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血戦 初撃、成功

 レイナスの「とっておき」の話を聞いた二人は、それなりに思うところがあったようである。

 シャルは、自分とは理由も願う結果も違うが、「自分と同じ手段と選んだ人」として。

 リーゼは、目的のために手段を選べない理由を知って。


 正直なところ、レイナスが自分の秘密を打ち明けた理由は「秘密の共有による連帯感の作成」である。

 どんな秘密が最適かは横に置き、隠していたことを打ち明けられるのは信用の証。「信用されている」という自覚は自信へとつながる。

 怯えるのは不安から。今回の不安は敵の強大さに自信が屈したから。だから、最初は意識を逸らそうとしたがそれが無駄だったので、立ち向かうための補強材を付けてみたのだ。

 結果は上々。レイナスの過去話に意識が向かい、不安を感じることはなくなった。あとは戦場に放り込めば必死になるしかないとレイナスは判断した。





 休憩が終わり、戦端は開かれた。

 ダルムシュタット周辺の森から外壁前の平野にヴラムが姿を現したところで軍は肉薄する。

 後方よりの攻撃なので、ヴラムの過半数は森の中である。索敵術により位置は把握されているので視認性の悪さはハンデにならない。ヴラムは人間の軍と同じく、陣形を組んで進軍している。10匹が横一列に並び、四角を作る方形陣。基本中の基本と言われる陣形だ。森をそのような状態で進軍すれば隊列の一つも乱れるのが普通なのだが、敵は木々を破壊せずによけながら、それでも隊列の乱れを直しながら進む。指揮官型がいるとはいえ、かなりの統率力である。


 事前の打ち合わせ通り、軍が選んだのは魚鱗の陣。槍の穂先のごとく敵を貫き突破するための陣形であったが。


「「「「≪薙ぎ払え≫!!」」」」

「「「「≪サテライトキャノン≫!!」」」」


 初撃は光姫たちによる≪薙ぎ払え≫。

 ≪薙ぎ払え≫は木々を足場に跳躍し、ヴラムたちの頭上を越え、2列目への攻撃である。

 ≪サテライトキャノン≫は敵前列を意識し、撃っている。


 というのも、ヴラムが最後尾に配置していたのは見たことのない新種。つまり、この戦いのために、新たに用意された戦力である。

 見た目は虫。馬鹿みたいに大きいが、昆虫のカブトムシのような見た目のヴラムだ。

 敵の最後尾に配属された虫型。姿を見て確信したものも多いが、おそらく防御特化と予想された。よって、そこを狙うよりより多く数を削れる位置へと攻撃したのだ。


 戦いは数で半分が決まる。

 残り半分は士気と質の高さである。

 孫子も「戦の正道は兵を多く揃え、強兵にすることだ」と言っている。策とはそれができない弱者の知恵だとも。


 だから、できるだけ多くのヴラムを最初に削る。

 光姫の光術は敵に大きなダメージを与え、整然とした方形陣に大きく穴をあける。

 そして戦騎は楯とハンマーを構え、突貫した。


 ヴラム側は軍の初撃をほぼ無抵抗で受けてしまったため、1000に届かずともそれに近い数を削られた。が、30000匹の1000匹は、まだまだ誤差と言える範囲だ。軍とは10倍近い戦力差と言える状況から変わっていない。

 虫型とその後ろにいた通常種――獣型――が闇術により弾幕を展開しだす。

 それは濃密な壁となり、突貫した戦騎たちの守りを大きく削る。一部の戦騎はそこで脱落し、倒れていった。回避した場合は後ろを走る仲間に当たってしまうかもしれないので、躱せないのだ。仲間が倒れ、それでも駆ける戦騎は楯を中心に防御幕を展開し、虫型へと食らいつく。


 接敵すればあとは吹き飛ばすだけだ。敵の陣形に穴を作り、こじ開けて道を作るのが優先のため、吹き飛ばしの期待出来るハンマー装備の者が最前面に配置されたのだ。

 敵の懐にたどり着き、大きくスイングしてハンマーをぶち当てる戦騎。

 金属同士を激しく打ち当てる音がして、ハンマーが(・・・・)弾かれた(・・・・)

 虫型と言うことは、多足である。6本足である。そして足の先は地面や木に捕まるための爪もある。なかなかどころかかなり頑丈なのだ。ごく一部、地面や木々ごと吹き飛ばす猛者もいたが、半数近い戦騎は吹き飛ばしに失敗してしまった。


「3列目の剣士! 足を切り落とせ! まずはそれからだ!!」


 そのことにいち早く思い至った前線の部隊長たちは的確な指示を行う。槍持ちの2列目よりも3列目の剣士たちのほうがより有利に戦えるのだ。関節部分ならそこまでの防御力は無いだろうという考えだ。


 その言葉にレイナスたちもこのタイミングで参戦が決まった。レイナスが剣士だったのでその場所に配属されていたのだ。

 もっとも。状況を考慮すればいつから戦いだすかという問題でしかないが。戦わずに済ませられるほどに余裕がないのだし。



「虫型の足、ひざに当たるところが脆い! 下からすくい上げるように切れ! 足が減ったところでハンマー部隊は吹き飛ばせ!!」


 上官の叱咤激励、指示を受けてレイナスたちは駆け抜ける。

 今回の虫型は、指示通りに戦えばサクサク狩れる。

 出だしはまずまず順調だった。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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