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上手に焼けませんでした

 我が王都へ帰還して、さて、ウルスラさんの泊まる所をどうしようか。



 「んー、宮廷魔導師の宿舎に空きがあるし、私のお家も今空いてるわね。」


 「お師匠のお屋敷も部屋はいくらでもあるよ。」


 「お願いを叶えて頂けるなら、ソピア様と同じお屋敷に住まわせて頂きたいと……。」


 「ウルスラさん、様はやめて!」


 「いいえ、ソピア様、それは出来ません。そして、ウルスラとお呼び捨て下さい。」


 「あらあら、ソピアちゃん? どうなっちゃってるのかしら?」



 カクカク・シカジカと事の経緯を説明する。



 「あらぁ、テレパシーでざっくりとは聞いていたけれど、あれはノリの良いあちらの国の人達が、ソピアちゃんで遊んでいるだけだと思っていたわぁ。」


 「とんでもありませんよ、ヴィヴィさん。女神様で遊ぶなんて、そんな恐れ多い事、出来るはずもありません。」



 マジか。冗談じゃなく、マジなのか。これは困ったぞ。

 とりあえず、お屋敷の持ち主であるお師匠の許可を得ずに勝手に住人を増やすのはアレなので、一応テレパシーで聞いてみたのだけど、『構わんよ』の一言だけ帰ってきた。ちなみに、お師匠は未だエピスティーニから帰って来ていない。

 お屋敷へ帰って、料理長とメイド長に住人がもう一人増える事を告げて、ヴィヴィさんを部屋に案内する。



 「あのー……、出来ますならば、ソピア様のお隣の部屋でソピア様のお世話をさせて頂きたいのですが……」


 「ご免なさい。私の部屋は一番端で、反対側はケイティーの部屋なんだよね。」


 「でしたら、同じ部屋で付きっ切りのお世話を……」


 「ヤ・メ・テ!」



 うーん、同じ屋敷に住むのを許可したのは、失敗だったかな……

 ウルスラさんの部屋に荷物を出してあげて、部屋を出る時に振り返ったら、跪いて祈ってた。うーん、どうしようこれ……

 夕御飯の時には、私の隣に陣取り、私が食べる物の毒味をしようとする。

 お屋敷の料理人に失礼だから、やめてねと強く言ったら、渋々止めてくれた。

 お風呂に入ろうとしたら、お体を洗わせて下さいと言ってきたのだが、恥ずかしいので強めに断った。

 先が思いやられる。


 朝起きて、朝食を食べに食堂へ行こうと部屋のドアを開けたら、ドアの外で傅いていた。



 「ウルスラさん、ちゃんと寝ました?」


 「勿体無いお言葉。昨晩、小半刻程就寝させて頂きました。」



 うーん、悪化してないかこれ?



 「あのね、ウルスラさん。体壊すから、こういうことは止めて下さい。」


 「いえ、私がしたくてしているだけですから。」


 「えっとね、言い難いんだけど、ちょっと迷惑なんです。ウルスラさんは、魔法留学に来たのでしょう? それなら、自分の勉強の方に力を入れて下さい。もし止めてくれないのなら、魔導師宿舎の方へ移って貰う事も考えなければならなくなるかも。」



 うわ、泣きそうな顔になった。おばちゃんの悲しそうな顔は辛いものがあるな。

 ウルスラさんは、しょんぼりしてトボトボと自分の部屋に帰って行った。

 部屋のドアが閉まると同時に、ケイティーの部屋のドアが開いた。



 「ちょっと可愛そうだけど、仕方がないよね……」


 「ソピアちゃん、ちょっと後でいい?」



 何時の間にかヴィヴィさんも居た。

 ウルスラさんは、朝食には降りてこなかった。



 「食後にちょっと、森の小屋へ行きましょう。」



 朝食を早々に切り上げて、食堂から中庭に出ると、ケイティーの飛行椅子の速度に合わせて私達は飛び上がった。



 「あらあー、ケイティーちゃんのその椅子のエフェクト、ちょっと派手ねー。」


 「えええー、この光学エフェクトは、ヴィヴィさんのデザインじゃないですかー。私は、広告だと思って恥ずかしいのを我慢しているのに!」


 「いやー、派手で結構結構。目立っていいわー。」


 「もうっ。」


 「あはははは。」






 飛行椅子の速度に合わせて、森の小屋までゆっくり雑談しながら飛んできた。

 ゆっくりと言っても、毎刻500リグル(毎時400キロ)の速度は決して遅いものでは無いのだけどね。



 「話というのは、ウルスラの扱いに付いてね。」


 「その話の為にここまで連れて来たの?」


 「あなたがウルスラに見せたという、例の魔導を見せて貰おうと思って。」


 「ああ、あれ。何の変哲も無い、ただの電撃なんだけどな。じゃあ、ここじゃ危ないから荒れ地へ行こう。」


 「また何の罪も無い、ロックドラゴンが犠牲に成るのだ……」



 一飛で荒れ地へやってくると、ケイティーとヴィヴィを残してロックドラゴンが居る、沢の向こう側の斜面へ降り立つ。



 『!--じゃあ、いきますよー。--!』



 テレパシー通信で、ケイティーとヴィヴィさんに声を掛けてから、実演開始。

 500ヤルト(500メートル) 以上離れていると、大声張り上げてもよく聞こえないからね。テレパシーは便利過ぎる。



 『『--おっけー!--』』



 二人は手を振りながら、返事を返して来た。

 丁度ロックドラゴンが3頭、私に気が付いてこちらへ走ってきている。

 私は、頭の上に魔導リアクターを出すと、5ヤルト程の高さまで浮かび上がった。浮かび上がるのは、私の体と地面の間を絶縁する目的だ。空気は絶縁体だからね。

 今回はロックドラゴンを消し炭にする訳にはいかないので、電撃で気絶する程度の出力に抑えよう。なので、頭の上の円環もそれに合わせて若干細め。より天使の輪っぽく見えるかも。



 「なるほどねー、あれなら天使か女神に見えなくも無いわ。」



 電流は100ミリアンペア位、電圧は100万ボルトでいいかな?。

 電圧は、電子を押し出すパワー、電流は電子の流れる量の事だ。中学で習いましたね。

 だから、電圧が高くても電流がすごく少なければ痛い程度だし、逆に電圧が低くても大量の電流が流れば、死に至る。

 家庭用のコンセントは、100ボルト程度だけど、大電流が流れるので死亡事故が偶に起こる事がある反面、冬場にパチパチする静電気は2万ボルト以上にもなるのに、ちょっと痛い程度なのは、電流が流れる量がすごく少ないから。

 10メートル以上の空間を空気の絶縁を突破して放電させるには、電圧をすごく掛ける必要があるが、消し炭にしないためには電流の量を調節する必要があるのだ。


 ちなみに、落雷は電流が10万~50万アンペア、電圧は、1億~10億ボルトにもなるぞ。

 静電気なので、電流が流れるのはほんの一瞬なんだけど、確実に死ねるね。極稀に生き残る人も居るみたいだけどね。


 大電流で一瞬で殺すと、肉が焦げて商品価値が無くなってしまう。

 筋肉は、電気信号で動いている。なので、外部から電流を流してやると、強制的に収縮してしまい、動かなくなってしまう。

 電気柵なんかを握ってしまうと、電流で筋肉が収縮してしまい、握り続けてしまい、逃れられなく成ってしまうのだ。

 心臓や脳等の神経系に電流が流れると、心臓は収縮したまま動けなくなり、血液を送れなくなる。神経は、信号を送れなくなり、肺等を動かせなく成ってしまい、呼吸が止まってしまう。

 肉が焦げないギリギリの電流を連続的に流して、心臓と神経系を麻痺させて仕留めるのだ。


 ロックドラゴンは体が大きいから、どの位の電流で逝ってくれるのか分からないけど、これで効かなければ徐々に電流量を増やしていけばいい。


 足元にロックドラゴンが集まって来ました。では、放電開始。

 私の体がぼんやりと光り、眼下のロックドラゴンへ向けて、光のすじが何本も放たれる。

 ビリビリと痺れて命の危険があるというのに筋肉が収縮してしまい、足が勝手にその場で踏ん張ってしまい逃げる事が出来ない。

 哀れなり、ロックドラゴン。



 『--オッケー、分かったわ。戻ってらっしゃい。--』


 『!--あ、今仕留めている最中なので、八つ半刻程(約15分)お待ち下さい。--!』


 『『--えええー、長いよ。--』』



 ケイティーとヴィヴィさんからクレームが付きました。

 キャンプセット持ってきてなかったしなー。手持ち無沙汰だよね。



 『!--もう、最高の肉質でご提供しようと思ったのにー。--!』



 しょうがないので、魔導倉庫からレプリカ剣を取り出して、延長ソード(仮)で3頭のロックドラゴンの頭をチョンチョンチョンと落とした。

 そして、斜面を使って血抜きを……以下略。

 丁度3人なので、一人1頭ずつね。



 「さて、話は分かったわ。でも、このまま帰るだけっていうのもちょっとつまらないわね。」


 「何して遊ぶのー?」


 「遊びません。ソピアちゃんはお子ちゃまねー。」



 私はぷーっと膨れた。

 ケイティーはケラケラ笑っている。



 「ケイティーちゃんのレベルアップでもしましょうか。」



 この世界、別にゲームみたいにレベルアップはしない。

 スキルを磨く事を言っているのだ。

 スキルと言っても、ゲームみたいな特殊能力の事じゃないよ。技能の事だよ。

 ケイティーの場合は、剣術とかの戦闘技能の事だね。


 私は……無敵だからいいや。




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★★★新作書き始めました。★★★
 ⇒ 私、魔女はじめちゃいました。





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