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闇魔法の使い手  作者: 葉月 縷々
最終章 異界戦国時代編
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第306話 立場から成る責務と王としての役割

すいません、死んでました……(ヽ´ω`)


言い訳がましいですけど、退職と引っ越しって体力持ってかれますね……初めてだわ、五年以上の荷物は溜まってるわ、掃除は大変だわで疲れました……へ(×_×;)へ


※微グロ注意&次の更新は恐らく正月です。


 俺の立場は言わずもがな魔帝である。


 平和主義、日和見主義の魔王を下し、戦争屋の帝国を配下に世界の平定を目論む悪の帝王。


 故に……


「〝力〟が欲しいか?」


 望まない職務を全うしなければならない時もある。


「とは……言わない。俺は憎き連合のそれ以上を与えられる器じゃあないからな」


 どんなに俺流にアレンジを加えようと、大隊規模の新兵達相手という決してミスれないこの状況は何と言うかその……


「それに、〝力〟なら持っているだろう?」


 痛キツい。


「頭が、手が、足がある。頭突きが出来る。殴れる。蹴りだって簡単さ。剣がありゃそれでも良い。石を拾って投げるだけでもまあ脅威にはなる。それも無理なら爪を使え、歯を使え」


 ヴォルケニス甲板上に用意されたステージ、何の為かもよくわからん机の前。


 仰々しく両手を広げ、熱く語る俺の視界には千を越える軍勢がズラリと並ぶ姿が映っていた。


「どいつもこいつもそれを磨こうとしないのは何故だと思う?」


 人前で話すのはどうってことはない。慣れた。問題はこのルゥネお手製の台本のセリフ回し。


 仮面越しでも恥死しそうだ。


 後ろの方で、「ぶふぅっ」、「ぎゃははははっ!」とココやアリスが腹を抱えて笑ってるのも拍車をかけている。


 笑いたきゃ笑えと言った途端にあれだ。ここぞとばかりにニヤニヤニマニマしてるエナさんとメイも同罪だな。後でシバく。


 せめてスイッチが入ってたら変わるんだがなぁ……


「怖いからさ」


 とはいえ、それを表に出せるわけもない。


 俺は《威圧》と並行して紅の〝絶剣〟を抜刀。掲げて見せながら続けた。


「それを持った結果、他者との繋がりに齟齬が生じる。人はそれが何より恐ろしい……愚かな感性だとは思わんかね?」


 実情はどうあれ、俺は魔帝。こいつらは元奴隷だけで構成された俺直属の遊撃班。


 感謝、恐怖、畏敬、忌避……多種多様な感情を秘めた目で見つめるコイツらにとって恩人だ。


 流石に十歳以下の子供や老人は別に回したが、大人は性別問わず入隊させた。殆どが獣人つっても脅威だろう。


 何せ全員が〝気〟を扱える。アリスやレヴィ辺りが鍛えてやれば銃火器を装備した連中にだって張り合える。


 爆発する棺桶(バーストコフィン)も改良を重ね、魔力充電池(マナコンデンサー)直結のボタン一つ押せば魔力の無い者でも使えるようになっている。それも低安価、低品質で、だ。


 元奴隷のこいつらも言ってしまえば安物。


「人と違ったら、皆に合わせなきゃ、変なことを言ったら嫌われる、目立ってしまったら……」


 俺は俺の為に働く手足が欲しい。


 コイツらは大義名分はどうあれ、復讐がしたい、暴れたい、俺に報いたい、家族の元へ帰りたい。


 これこそWin-Winの関係と言えよう。


 既に奴隷の首輪や紋章による契約は【抜苦与楽】で『抜』いてやった。


 つまりは自由意思による服従。


 その代わり、逃亡者と反抗的な者は見せしめに晒し首にしてやったが。こっちは女子供も含めて今も俺の足元で山積みになっている。


「実に下らない感傷だ。君達もそう思うだろう? そんな下らない(しがらみ)と奴隷時代の過去……どちらが恐ろしいかね?」


 言いながら、刀剣から紫炎の刃を放ち、空を明るく照らすと、殆どの者がたじろぎ、怯えたような表情を見せた。


 犯罪、借金のカタ、口減らし、身分に無理やり狩られた者。


 中には人族も居るが、大半は獣人族なのだ。


 命を救い、奴隷という身分から解放させ、仕事を与えてくれる雇用主相手でも早々トラウマは消せまい。


 ーーいや普通に旦那様が怖いだけでは? 返り血を敢えて浴びたりするからですわ。


 ルゥネのジト目ツッコミが入り、一瞬言葉に詰まった。


 そうは言うが、年齢や才能に応じた役目を割り当て、前線が無理なら後方での支援、それも無理なら生産業をやらせたりと融通も利く。出自に関係なく、優秀なら、あるいは本人が望めば魔帝軍内部での地位も約束してるんだから勘弁してほしい。


「今や……君達は自由だ。何故か。それは〝力〟があるからだ。武器も与えた。後ろ楯もある。ありとあらゆる権利も返してやった。それでも足りなければ俺を殺せ。さすれば魔帝の地位もくれてやろう」


 年齢や性別という垣根が存在しない、深い怨恨はビビりながらも睨むように俺を見上げてくる視線で理解出来る。


 しかし、俺の傍らに王家の人間(レヴィ)が居るのでは反抗心も揺らぐ。


 本来ならもう少し平和的に進めたかったが……仕方ない。やり方は強引でも同盟には持ち込めた。本国からの増援も期待出来る。


「我が魔帝軍は〝力〟が全てである。個々人の恣意的な略奪以外、大抵のことは許容している。生まれや種族なんぞ気にせず働くがいい」


 奴隷という最低辺の身分を経験した人間からすれば俺ほど理想的な上司は居なかろう。


 一定ラインを越えた失敗や無能、命令違反がイコールで死に直結しているのも目を瞑れるくらいには破格。


 事実、アリス達は売国奴のレッテルはあれ、要職に就けている。


 発言権もあるし、俺と対等に話もしている。


「ま、こんな時代だ、残念ながら給金は確約出来んがな。とはいえ、敵兵一人殺せずとも働いたのなら腹いっぱい食わせてやる」


 失うものもなければ他に生きる道のない奴にとって俺の元で働くことこそ立身出世唯一の方法。


 軍が勝利している限り、安定して食っていける。


 その上で……


「どれ、誉れある一番槍の手本を見せてやるか」


 偉そうに大口叩いてるトップの俺が先陣切って突撃し、手柄を立てる実力派の王だとわかればやる気も出る。


 戦場にも出ず、上から一丁前に文句だけ言ってくる奴に比べればよっぽど。


「あぁ……一応警告しておくと、ここで俺が死ねばお前らは再びゴミ溜め行きだ。精々、己が能力と気概を示すんだな」


 『背後から撃つのならバレないようにしろよ?』、と。


 『〝力〟とはこういうものだ、見てろ』、と。


 暗に告げ、天を貫くように伸びていた炎の形状を幅広に。


 剣から面、面から不恰好な魔帝軍旗へと変えていく。


 円環の銀竜の前に紅と蒼の双剣をクロスしたシンプルな旗印。


 色までは再現出来ずとも……


 揺らめき続ける炎によって不安定に見えようとも……


 ()を象徴する印であることは今の時代、大陸の誰であろうとわかる。


「では……我が恐怖の奴隷(テラースレイヴ)よっ! 我が臣下達よっ!」


 〝力〟に魅せられた者だからこそ〝力〟に屈する。


 死と屈辱の日々を何よりも恐れるからこそ強くなれる素質がある。


 世界の残酷さをその身で理解しているからこそ覚悟を持っている。


 覚悟の有無は才能の差を埋めずとも、周囲に恐怖を撒き散らす。


 必要なのはそれだけだ。


 覚悟だけで良い。


 どっから流れてきたのか、『黒鬼隊』なんて懐かしい呼び名を使う奴もいるらしいが……細事だな、そんなこと。


「我に続けえええぃっ!!」


 咆哮と共にMFAを稼働させ、同じ色の炎と推進力を全身のスラスターから放出。黒銀の装甲に揺らめく業火を纏った俺は一人特攻染みた突出をして見せた。


 目指すは遥か前方を飛んでいる連合の偵察艦隊。


 ま、パフォーマンスだな。


 見た目ほど大袈裟なもんじゃない。


 返り血が蒸発する温度でも内部は熱を通し難いよう調整してもらってる。


 ーーあぁっ!? 旦那様っ、それ止めてくださいって何度も言いましたわよねぇっ!?


 なんて、置き去りにした後方から届くルゥネの金切り声も無視。


 ()()なら何したって無駄だ。


 さて……


「憂さ晴らしにゃもってこいだ。数隻は沈めてやると……す、る……かッ!」














 言うや易し、行うのも易し。


 たかだか十隻もない小規模艦隊なんぞ今の俺では準備運動にもならない。


 自力で飛べもしなければ近付かないと働けず、MMMを動かせもしない獣人族はその事実だけで戦士なり得る。


「ま、こんなもんか」


 手柄を残さないのでは実戦経験も積めない。


 盛大な黒煙と共に墜落していく四隻の魔導戦艦を見下ろしつつ、俺を狙って咲き誇る弾幕花火を上昇で躱しつつ。


 後方を見やると、以前よりも遥かに巨大化した棺桶の群れが突っ込んできていた。


「安全装置も付けた……人数×コストの問題もクリアした……事実、事故は無し。後は……」


 奴等次第。


 前線には出れても、魔族の航空部隊やアンダーゴーレム隊が足を担わなければ満足に戦えないのでは耐え難い屈辱だろう。


 だから無理をしてでも戦果を出そうとする筈。


「となりゃあっ……お膳立てしてやらんとっ……なァッ!?」


 視覚が回復した弊害で降り注ぐ殺意の砲弾嵐を空恐ろしく思いながら叫び、爆熱。流星が如く降下して敵艦に取り付くと、艦橋ではなく、対空用の砲撃手を潰して回る。


 俺の飛行速度は世界最速レベル。


 狙って当てられるものじゃない。


 だから……


「クハッ……遅い弱い脆いッ! 態々、我が隊の初陣に花を咲かせに来てくれてありがとうっ!」


 高笑いしながらでも斬り裂き、グレネードを炸裂させられる。


 これで他の艦は俺を狙えず、取り付かれた側はどうにかして俺を墜とすしかない。


 が、機関砲やら大筒やら生命力探知ミサイルやらを撃つ人間が俺を捕捉するよりも俺の方が速い。


 そうして一隻の左半身をズタボロにすれば次。


 艦隊の脅威は並列しての艦砲射撃にこそある。


 逆に言えば並んでるから接近されると誤射を恐れて撃てなくなる。


 俺の超々肉弾戦(十八番)が綺麗にハマった形だ。


 一応、マニュアルくらいはあるのか、各部スラスターを全開にして離れているものの、そんなことをすれば墜としてくれと言っているようなもの。


「あーあ……そら見たことか……」


 俺が余程恐ろしかったのか、大量の巨大棺桶の群れに気付くのが遅れたらしい。


 その大半が怪しい光と一緒に艦隊の中、漸く出てきたフルーゲル隊&航空兵の中、あるいはそれらの土手っ腹、艦橋、機体へと突き刺さり、次々と爆発していった。


 当然、中の部下達は事前に離脱済み。


 パラシュートも無しにワッと敵艦に飛び付き、自慢の身体能力を発揮して装甲に穴を開けて見せたり、ブリッジ目掛けて跳び跳ねての直接攻撃や殴り込みと派手に遊んでいる。


 フルーゲルなんかは悲惨だな。


 センサーがあると言っても、数が数だ。対処するしない以前に頭部ユニットや装甲版を剥がされ、両腕部を吹き飛ばされ、無力化されていた。 


 一部、降下途中にブリッジを爆破させたり、航空兵に体当たりして八つ裂きにしてる奴も居る。


「ほう、器用なもん……っと、お出ましかっ……!」


 寝転がるような体勢のまま義手を突き出し、引っ掻きながら観察していた俺の周囲をこの艦の迎撃隊が囲むように現れた。


『貴様っ、よくも!』

『こ、こいつが魔帝かっ……!』

『戦場のど真中でふざけておってぇっ!』

「燃えてっ……いや、強力過ぎる『火』と『闇』の魔力が炎の形となっているのか……!?」

「その姿っ、紫炎を纏う黒い鬼っ……噂の襲撃者はやはりお前だなっ!」

「となるともう一人はライ様っ……流石はっ……!」


 性能はわからんが、今までよりも微妙に全体のフォルムがトゲトゲしてるフルーゲルが十二機と量産型MFAを装備した兵が三十と少し。


 ここまでやられたらの精神で全部隊を俺に差し向けたようだ。


 ご丁寧に全員が散弾バズーカを両手に持ってやがるのは中々に殺意が高い。


「ふーむ……やっぱアレか、連合の艦はどれも俺らのより収容力があると見た。巡洋艦にしちゃ……ちぃとばかし多い。新造艦だから中身も一新されてんのか?」


 発掘されたものを改修だけして前線に送り込んでる魔帝軍と生産している連合では規格の統一性に違いが出るのはある意味当然。見てる感じ、向こうも向こうでちょくちょく種類を分けてるっぽいんだけどな。


 なーんて。


 顎に手をやり、まじまじ、もしくはキョロキョロ見られるのはさぞや神経を逆撫でされたことだろう。しかも敵前。こっちはバカみたいに突撃してきたキング、向こうはチェックを掛けに来たポーンやナイト、ルーク。


「「「『『『貴様あぁっ!!』』』」」」


 綺麗にハモって吠え、ガチャリと武装を向けてくる。


「クハッ……ま、一人で半壊以上に持ち込んだんだ。教育にゃ」


 思わず漏れた俺の笑みを機に一斉射。


 対して俺はーー


 ーーズガァンッ!!


 と。


 背面で爆ぜた炸薬で応えた。


 散弾の強味もまた艦隊のように『面』制圧力。


 撃たれるより先に近付けば失われる。


「ぐっ……!? そんっ……でもって! 今の俺なら多少の被弾程度ッ!」


 痛いで済む。


 何なら義手を盾にしての突貫。反動の方が重い。


「シャアアアッ!!」


 離脱と共に、引っ掛ける感じで刀剣を走らせ、一人の首をちょんぱ。


「なっ、がっ!?」


 反対に義手の方は同じ要領で掴んで潰す。

 

「ぐぎえぇっ!?」


 目潰し代わりにひしゃげた肉塊を投げ付け、メインカメラが真っ赤に染まって怯んだところに『風』の属性魔法による加速&刺突、コックピット内部への炎の噴射で焼き殺す。

 

『うおっ!? なんっ、このっ……うぎゃああああああっ!?』

「んー……硬い分、MMM(こっち)の方が邪魔か」


 墜ち始めたフルーゲルを蹴って離れ、更にもう一撃。


 こんだけ固まってりゃ小型魔導砲を撃つだけで……


「「「うわああああぁっ!!?」」」


 自動で発現する魔障壁で拡散しまくる上に乱反射し、更なる牽制と恐怖演出になる。


 一方で、距離のある奴等の反応は驚愕半分、恐怖半分といったところ。


「何っ……!?」

「抜けられた!?」

『か、構わんっ、撃てっ、撃ち墜とせぇい!』


 つっても、仕留めたと思った次の瞬間には味方が数人殺られているという状況。


 一秒でも良い。


 動揺を見せれば勝ち確だ。


「キュインキュインキュイーンってなぁっ! ヒャハハハハッ!」


 何処かで耳にしたパチンコか何かの音を口で再現し、ハイテンションでMFAに点火。


 轟ッ……!


 全身にではなく、背中側だけに炎状の推進力を集中させ、急加速する。


「俺の独壇場へっ……!」


 こうなったら後の祭り。


 固まる敵兵の中を突っ切ると同時に仮面の形を変え、口元を露に。


 頬っぺたが痛いくらいに嗤った俺はそのまま反転すると、「ようこそっ、クソ雑魚諸君っ!?」と、調子に乗った文言を囀ずり、一人、また一人と引き裂き、首を飛ばし、焼き殺し、肉団子へ、物言わぬ鉄塊へと変え。


 俺にとっては楽しい楽しい……


 そして、奴等にすれば冥土の見上げにしては激しい……


 一方的な殺戮(ワンサイドゲーム)を開始するのだった。


ちょいとネタバレになるかもですが、ここまで無作為に広げまくった風呂敷を畳める能力が葉月にあれば来年で完結です。

それでは皆さん良いお年を!(*`・ω・)ゞ

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