表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/100

悪夢、再び

 学院に戻ると、軍の情報担当官による事情聴取が行われた。

 そこで事件について一通り説明をすると、レイナス達は大きく息を吐いた。


 どう考えても、人間の犯罪者がいる事。

 そして、それは光姫と戦騎である事。

 村を全滅させるほどの人間が光術を使えない訳が無い。どの村にも光姫と戦騎が10人は詰めているのだから。

 乱暴されたというなら男がいるという事だ。光姫と合わせて2名以上の犯罪者がいるというのも間違いない。ヴラムであれば人間を殺す事はあってもそれ以上は無い。乱暴する暇があれば他に人間を殺しに行くからだ。ヴラムとは100年ほど戦い続けている相手なので、習性や生態系についてもかなりの情報が出揃っているので間違いない。


 同じ人間が、それも光姫と戦騎が愚挙を行う。

 それを目指す人間にとっては、かなりつらい出来事だ。

 シャルとヴェロニカは表情に怒りをにじませ、リーゼはここに来るまでにずいぶん泣いた為に目が赤く周りは腫れている。


 そして、レイナスは。

 何の表情も見せず、感情を表に出さず、落ち着き、淡々としていた。

 多少の疲れは見えたが、それでも表向きは至って普通。

 その目に宿る、暗い炎以外は。



「今回の件で、軍による討伐隊が組まれる事になった。学生の動員は無いが、もしかしたら現場より一番近い大都市であるこのアイレンに来ているかもしれないので、注意が必要だ。街に出る時はなるべく8年生を中心に、各自最低でも10人以上のグループを作って行動する事。以上!」


 会長の声が響き渡る。

 全校生徒が集められ、今回の事件が公表された。

 被害が村一つと、とても隠し通せるもので無かったこと。

 そして、犯人が光姫と戦騎であることで、別の懸念がされる事があったのが、全校集会による情報公開の大きな理由だ。


 犯人が力を持ち、邪悪な思想に染まっているなら。

 その対象として手頃な獲物(・・・・・)、学生が狙われるかもしれないというのが、学生会の懸念だ。

 相手が弱者を甚振(いたぶ)るにしても、ある程度の手ごたえを求め、学生を狙うというのが十分に考えられた。

 正規の軍人がやられたのだ。例え学生が束になって人数を多くしても、被害者は出るだろう。だが、犯人を殺すには必要最低限の機会を作るきっかけになるかもしれないという願いがある。ようするに、誰かがやられそうなら救援を呼べる人間を作ろうという作戦だ。


 もっとも、学生には軍が先に犯人を潰してくれるという期待が強いが。

 一応も何も、保有理力量が多い人間というのは全員産まれた時から調べられているし、街の出入りの段階で時折確認される事でもある。犯人に光姫がいるのだろうから、目立つ目印を身につけているのと変わらないというのが軍の見解だ。また、村というのは他所者が混じり難い環境でもある。不審人物がいればすぐに分かり、連絡がなされる体勢が整えられただろう。大都市は多少時間がかかるかもしれないが、いつまでも隠れてすごせるとは思っていない。

 学生たちはこれまでの経験からそう判断した。



 だがしかし、犯人が見つからないまま1ヶ月が過ぎ、次の被害が出る事になった。

 今度もアイレン近くの村で、やはり住人はほぼ(・・)全員殺害されていた。


 そう。

 今度は生き残りがいたのだ。


 生き残ったのは8歳の少年。

 彼の口から、もたらされた情報は世界に震撼を与えた。



 文字どおりの意味の、ヴラーナが現れた。

 100年前の悪夢が、再来すると。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ