第7話 ハリボテ勇者の私、初戦闘で仲間がポンコツだったことを知る
生まれて初めて、村の外に出ることになる。外は魔物が沢山いるとずっと脅されていた。
恐る恐るみんなで外に出る。草や木で生い茂ってはいるものの、ニバーン村方面の道は整っていた。
ぷにゅんっと柔らかい音がした。
「ここから先に進みには、オイラを倒してからにしなっ」
水分が多めのクリア素材のモンスターがいた。
「ぷるるんよっ」
マホルが杖を構える。アックスも、プレストも戦闘体制だ。私も見よう見まねで剣を構えたりしてみる。
「ヒノターマ」
マホルが呪文のようなものを唱えると、杖の先から火の玉がぼとり、とその場に落ちた。
まるで線香花火が落ちたようだった。
「くっ……」
くっ……?全然当たってないというか、ぷるるんに届いてすらいない。
「でえええいっ」
アックスが掛け声をかけながら斧を振るう。が、ぷるるんは華麗にかわしてしまった。
「ちっ」
斧は大きい武器だから仕方がない。とはいえかすってもいない。ぷるるんはこちらをじっと見ている。
「みなさん張り切っていきますよ。ラ〜♪」
プレストが歌い始める。これに関しては私も分からない。もしかしたら士気を高める効果のある歌なのかもしれない。けれど、音痴すぎる。
「勇者様、後はお願いっ」
マホルにそう言われ、アックスの真似をしながら剣を振る。
「えいっ」
するとぷるるん側から距離を詰め、自ら剣にあたりに来た。
「いててっ。さすが勇者だな、この辺で許してやるっ」
ぷるるんは私にだけ見えるようにウインクをして逃げて行った。
「さすが勇者様!」
「すごいなー!」
「素晴らしいです!」
3人に褒められたが、いい気はしない。そして3人はポンコツだった。
「良い戦闘だったけど私達もまだまだね」
「これから経験を詰んで次に活かしてやるぜ!」
「頑張りましょう!」
きっと彼らは自分のことをポンコツなどとは思っていない。無理に空気を壊す必要もない。
「頑張ってニバーン村目指そっか」
郷に入っては郷に従うしかない。戦闘下手な仲間のことや謎のウインクスライムのことも、とりあえずは見なかったことにしよう。




