表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺人鬼は勇者たりえるか~死霊術士~  作者: ピエロ
第零章 旅の始まり
1/26

~プロローグ~

「ムクロ……ここに隠れてて、後で必ず迎えに来るから……」


 そう言いながらクローゼットの扉をゆっくりと閉まっていく。その閉まる扉の隙間から見えた女性は今にも泣きそうな表情をしていた。



 どれくらいの時間隠れていたのか。女性の言葉を守って隠れているのにも飽きてきた私はいつまで待っても戻ってこない女性を探しにクローゼットから抜け出した。


 不気味なほど静かな暗く長い廊下、忍び足で部屋を出る。


 ミシリ……と軋む音を立てながら廊下を歩いていくと、遠くの方に大きなリビングの扉が見えてくる。


 緊張からかドクンドクンと早鐘を打つ心臓を押さえつけるように服を握りしめ、ゆっくりと扉へと近付いていく。


 目の前には見上げるほどの大きな木製の扉。


 開いてはいけないような、そんな感情を抑え込み、両手でドアノブをゆっくりと回す。


 『カチャリ』と音がしてゆっくりと扉が開くと、奥から嗅いだことのない鉄錆びのような臭いが漂ってくる。


 不思議に思いながら部屋にそろりと足を踏み入れ中に進んでいくと……目の前には……。






 パッと目を開くと見覚えのある天井、そのことに安心した男は激しい動悸のする胸を押さえながらゆっくりと体を起こす。


「はぁ……嫌な夢を見てしまいました。ミキ慰めて下さい」


 そう言葉をかけたのは男の隣に寝かされた綺麗な容姿の人形でまるで人間の肌のよう。

 慣れた手つきで愛おしそうに頬を撫でた後すっと視線を反対側に寝かされた人形へと向ける。


「アオイ、今日も綺麗だよ」


 そう声を掛けた後、先程の人形と同じように愛おしそうに頬を撫でる。


 毎朝の挨拶を済ませた後ゆっくりとベッドから降り服を着替えていく。


「ああ、嫉妬しないで、ユキも忘れていません」


 何かに呼ばれたかのように壁へ視線を送ると、もたれ掛かるように座らされた人形へと声を掛ける。


「ん? ハナ、アイ、カナまで私の心配をしてくれるのか。ありがとう、愛しているよ」


 ユキという人形から目を離した私はにこやかにテーブルへと向きしなだれかかる3体の人形に愛を囁く。


 そのまま部屋を出て冷たい廊下を踏みしめ洗面所へと歩いていくと。


 そこには小さな男の子の人形が壁に寄りかかるように座らされている。


「アキラ、あんまりジロジロ見ないでくれますか、用意するだけですが恥ずかしいです」


 そう言ってはにかみながら歯を磨き、髭を剃り髪の毛をセットしてリビングへと移動する。


「何かいい話は載ってますかね?」


 広げた新聞を手に持ち椅子に座らされた30代に見える男の人形は無言で天井を見つめている。


「二人はいつも仲がいいですね、羨ましい限りです」


 男の向かいに座らされている同じ年齢ほどの女の人形はだらりと力なくテーブルへと突っ伏している。


「今日はあまりお腹が空いてなくてね、何も食べずに出掛けようと思ってる」


 誰も返事を返してくれない事を分かっているのだろう、数秒と待たずに玄関へと足を向け歩き出す。


「おや、見送りするためにそこで待っててくれたのですか? ありがとう、レイナ」


 レイナと呼んだ人形の頭を数回、優しく撫でると、満足した表情で靴を履き玄関を抜ける。


 外へ出た男は雲一つない空を見上げ、あまりの眩しさに目を細めた。


「んー、いい天気じゃないか、そうは思わないですか? 警察官の諸君」


 そう満面の笑顔で言った私の前には、数十台のパトカーと、数十人の警察官が取り囲んでいた。


「容疑者が出て来たぞ!!」


 遠くではマスコミだろう、カメラを片手に何やら騒ぎながらシャッターを切っている。


 再び男が正面へと視線を戻すと、警察官がメガホンを使って何処かで聞いたことがあるような指示を出していた。


「おとなしく両手を挙げて頭の後ろで組み後ろを向きなさい」

「ふむ、それをしないとどうなるのかな?」

「公務執行妨害で更に罪を増やすことになるだろうな」


 メガホンを持った警察官がそう叫び、片手をあげ合図をする。

 それを見た他の警察官が反応し、銃を構え狙いを定める。

 

「う~ん、今更罪が増えるのは構わないですが、抵抗するのもけっこう面倒くさいですねぇ。どうします?」


 真剣な表情の警察官を馬鹿にするように首を傾げてみせた瞬間。


「くっ、馬鹿にしよって! 容疑者を確保しろ!」 


 まるで砂糖に群がる蟻のように男へと警察が殺到、瞬く間に身体を拘束し手錠を掛けられる。


「もっと優しくしてくれても良いと思うんだけどね、君はどう思います?」

「ひっ!?」


 身体を取り押さえる若い警官が笑顔を向けられ、怯えた表情を浮かべカタカタと震えだす。


「馬鹿者! 取り押さえているんだ、殺人鬼に怯えてどうする!」

「す、すみません警部!」


 若い警官の上司なのだろう、一喝されると怯えた表情を隠した若い警官が無理矢理立たせた私の背中を押し手錠を掛けたままパトカーへと乗り込ませ。

 私を乗せたパトカーは野次馬を退かしながら目的地に向けて発進する。


「ムクロ……貴様は今日、裁判の結果を待つことなく死刑執行される。何か異論はあるか?」

「いいえ、何もありませんねぇ。しいて言うなら私の死体は土葬でしょうか? 火葬でしょうか?」


 笑顔を崩すことなく警部に小首を傾げつつ質問する。


「火葬だろうな、なぜそんなことを聞く?」

「いえね、何か頼めるなら土葬をお願いしたいと思いまして……確か火葬だと魂を天へと返すという意味もあるのでしょう? 一人になるのは寂しいですからねぇ」


 逮捕された男は裁判を受けることなく死刑を宣告され、その日のうちに死刑台にて絞首刑を執行され幕を閉じた。



 男が死んだ後、家宅捜索をすると酷い腐臭と鉄錆びの臭いが充満しており、その家には老若男女問わず数十人に渡る遺体が発見された。


 そのニュースを見た人々は口をそろえて言った、彼こそが今世紀最悪の殺人鬼である……と。


 コレがムクロと呼ばれる男が地球を旅立つ前の記録である。

 文才のないピエロです。

今日からちまちまと投稿する、殺人鬼は勇者たりえるか、ですが、最初にも申したように文才はかなりありません(勉強してるからね!)、なので、読んでくれる方は過度な期待をせぬようお願い申しあげます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ