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王都へ引っ越し

 日が暮れるまで良く訓練しました。

 もうヘトヘト。

 モレアさんとエント達にさよならして、今日はもうお風呂入ってご飯食べて寝るだけだー。


 私達は順番にお風呂に入って汗と汚れを落とし、その間にお師匠が晩餐の容易をしてくれていた。

 お師匠は、お爺さんだとはいえ男なので、お風呂は一番最後ね。

 お師匠がお風呂から出てくるのを待って、皆で夕食を食べる。



 「今日はわたくしが1品追加で用意したわよー。」


 「「げ」」


 「……?」



 テーブルの上には、真っ赤な色をしたスープが追加されていた。

 そうだった、ケイティーは、まだヴィヴィさんの洗礼を受けていなかったんだ。



 (おい、ソピア! 何で止めなかった!)


 (何時作ってたのか、全然気が付かなかったのよー!)



 小声でヒソヒソ会話する私とお師匠を見て、ケイティーが不思議がる。



 「それでは、いただきま~す!」


 「あ、うん……」


 「お、おう……」



 言い淀んでいると、ケイティーは躊躇なくスプーンを真っ赤なマグマの中に突っ込み、止める間も無く口へ運んだ。

 私達二人は、それを仰天してみていた。



 「…………! おいしい!」


 「「は?」」


 「ヴィヴィさんって、お料理上手なんですねー!」


 「あらあ、ケイティーちゃんは、味が分かっているのねー。今度料理を教えて、あ・げ・る。」



 やめろー!!!!!



 ケイティーがおかわりを要求したので、私はこれ幸いと私の分を譲ってあげた。



 「ケイティー、これ、そんなに好きなら私の分もあげる。」


 「こりゃ! ソピア、自分だけ汚いぞ!」


 「ご馳走様ー! 私とケイティーは、もう食事が終わったので、部屋へ戻るね。(お師匠、頑張って!)」



 小声で頑張ってと励まして、私達2人は、そそくさと自分の使った食器を洗って、自分の部屋へ引っ込んだ。

 後ろから恨めしそうな視線が感じたけど、しーらない。



 「おやすみなさーい」








◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇








 翌朝、寝苦しくて目が覚めた。

 身体を起こして見てみると、右の壁側にケイティー、左側にヴィヴィさんに挟まれて寝ていた。

 そうだよねー。ヴィヴィさんの寝る所他に無いもんね。

 それにしても、こんなシングル幅のベッドで、よく3人も寝られたな。


 私達3人が寝ぼけ眼で起き出して来ると、お師匠は既に台所で朝食の用意をすませていた。

 竈の火は完全に落として、もう一品は作らせない作戦の様だ。お師匠GJ。

 私はそれを見て、ホッとし、外の水瓶で3人揃って房楊枝で歯を磨き、顔を洗って髪を整え、目をパッチリと覚まして食卓についた。



 「うーん、ソピアのおうちの食事は、いつもロックドラゴンの肉が出るのねー。羨ましいわ。」


 「そうかな、この辺じゃ、肉はこれ位しか手に入らないんだよね。何時も食べているから、そんなに羨ましがられる程の物だとは思ってもみなかったよ。」



 田舎の人が普通に自分の山で採って来た松茸を食べてたりするみたいな物だったのか。



 「じゃあさ、帰りにロックドラゴン獲って帰る?」


 「えっ? そんなに簡単に穫れる物なの!?」


 「あんなん、タイラントに比べたら、お茶の子さいさいよ。」



 私達は、朝食を終えると、例の荒れ地へやって来た。

 何故かお師匠とヴィヴィさんも付いて来た。



 「あそこの、左手の斜面にね……あ。」


 「おまえが吹き飛ばした所じゃな。どれ、おお! いるぞ。絶滅はしておらん様じゃ。」


 「ええーーー……山の斜面の形、明らかにおかしいよね。あ! もしかして、王都で聞こえた謎の爆音って!」


 「きっと、ソピアちゃんのあれねー。おほほ。」


 「ま、まあ、いいじゃない! ケイティーも内緒だからね!」


 「うわぁぁ。」



 ケイティーの冷ややかな視線を他所に、私は話題を切り替える。



 「ほらほらっ! ロックドラゴンが2匹いるよ! あれを1匹ずつ狩って帰ろう!」


 「でもあれ、どうやって仕留めるの? ブレス攻撃があるんでしょう? しかも、体表は硬くて剣が通らないらしいし。」


 「うん、だから、ここから狙撃するの。」


 「狙撃って、ええええー、1000ヤルトはありそうなんだけど!」


 「うんや? 800位っしょ。今度は、遠心力ショットを試してみるね!」



 私は、倉庫からウズラの卵大の鉄球を1個取り出すと、半径2ヤルトで自分の体の周りを回転させる。



 「確か、この半径で回した時、秒間27回転で音速に到達する計算……」



 27回転に到達してすぐに、パーンという音が成った。音速を超えた時に鳴る、ソニックブームだ。



 「狙いを付けてーー、えいっ!」



 鉄球を手放すと、遠心力で回っていた鉄球は一直線に目標に向かって飛んで行く。



 ビュン…………………………



 「着弾音が聞こえない。」


 「うむ、明後日あさっての方向へ飛んで行った様じゃのう。」



 これ、狙った所に当てるの、めっちゃむずい! だめじゃん!



 「元々、近接戦闘用の打撃武器のつもりだったからね。投擲武器として考えてなかったから!」


 「言い訳がましいやつじゃのう。」



 スリングショットなら、当たるんだよねー。でも、それじゃつまらないな。


 私は、谷間を流れる雲というか、霧を集めて、1箇所にまとめてほんの小さな、ソヤ豆程度のサイズの水球を作った。

 近くに水があるか霧でも出ていないと、私の技量じゃ水を生成するのは、今の所これが限界。

 その小さな水球の水分子を、魔力で強引に水素イオンと酸素イオンに分解して行く。

 長さ2ヤルト程度の、首の細長ーいフラスコの様な形の枠を魔力でこしらえ、首の根元に鉄の弾丸を装填。

 フラスコの球体部分に当たる薬室に、活性水素と活性酸素を一気に注入する。



 ドゴーーーーーーン!!



 ドーベ○マン刑事の44マグナムかと思う様な轟音を響かせ、鉄の弾丸は、横を向いていたロックドラゴンのくびの真ん中に命中した。

 1頭を仕留めた。……多分。あいつ、死んだふりするから油断は出来ないけど。

 もう1頭は、こちらに気が付いて走り出した。



 「ヴィヴィさんもやってみる?」


 「水を……分解するというのがよく分かりませんわー。」


 「うーんとね、水の分子というのは、2つの水素原子と1つの酸素原子から出来ていて、酸素原子を中心に104.5度の角度で、開いた∨の字の形に水素原子が並んでて……あー、うん、今晩座学やりましょう。」



 私は、もう1頭の方を魔導スリングショットで口の中を狙って打ち込み、仕留めた。



 「死んだふりするから、気を付けてねー……」



 恐る恐る近づく私の背中を、いつの間にか後ろに回り込んだヴィヴィさんが『わっ!』と押しながら驚かせた。

 私は、『ピャー!』と変な声が出た。



 「うぁぁああああぁぁぁぁぁあああん!!!」



 ポカポカポカ。

 連打連打また連打! やや内側を狙い、えぐり込む様に、打つべし! 打つべし! 打つべし!



 「いいなー、あれ。」



 じゃれている私とヴィヴィさんを見て、ケイティーがそっと一言漏らした。

 そっか、王都へ帰ると、ケイティーは一人暮らしだもんね。



 「いっそ、ケイティーもこっちに住む?」


 「いくらなんでも、ソピアの部屋に3人は無理だよー。」


 「じゃあ、王都に家借りようか。」


 「あーら、いいわね。わたくしも住むわー。」


 「それじゃ、わしが寂しいじゃろう。」


 「「「えっ?」」」



 お師匠は、ずっと一人暮らしだったじゃん。



 「ソピーはわしの孫じゃから、保護者として一人暮らしは許可できん。」


 「一人暮らしじゃないよ、3人だよ。」


 「じゃあ、わしも行く。実はのう、王都にはわしの屋敷があるんじゃよ。」


 「ええええええー、それを早く言ってよー!」



 なんか、住宅問題は意外と簡単に解決しそうです。


 と、その前に、ロックドラゴンがちゃんと死んでいるのを遠くから石を投げて確認し、首の動脈を切って、斜面を利用して血抜きの後、不必要な内蔵を抜いて、下の渓流で冷却。

 私とケイティーの倉庫にそれぞれ1頭ずつ入れて、王都へお引越しです!




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★★★新作書き始めました。★★★
 ⇒ 私、魔女はじめちゃいました。





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