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最終決戦・戦騎

 レイナスら戦騎は、各々武器を手に戦っている。


 最初、レイナスが剣を折られたことで攻めるのを躊躇していたが、そのレイナスが予備の剣を理力で完全に(おお)い、一撃入れても大丈夫だったことで動きを見せる。

 光姫による砲撃が主体なので、一撃離脱が基本となる。光姫は常に正面を狙うことになるので、戦騎は背後か側面から接近し、一撃入れては即離脱する戦法をとっている。

 射撃攻撃に対しては自動防御を行う黒い炎だが武器攻撃には強く反応せず、甲殻の無い肌にも攻撃を当てている。しかしダメージが無いのは変わらず、つまりは火力不足ゆえに放置されている有様だった。もっとも、化人の攻撃圏内――一歩踏み出し腕を伸ばせば届く範囲――に踏み込めば殴りかかっては来るのだが。



 戦闘開始から、八分が経過した。


 シャルは理力が半分以下になった時点で一旦離脱し、囮として最低限の挙動のみにとどめている。

 光姫の方もヴェロニカ以外は理力が尽き、戦線離脱を余儀なくされた。リーゼは“双姫の加護”のために理力を温存。シャルの理力補給源になることも視野に入れ、戦闘には参加していない。当然、化人も意識を向けていない。

 戦騎連中はまだ余裕がある。「攻撃される」ことで相手の動きをコントロールし、身体強化以外の理力消費をしない方法で戦い続けている。


 持久戦をしているのは周囲の、ほかの戦騎や光姫が駆け付けるのを期待してのことである。ヴラムの統率は乱れて残党狩りの様相を呈している戦場も、時間をかければ次第に落ち着く。手近なヴラムがいなくなった者はこちらに向かっているので、いずれは集中砲火による物量作戦を仕掛けられるだろう。そうなればレイナスたちは後退して休みながら戦うこともできる。

 そこに、ヴェロニカたちは光明を見出した。

 もっとも、相手にとって最優先の攻撃目標であるシャルの扱いがどうなるかはわからないが。


 また、人数差もあったので、消耗戦を強いているというのもある。絶え間なく攻め立て、敵の魔力枯渇を狙ってもいるのだ。

 化人は防御にしか魔力――黒い炎を使っていない。だから攻撃し、魔力を消費させているのだ。できれば攻撃にも使わせたいが、攻撃に感けて目を貫かれた失策を覚えているのだろう。一向に守りを弱める気配はない。



「いい加減――落ちろっ!!」


 レイナスが気合一閃、化人の眼球に剣を突き立てる。

 剣は確かに目を捉え、理力は剣を媒介に相手の守りを削り取る。

 しかし、足りない。

 目を狙ったのは、ヴェロニカの≪エルフィンボウ≫の再現だ。相手があれ(・・)を覚えているなら、多少の動揺を誘えるかと思い狙ったのだが、効果は無かったようだ。レイナスはヴェロニカの射撃の合間を縫って正面から攻撃したのだが、その努力は実らなかったようだ。


 あと二~三分もすれば増援は来るし、ここで無理をする理由は薄い。

 だが、光姫が何人も離脱する中では戦騎が相手の注意を引くしかない。そうでないとシャルが殺され、敵の行動が読めなくなる。レイナスとしては友人としても仲間としても戦騎としても、シャルを殺させるわけにはいかない。多少の無理をする価値はある。

 できればシャル以外の≪プリズム≫使いが駆け付け、敵の意識をこちらに引き付けている間に仕留めてほしいのだが――さすがにそれは高望みだとレイナスは苦笑する。


「レイナス! シャル! 分かっているわね!」

「応!! あと二分! カチ上げる算段は付いた! 任せろ!!」

「二発連続で! 収束・多段・心臓狙い! 削ったら全身に切り替えます!」


 ヴェロニカは増援が来ることを察知し、レイナスとシャルに呼び掛ける。

 二人はそれに答え、残りの理力でやるべきことを答えた。


 交代要員が来れば、理力を多少使い込んでも問題は無い。レイナスは隙を作ると言い、シャルは先ほどと同じ戦術でいくことを告げる。


 レイナスの考えは単純だ。

 基本的に、相手を直接どうこうしても効果が無い。押すことすらできないのが現状だ。

 だが、足元は違う。地面ごと相手を吹き飛ばせば、一瞬であろうが隙を作れる。木の根が張っているところなら大きく持ち上げることも叶うだろう。他の戦騎と打ち合わせをして、タイミングを合わせるよう声をかける。

 あとはシャルたちに任せればいいのである。



 全く攻撃が当たらない事に苛立ちを募らせる化人だが、それを無視して戦騎たちは注意を引き続ける。

 すると、とうとう変化が現れた。


 戦騎の一人が背後を取り、そのまま攻撃せずに離脱しようとした時のことである。

 防御一辺倒だった黒い炎が、槍のように突き出され、戦騎の肩を抉ったのだ。ダメージを負った戦騎はそれでもすぐさま離脱した。

 それを見たレイナスら戦騎は、これを好機とばかりに化人に群がる。攻撃に魔力を使うのであれば、自分たちに使わせて消耗させようというのだ。

 何人かはかすり傷を負うが、来ると分かっていればなんとでもなる。射程は今までの素殴り1mから5mまで延長されたが、カチ上げにそこまで影響はない。多少難易度は上昇したが、こうやってタイミングを計る機会はいくらでもある。突撃と離脱を繰り返しながら、機を待つ。



 そうして戦うこと約1分。

 とうとうその時がやってきた。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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