表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/279

女神様騒動

 気を失った振りをしている私を、ケイティーがお姫様抱っこして、速やかにこの場から退場しようとしたのだけど、長官以下信者ーズ達に道を塞がれて、強引に奪い取られてしまった。


 ケイティーは、あああーと、蚊の泣く様な声で抗議したのだが、受け入れてもらえずに、何時の間にかこの場に現れた神殿の神官達にバケツリレーみたいに丁重に運ばれ、最上級の迎賓館へと運び込まれてしまった。



 『!--ケイティー、ケイティー、どうしよう、困ったぞ。--!』


 『--今、ヴィヴィさんに相談してた、大事に成っちゃったね。--』


 『--あなた達、面倒事を増やしてくれるわねー--』


 『『!--ごめんなさーい--!』』



 ただ、朝風呂に入りたかっただけなのに、何でこうなった!


 私は、ゆっくりと目を開き、何故こんな所に居るのか分からないという演技をした。

 部屋の中を見回すと、魔導師のローブを着ているのが、宮廷魔術師達、高そうなコートを着ているのが、宮廷魔法騎士達、金ピカの鎧を着ているのが、近衛兵、そして、神官や司祭っぽい人まで居るよ。うわあああ。どんどん人が増えてくるー。

 ここは、どんな事を聞かれても徹底すっとぼけ抗戦で行くしかない!



 「……あれ? ここは? ……。確か、魔法騎士団の団長とかいうオジサマと模擬戦闘をしていたはずなのに……。」


 「おお、目を覚まされましたか、不祥事を働きましたかの者には厳重な罰を与えます故、何卒この王宮には神罰を落とされませぬ様、伏してお願い申し上げます。」


 「ん? オジサマがどうしたの? 神罰? なんの事?」


 「女神様が先程の不祥事は全て不問に処すと仰された!」


 「「「「「おおおおおお」」」」」


 「まてコラ!」


 「だが、お怒りはまだ収まってはおられないご様子だ!」


 「「「「「おおおおおお」」」」」



 やばいぞ、何を言っても受け入れられてしまうぞ。沼だ、これは沼だ。

 女神ではないと否定すれば、女神様ご謙遜だという事にされ、女神だと認めれば、御神託を承ったと、全て都合の良い風に解釈されてしまう。連中の思う壺だ。

 つまり、口を開けば何でも神のお告げにされてしまう。これは困った。無言で通すか? でもそれだと逃げられそうもない。

 この中で味方と私を利用しようとしている人を見分けなければならない。



 『!--ケイティー、どうしよう。--!』


 『--私はそこへ入れて貰えないの。なんとか自分で脱出出来ない?--』


 『!--困ったな、何時まで軟禁されちゃうんだろう? まさか、帰してもらえないなんて事はないよね?--!』


 『--そうね、調印式が終わって帰る時にどうされるのかを確認してから動きましょう。--』



 調印式は、午前中、もう少ししたら始まるらしい。その後に昼食会があって、午後に帰国するとの事。

 それまで暇だな。

 私は、ベッド横に居る、おばちゃん長官に声をかけてみた。



 「ねえねえ、私、お風呂入りたいんだけど。」


 「畏まりました。男性は部屋から出て行って下さい。」



 男性の近衛兵や神官達は、多少ゴネたが、おばちゃん長官の『女神様の着替えを覗く気ですか』、の一声で、渋々部屋を出て行った。

 おばちゃん長官が合図すると、10人位のメイド達に運ばれて、スーパー銭湯みたいに広い浴室に連れて行かれて、集団で服を脱がされて、皆で頭から足の先まで丸っと洗われてしまった。自分で全然動かなくて良いのな。凄いな。

 プールみたいに広くてぬるーいお湯に浸かって出てくると、メイドがさっとバスローブを羽織らせてくる。

 体の水滴を丁寧に拭き取られ、髪も扇ぎながら小さな束にして丁寧に乾かしてから、香油を付けて、なんだか見た事も無い複雑な形に編み込まれていった。

 服も、私の元着ていた物は何処かへ行って、代わりに自由の女神が着ているみたいな長くてずろーんとした、なんだか着ているのか掛けてあるだけなのか分からない様な、防御力の無さそうな服を着せられてしまった。

 入れ代わり立ち代わり何人もの女性がやって来て、髪だの爪だのあちこち弄くり回されてしまった。



 「なんなのこれー?」


 「良くお似合いですよ。」



 本当にそう思ってる? ねえ? ねえ? って、小一時間問い詰めたい。

 部屋に戻ると、全て女性のメイドと魔術師と神官に入れ替わっていた。



 「ねえ、おばちゃん長官さん。」


 「ウルスラ・ユリーと申します。ウルスラとお呼び下さい。」


 「じゃあ、ウルスラさん、ケイティーに会いたいんだけど。」


 「ウルスラと、お呼び捨て下さい。今すぐは少し難しく御座います。調印式が終わりましたら、ご昼食会でお会い出来ますよ。」


 「私が自分の意志で出て行こうと思えば、誰にも止められないよ?」


 「存じております。」


 「ねえ、ウルスラさん、あなたは私の味方? 敵になるのかな?」


 「ウルスラと、お呼び捨て下さいませ。お願い申し上げます。私は、あなた様の味方で御座います。」



 私は、ベッドに腰掛けて、傍で傅いているウルスラさんと話をしていた。

 どうも、神官連中が聞き耳を立てているのが丸わかりだった。



 『!--ケイティー、そっちは拘束されたりはしていない?--!』


 『--さっき、ソピアと私の部屋を物色して行った人が居る。私は特になにもされていないよ。--』


 『!--昼食会には出させて貰えるみたいだから、その時ねー。--!』


 『--了解ー。--』



 さて、昼食には外へ出られるみたいなので、大人しくしておきますか。

 暇だなー……



 『!--ヴィヴィさん、ひまー。--!』


 『--自分で蒔いた種ですよ。いざと成ったら、あの空間を通って帰って来ちゃいなさいな。--』


 『!--使節団はどうするの?--!』


 『--その時は、徒歩で帰ってきて貰うか、私が迎えに行くわ。--』


 『!--ちょっと気になる事があるの。--!』


 『--なに?--』



 私は、ここを強引に出ていく事が出来る。誰にも止める事は出来ないという事を言ったら、それは理解していると返事をされた事を伝えた。



 『--ふうむ、確かにそうよねぇ、ソピアちゃんを力で縛り付ける事なんて、誰にも出来やしないわ。だとすると--』


 『!--だとすると?--!』


 『--何か、留まりたく成る様な何かが用意されているのか、帰れなく成る何か、例えば弱み?--』


 『!--美味しいご飯とか!--!』


 『--何が食べたい?--』


 『!--牛ヒレのステーキ1リブラル(450グラム)--!』


 『--まあ! それは危険ねー、居付いちゃうわー。って、コラ。--』


 『!--弱みって言っても、思いつかないなー--!』


 『--例えばね、若い頃に書いたポエムとか--』


 『!--眼帯してたり左腕に包帯巻いて、人と距離を置いて闇を抱えている雰囲気を出していた過去とか--!』


 『--まあ! なんて恐ろしい事を言うの!? そんな事を暴露されたら魂が死んでしまうわ!--』


 『!--冗談はさておき、こんな外国に弱みなんて一欠片も無いけどなー--!』


 『--そうねぇ……あ。--』


 『!--あ!--!』


 『『!--ケイティー!--!』』



 そうだ、ケイティーを何処か見つからない所へ拉致監禁されたら、私は言う事を聞かざるを得ない気がする。



 『!--ちょっと! ケイティー、聞こえる!?--!』


 『--…あ、……ソ…ア……あ…ね、い…何………どう……--』


 『!--どうしよ! どうしよ! ヴィヴィさん、ケイティーと連絡が取れない!--!』


 『--落ち着きなさーい。多分、向こうの魔力切れだから--』



 そうか、朝から通信しっぱなしで、相手の魔力切れを考えていなかった。なんとか通信出来る様になるまで、半刻(1時間)という所かな。

 それまでに拉致とか、勘弁してよね。


 その時、部屋のドアがノックされ、祭礼様の金ピカ鎧に身を包んだ兵隊が、何人も部屋に入って来た。



 ………………


 ……………


 …………








 その頃、ケイティーは自分の部屋で侵入者の形跡を調べていた。



 「……この荒らし様は、どう見てもルームクリーニングじゃ無いよねー。」



 ベッドの毛布やシーツはぐちゃぐちゃ、家具の引き出しは引き抜かれ、クローゼットの中身も散乱している。

 もしやと思って、ソピアの部屋の方も見てみたけど、同じ状況だ。

 自分達の荷物は、部屋の中には一切置いていない。全部魔導倉庫に入っているから。

 いちいち倉庫から出してクローゼットとかに荷物を入れておくと、出る時にまた仕舞わなければならないので、二度手間なのだ。

 ソピアもそうしていた筈。犯人は何を探していたのだろう?


 犯人側に立って思考してみる。

 多分、犯人は、ソピアを地上に降りた女神の顕現者、若しくは女神の力をその体に降ろす事の出来る巫女的な立場の少女だと思ったのだろう。多分、あの場に居た者は、皆そう思っただろうと思う。

 では、何がしたいのか?

 女神を自分の勢力内に確保したい。多分。

 自分の所属する勢力に捕らえて、どうしたいのか? それは、権力を誇示したいのだろう。自分達は、女神のご加護を受けた選ばれた者なのだと。

 では、それをして得をする勢力とは?

 教会? 王の対抗勢力? 魔術師? ……やばい、全員じゃん。


 でも、ソピアを力ずくで閉じ込めて置く事は不可能だよね。

 あー、でも、この国の人達は、そんな事知らないか。ただの魔法の使える生意気なガキとしか思って無いかも。

 まあ、言う事を聞かせたいなら、手荒な事はしないと思うけどね。

 だとしたら、どうする? どうやって言う事を聞かせる?

 弱みを握るよね。

 例えば……人質とか?

 人質? 例えば誰だろう?



 「私か!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。




★★★新作書き始めました。★★★
 ⇒ 私、魔女はじめちゃいました。





cont_access.php?citi_cont_id=868232807&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ