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異常の兆しと学生たち

 最近、町の近くにヴラムの集団が見かけられるようになった。

 そんな話題がアイレンを騒がせている。


 始まりは、ヴェロニカの報告だった。

 彼女がアイレンから8㎞のところでヴラム上位個体20匹の集団を見つけ、これを撃破した。

 ヴラムの死体は素材になるからと、彼女が報告した場所まで死体を回収しに行ったら、交戦の跡はあれど、死体がなくなっていた。


 その翌日、別の場所――アイレンから7㎞ほど離れた場所で、やはり上位個体ばかり20匹の集団を見つけた。

 見つけたのはヴェロニカではなく一般の戦騎と光姫だったので、彼らは交戦せずに撤退し、アイレンの守備兵に協力を要請。50人がかりの体制でこれを無事撃破。


 その翌日も、さらにその翌日も、ヴラムは20匹で現れ撃破されている。

 ヴェロニカの報告から10日ほど経ち、毎日の恒例行事と言えるようになるころには、商人の足が遠のき街は一部閑散としてしまう事態となった。



「と、いうわけで、俺たちも一回ぐらいは戦いに行ってみようと思うんだが」

「「賛成!!」」

「せやなぁ。やっぱ自分らの街ぐらい、ジブンで守らんとな」

「そうですね、私も訓練の成果を試したいですし」

「ヴラムが狩れるなら何でもいいよ~」



 場所は学院にある教室の一つ。

 集まったのは7年生のうち30人ほど。

 レイナスが音頭を取り周囲に声をかけた結果、これだけの人数が集まり、近隣に出没するヴラムの討伐に乗り出す流れとなった。


 アイレンの学生はもともとプチ遠征などで実戦経験を積むのが一般的である。

 また、実戦慣れしたアイレンの7年生のレベルは上位個体と1対1(サシ)で戦っても普通に勝てるほどにレベルが高い。ハーフェルでは8年生でも少し怪しいのだが。

 よって、ある程度人数が集まり戦うことが決まった段階で勝利はほぼ確定している。何人かはこの人数で戦う必要を感じておらず、自分たちだけで十分と思っているほどだ。レイナスも部隊を二つに分けることを検討していて、「早い者勝ち」にすべきか迷っている。



「じゃあ4つ班を作って、班単位で行動する。応援を呼ぶのも自分たちだけで殲滅するのも班単位で判断して決めてくれ。当たり前だが、生き残るのを優先。“無謀なものは罪悪”だ。では、解散!」


 レイナスがそう宣言すると、教室内にいた学生はグループを作り始め、それぞれ相談を始める。

 実戦の緊張感を失わないためにも少人数で戦うべきだというアイレン学生の気質により、4つの班に分かれて行動することになった。4つに分かれたのは、ただ単に普段からの人付き合いによるグループが最初から4つできていただけである。


 レイナスたちはスティーヴとその光姫、従騎2人の7人編成。バランスは取れている。他の班も、20匹の上位個体までなら普通に殲滅できるだけの実力者揃いだ。

 最後に他の班と行動範囲、索敵範囲、いざという時の連絡手段について話し合う。お互いの行動を把握して危険を減らすのは常套手段だ。軍属になる者として当たり前の考えである。……あえて少人数で動き回る者たちに言えたことではないかもしれないが。



「じゃあ、ワイらは北門から出て、少し北に行ってから西に移動やな」

「ああ、とりあえず7㎞移動してからだからな」


 レイナスたちは最後のミーティングを行っている。

 今回問題となったヴラムは、アイレンの街から西に6~8㎞離れたところで発見されている。よって、道中は完全に無視して7㎞移動、半径2㎞の広範囲索敵で周辺をしらみつぶしに探して回るという手はずになっている。

 他の班は、南門から1班、西門から2班、行動を開始する。学生たちはお互いの索敵範囲があまり重複しないよう、見逃しがないように取り決めを行った。現地で出会えるかは、完全に運任せだ。

 学生たちによる、放課後の討伐実習が始まる。


 全員が身体能力強化を行い、5分程度で索敵開始位置まで移動する。

 平原を走れば時速80㎞ぐらいまで出せるのだ。5㎞ほど平原を走り、残りは森の中の移動となる。最後に多少減速したものの、移動はおおむね快調だった。


 レイナスたちは5分の小休止を取り、索敵を開始する。

 周囲には自分たち以外にも戦騎や光姫の反応があり、似たようなことを考えている他の学生、さらにその先で迎撃しようとする戦騎がこの場にいることを教えてくれる。ヴラムが毎日同じ時間帯、同じような場所に来るのであれば、この状況も仕方ないだろう。


「どうする?」


 レイナスは全員で相談をするが、表情は「もっと先に行きたい」と書いてある。他の者も同様で、このままだと手ぶらになるだろうからと狩場の変更を決める。他の班に無断でそれをするのはマナー違反なので、一回全員で合流してから動こうという流れになった。


 他の班も同じような考えだったらしく、とりあえず今日はもう10㎞ほど移動し、30分の索敵活動を行ってから狩りの成否にかかわらず撤退することになった。

 せっかくした班分けではあったが、この先では何があるかわからない。全員で行動することで合意する。



 そして、「この先」の実態を、学生たちは知ることになる。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


2014年3月21日 誤字修正

× 不通に勝てるほどにレベルが高い →

○ 普通に勝てるほどにレベルが高い

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