただし、契約は厳しいわよ。覚悟しておきなさいよ」由起子
「でも、俺たちにも儲けはあるんだろう?」中川
「それは、交渉次第ね。それでいい?」由起子
「それでいいって言われても、どうしようもないよ。とりあえず、話をしに行こうか」中川
「いいわ、じゃあ、あたしが案内してあげるから、いらっしゃい」由起子
「じゃあ、行きますか」中川
「俺も」新田
「あたしも」坪井
立ち上がった新田と坪井を制して中川が言った。
「ダメダメ。何者かわからないのに。とりあえず俺が一人で行ってくる」中川
「その方がいいわ。何人もぞろぞろ来ると、嫌われるわよ。根性なしってね」由起子
「本当に何者だ、その女」中川
「ただ者ではない、ってこと。交渉次第では、儲けが丸ごと取られるかもよ」由起子
「……ーん。たまんねえな」中川
由起子先生に促されながら、中川は部屋を出た。
由起子は中川を自分の車に乗せて、立花美生の家へ急いだ。
「先生、そいつ大丈夫なの、本当に?」中川
「大丈夫よ、悪い娘じゃないから。それより、中川君、明智さんのことだけど」由起子
「何?」中川
「あの娘、ちょっと厄介なことになってるみたいね」由起子
「……知ってるよ」中川
「調べたの?」由起子
「あぁ……」中川
「どうするの?」由起子
「どうするって。……俺のやりたいようにやる」中川
「そう、それならいいわ」由起子
由起子はそれ以上明智の話題を出さなかった。美生の話題を話してくれたが、中川の頭には何も入らなかった。
―――やっぱり、ヤバイことになってるのか。
ただ、それだけが頭の中を巡っていた。自分の情報が間違っていることだけを望んでいたのにこんな形で伝えられるとは。雨の中を由起子の車は疾走していった。
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