最終決戦・化人
さて、あっさり圧倒された配合種ではあるが、“それ”は自分の敗因を考えていた。
シャルを狙ったのは、自分を害せる者だったからだ。シャルさえいなければ、≪薙ぎ払え≫であろうと自分が傷つくことはない。そう判断したからだ。
しかし、相手は自分の知らない攻撃手段をいくつも持っており、守りを弱めて攻撃方法を増やした結果、手酷いダメージを負う結果となってしまった。
よって配合種は考える。
大事なのは、守りだと。
防御を疎かにしたから、今、自分は地に臥しているのだと。
先ほどまでの「実験」で魔力の使い方は、ある程度覚えた。
よってあとはこれを守りのために使い、身体能力で押すべきか。
配合種はそこまで考えて、ふと別の事も考え付いた。
自分は巨大であり、強かったと。
が、目の前にいる者どもは、自分よりも小さいというのに強かった、と。
集団としての強さもあるだろうが、それよりも光を操る術に配合種は注目した。
(あの技を、自分のモノにできないか――?)
あの力を完全にモノにできるのなら、体の大きさは、むしろ邪魔だ。的になるだけじゃないかと配合種は考えた。
実際は生命力の増大や防御力の増加も兼ねているので全くの無駄ではないのだが、配合種はその時、そう考えてしまった。
(この体はもう駄目だ。新たに体を作り替えねば――)
配合種は、体内に子を作るための部位があった。
そこを利用し、新たな自分を作り出すことを計画する。
時間は無い。そう配合種は焦る。
目の前の敵たちは二回の≪プリズム≫で理力を使い切っているが、ヴェロニカというもう一つの脅威に対して打つ手がいない。体はズタボロ、動かすことさえままならない。
配合種にとって幸いなことに、小さい体を作るだけなら特に問題は無くできた。
目の前の連中を真似た体である。
それに出来うる限りの守りを施し、配合種は新たな体に意識を移す。
新たな化け物の、誕生であった。
それは人型であったが、鎧のように虫の外殻をまとい、手足の先は獣のそれだった。
全身を黒い炎とでもいうべき魔力で包み、更なる防壁としている。
それが配合種の体の中から現れた瞬間、レイナスは疾走し、斬り付けた。
脅威であると本能が判断したからで、考えての行動ではない。その動きは見事といえたが、行動原理は初めて戦場に立った新兵のそれである。
理力を通し、強化された刃は黒い炎をわずかに削ったが根元から折れる。攻撃の衝撃に、刃が耐え切れなかったのだ。虫型の時も硬かったが、その時は弾かれるだけだった剣が折れた。硬さだけでない、何かがあるようだ。
それは攻撃を仕掛けたレイナスを一瞥し、無造作に腕を振るう。
その攻撃速度は中々だったが、適当に振るわれただけの攻撃であれば錯乱寸前のレイナスでも回避できる。攻撃直後であったが無理をしてそれを蹴りつけ、距離を取る。
レイナスが距離を取ったところでヴェロニカが動いた。
≪エルフィンボウ≫七発の斉射でそれを攻撃する。その攻撃に合わせてシャルが≪ライトニング≫。
今度は光術に対し、黒い炎が燃え上がるように肥大化。本体とは距離のある状態で攻撃を無効化する。
今までのヴラムをはるかに超える防御力に、その場にいた人間は絶句した。
そしてその反応を見た配合種――化人は理解する。
(ああ――自分の選択は間違っていなかった)
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化人とは、「鬼神や畜生が人の姿をとったもの」という意味です。




