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最終決戦・化人②

 スティーヴは南下しようとしたヴラムの首を撥ね、一撃で絶命させた。

 索敵術で状況を確認すれば、あれから離脱者は出ていないことに安堵する。また、他から援軍が向かっているのも好材料だ。

 スティーヴのように、レイナスの近くに行くよりも盾となってヴラムの進入を防ぐ役を選んだものは意外と多い。あの小山のごとき超巨大ヴラムは動いていないが、索敵術は強大な敵がいることを示している。それと、レイナスたちが戦っている事も。


「レイナス、まだ死ぬんやないで……」


 心のどこかに不安を抱えながらも、スティーヴはここで戦い、祈るしかなかった。





 化人はずっと攻撃を受けながら、自分の性能を試していた。

 体が大きく変わったことで感覚がつかめず、能力を半分ほどしか使いこなせていない。

 新たにくみ上げた能力、『黒炎』は任意制御の防御闇術。期待通りの硬さを誇り、身に纏う鎧も簡単には傷つかない。

 攻撃手段として魔力を飛ばすタイプの能力には忌避感があったが、『黒炎』を槍のようにすることでそれを補う。

 他にも何かできるようになったほうがいいのかもしれないが、化人は今のところ、それで満足している。


「(不意を打つにはまだ遠い……)」


 自身を傷つけた敵は二人。そのうち、より脅威度の高い方はこの場で殺したいと化人は考えている。それが力を温存し、(けん)に徹しているため、油断できなかった。


 しばらくそうやって戦っていると、不意に周辺が騒がしくなる。

 戦騎や光姫の援軍が来たのだ。

 数は100人ほど。男女の数はほぼ同じ。周辺の掃除を終えたばかりなので余力はあまりないが、それでも十分な数だった。


「(煩わしい……っ!)」


 化人に人間の言葉は理解できない。だが、集まった人間が化人を殺そうとしていることぐらいは理解できた。


「(死ね!!)」


 |最初に攻撃してきた人間レイナスが化人の正面から突っ込んでいく。

 化人は黒炎の槍でそれを迎撃しようとするが、レイナスは身を屈めてそれを回避。そのまま1mほど手前で剣を振るう。その剣は地面に倒れていた木の幹に刃を食い込ませ、化人ごと持ち上がった。


「シャル!!」

「みんな、お願い!!」


 レイナスと怨敵(シャル)の声にあわせ、周辺から空中の化人に攻撃が集中する。全方位からの攻撃に黒炎の守りは削られ、化人の姿をあらわにする――かのように見えた。

 化人は黒炎をいったん自身のうちに納め、シャルの攻撃を警戒しただけだ。黒炎が無くなったのは事実だが、現状と外からの認識は大きく違う。


 そこへ、本命≪薙ぎ払え≫+≪プリズム≫のコンボが炸裂した。

 化人はそこに合わせ、全力で黒炎の守りを展開する。集中させ、密度を増した魔力の闇は理力の光に全力で抗う。

 光と闇が拮抗し、白と黒は同時に消える。

 残ったのは驚愕と絶望に包まれた戦騎と光姫。そして無傷のまま満足そうに顔を歪めた化人。


 化人は動きの止まったと周囲の敵、それの密度が高い場所まで一気に突っ込み、そこで黒炎の槍ならぬ黒炎の剣を振るい、敵を両断する。

 我に返った者たち何人かがすぐに対応するが、それでも20人もの死者が出た。

 化人にしてみれば試し斬り程度のつもりだったが、かなりの被害が一瞬で出た。



「黒い炎は出していない! まだだ、まだ終わったわけじゃない!!」


 必殺のはずの攻撃を防がれ、絶望の気配が漂う。

 だが、それでもレイナスは化人に挑む。

 鉄の剣と黒炎の剣がぶつかれば、黒炎が鉄を切り裂き化人の強さを確認させるだけに終わる。かろうじて避けただけのレイナスは体勢を崩すが何とか離脱する。

 他に続く者はなく、化人がシャルに向けて一歩踏み出した。


 打つ手無し、誰もがそう思った瞬間。


「これなら……っ!」


 レイナスの剣が、化人の背中を切り裂いた。

読んでいただきありがとうございます。

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