暗躍する者たち
戦場を、遠くから眺める者たちがいた。
戦場から10kmは離れているだろう小さな山間。普通なら人は米粒よりも小さくしか見えない。だが、彼らは肉眼で、ちょっと先を見るようにしながら帰還組を観察できていた。
「あー、思ったほど殺れなかったな」
「ふむ……タイミングは完璧だったのだがな。ほんの1秒にも満たない時間だが、爆発前に反応されてしまったようだ」
そこにいるのは男二人。
白い髪に黒い肌の、ヴラーナだった。
「まー、いいんじゃね? だいたいあっちの『底』は見えたし。次で大都市1個か2個、潰せれば」
「一理あるな。だが次の仕込みに2カ月はかかる。また色々と調達しておく必要があるな」
今回は相手の戦力を計るのが目的。
戦力と言っても、個々の戦闘能力に加え戦術指揮能力を含む「軍としての強さ」だ。
色々とシチュエーションを用意し、それに対し評価点を付ける方式を取っていた。
「そんなに必要か? ぶっちゃけ雑魚じゃね?」
「ああ、雑魚だったな。だが、次も同じ手では防がれるだろう」
「お、成長力だけはあったからな」
「そう言う事だ」
彼らが人間側に付けた評価は辛い。
対人戦を一切想定していない、硬直化した戦術。想定外への対応は彼らの感覚で言えば「論外」だ。
だが一部の者に限るが、戦闘中に成長し、現状に対応してみせた。同じ手を使うのが躊躇われる程度には。
「明日までに拠点を一つ確保するぞ」
「任せていいか?」
「ふざけるな。貴様も働け」
「あー、はいはい。しょーがねーな」
全てを見届けた二人は、今日の寝床を確保する為に動き出す。
「まったく。貴様がもう少し節約すれば、半分は潰せたというのに」
「おいおい」
最後に。真面目な顔をした男が戦場を振りかえり、小さく愚痴をこぼした。
それを聞いた軽薄そうな男が凄絶な笑みを浮かべ、いかにも楽しそうに反論する。
「楽しみは取っておくモンだろ? 慌てる理由もねーし、気楽にいこうぜ?」
「だったらもう少し働け。私にばかり頼るな」
「いやー、頼れる相棒で嬉しいな」
「い・い・か・げ・ん・に・しろ!」
だが軽薄男はあっさり言い返され、肩をすくめて逃げてしまう。
真面目男に追いかけられ、走るようにその場を去っていった。




