1-1, 風を知りたい
はじめまして、あくりる!です。今回は初めての小説執筆でした!一応ファンタジーという事なのですが、日常も書いてます。初めの方は完全なる日常なので、ファンタジーに期待していた方は申し訳ありません。しばしお付き合いください。それでは文章には気を付けて!いってらっしゃい!
「あっはっはっはー!!」
俺は、とある岬に立っていた。腰に手を当て胸を張り大声で叫んだ。周りに人はいないから思いっきりだ。
「気持ちいいいいい!!!」
頬を撫でる海風は、安らかに吹いている。
誰かに聞かれたら恥ずかしいなんて事は気にしちゃいなかった。
「っきもちいいー」
さすがに今のはマズいなはい。
そもそも俺がここにいるのには理由がある。
『風を知る』ためだった。
ドヤァ……
……一体全体風の何を知るってんだってのは俺も思う。街行く人に聞いたら十人中十人に「はぁ?」と言われること待った無し。
だけど俺はここにいた。なんか知らないままは悔しいからだ。
とりあえず行動に移した。
「よっしゃー、飛ぶぞー!!」
足に力を込め、空高く飛ぶ。
眼下には蒼い海。
飛び込まない? そんな選択肢は無いね!
このままダイブしよう!
……しようとした。
しかしダイブ出来なかった。
そもそも飛ぼうとした。
……飛んだはずだった。
だけど現実は違かった。
人間は飛べないとかそういう事じゃなく、俺の腕をがっしりつかんで、そのまま遠心力を使って放り投げたやつがいた。
「おうゎっ!?」と間抜けな声を出しながら、俺は地面に戻ってきてキスをした。
あっ、土の味……する……。
で、こんな事をしやがってくれやがふのはアイツしかいないと既に気づいていたりもした。
「こんのクソアホ!!!!」
かっこ悪く倒れていた俺を労わることなく、右の耳を千切れそうなほど引っ張り、大声で彼女は叫んだ。
「バカじゃないの本当に!! あなた死にたいの風雅!?」
アホで悪い? あ、はい、すいません。アホです。
この女の名前は八潮美玲。幼馴染。周りから言わせれば俺の飼い主。
さて美玲にも言われた通り、俺の名前は風雅。本名は漸地風雅だ。
「反省する気ある?」
「する気がある顔に見えるだろ?」
「バーカ」
ゴツン、と美玲が俺の頭を殴る。
「地面とサンドイッチなのにそれはひどくないですか?」
「アホなのが悪い」
「全国のアホに謝れ」
「〆るぞ貴様」
〆サバの刑はやめてください。
ちなみに俺には前科がある。
今みたいに風を知ろうとして、この岬から飛んだ。
結果は、海に腹からダイブ。いやマジで1月に海に飛び込むものじゃないね、陸に上がったときは冷凍マグロになるかと思った。
しかも岬の先端は崖。当然上がれない。近くの浜から上がらなきゃいけない。
全身びちょびちょになって帰ってきた俺を見ると、美玲はすぐに「アホ!!」と俺の頭を殴った。
それくらいの事なのにな。
ちなみに光矢岬は、潮奏半島という半島の一帯を占めている風知市に属する。その中でも二見区という地域にある。
近くには潮奏半島海岸線という名の、潮奏半島の西側沿いを走っている電車の駅、光矢岬駅があり、アクセスしやすい観光名所となっている。もちろん車でも来れる。当たり前だよな。
そして、ダイヤモンドをイメージして造られた、大きな灯台があるダイアモンドをイメージしたらしいけど、俺にはどうもコレが黄色く見える。というか実際黄色い。だったらトパーズで良くないか……。と思う俺だった。
また、エレベーターに乗って展望台に上る事もでき、そこから見える景色はとても綺麗だ。そんな事もあって訪れる観光客は少なくないのだが……。
何故か今日は人がまったくいなかった。前に飛び込んだ時もだった。俺ってなんか凄いかも。
それと、光矢岬にはある伝説がある。
“光が矢のように、海に、大地に降り注ぎし時、もう一つの世界へと繋がる荒ぶる門が開く”
というものだ。付け加えただけじゃないよな……。
確かにここは神秘的な感じがする。だから俺はここで飛ぶ。今日で二回目だけど。
「はい帰るよ」
「へいへい」
俺はぐいぐい先に進む美玲の後を追って歩いた。
今日は日曜日だから中学校は休みだ。部活も丁度ない。
中二の俺らなら、青春を味わえ!!みたいな感じでもいいはずだけど、少なくとも俺と美玲はそういう事では無かった。
「ねぇ風雅」
「ん?」
ふいに、前にいた美玲がこちらを向いてくる。
「今日って『風を知る』ためにだよね?多分だけどさぁ」
「そうだけど悪いか?」
「そういう事じゃないよ……」
「じゃあ何だよ」
立ちっぱなしでの美玲との会話はなんだか疲れるので、俺は近くのベンチに座った。
ベンチがあるのは、今歩いている辺りがお土産などを売っている通りだからだ。美玲も俺と少し離れた位置に座る。
「なんか進展あったの?」
「うっ」
ごもっとも。俺はそう思ってしまった。
「私も力の事は分かんないからきっぱり言えないけどさ……」
『風を知る』とは、俺の持っている力の事だ。いや、持っているらしい。分からないのだそこが。
この力は、俺の先祖が潮奏半島を支配しようとしていた奴らのために、潮奏半島を鎮めるために使った力らしい。もともと潮奏半島に住んでいた人々が余所者を絶対に立ち入れさせなかったのだ。力も持っていて、抵抗もできたらしい。それが『潮の音を奏でる』力。そしてその人々の子孫が美玲なのだ。だから、美玲も力を持っている。俺も美玲もそんな実感は無く使えないけど。
不思議な事だけど、それが本当なのだ。実際に死んだ俺のじいさんに見せてもらった。美玲もばあさんのを見た事があるらしい。そのばあさんは今も生きている。
「だけど死ぬような事は止めなよ?」
「分かってますよーだ。でも丈夫なのが俺の取り柄だし」
「あっそ……」
「何だよその感想」
「いかにもアホらしいなって……ふふ」
横を見ると美玲が笑いを堪えているのが見えた。失礼な。俺はやや口を尖らせた。
「さ、帰りましょ」
「なんだったんだよ」
「別にいいでしょ!」
そう言って、美玲は俺の背中をバシッと叩いた。
「っ痛ー!!」
背中に痛みがビリビリッとはしる。まったく男勝りな女だ。
「なんか言ったー?」
「なんでもねーよ」
美玲が俺の気持ちを読み当てたかのような感じだったので、少し声が上ずってしまった。
「そー」
幸運にも美玲には怪しまれなかったようだ。思わず溜め息がほっ、と出る。
美玲と別れた俺は家の鍵を開けた。といっても美玲の家とは近く、別れたという事でも無かった。
家に帰っても誰もいなかった。俺の両親は共働きだからだ。美玲もそう。
だから、小さい時から美玲とばかり遊んでいたのだった。
「ふぅ」
リビングにあるソファーにボフッと座る。
「今日も疲れたなー……」
まだまだ謎な事はいっぱいあるけど、とりあえずは体を癒したかった。
かなり眠かったので、早めすぎる夕食を済まし、そのまま自分の部屋で寝た。
―――――――しかし俺は忘れていたのだった。学生として勤めなければいけない事、学校に平日は行くという事を……。だけどアホではない……。
風雅と美玲の力はどんなものなのでしょうかねぇ……。それもこれから明らかにされていきます!次回はまた違った日常です!(既にファンタジーとは程遠い)お楽しみに!




