疾走 弐 横須賀
男は長らく慣れ親しんだ住処を変えていた。
川崎から横須賀へ
男を苦しめたのは坂の多さだった。
しかし、
その坂は 俺にもたらした。
この坂の向こうに
この坂の一つ一つの向こうに一人また一人と男が居るに違いないと、
思わせてくれる。
そんな風景がさせたのかもしれない。
軽々しく、
「別れようか、」
と、俺に言わせて、しまった、のか。
止められる。
『別れないで、』『別れたくない、』
と言われると思っていた、のだろう。
あいつが俺を手放すはずがないと。
二人が初めて会ったのは
埋め立てられた港湾の一角。
そう、海の傍
俺はそこで腕を脚を広げていた。
川崎の海は嫌いだった。
海の周りは切り取られ、奪われて、狭い中にしか許さない。
『そこからははみ出すな。』と、
『そこだけは与える。』と
そんな声が聞こえる気がしたから。
江東区の南に張り出した、海の中。
俺はよく行っていた。
(魚を)釣りにではない。
ただただぼんやりと海を空を周りを観ていた、
見廻していた。
男を釣り上げに行っていたわけではない。
たまたま男が近づいてくる。
それを遠慮なく頂いたりもした、だけ。
そんな事の、その中の1人があいつだった。
その男が住んでいるのは、東京都と千葉県がしみ出して混じり合っているあたりだ。
男は東京都の東のはずれの海によく行っていた、
男を狩るために男を食うために行っているわけではなかったが
そんな時に限って男が声をかけてくる
誘ってきた。
男は来るもの拒まずで食いまくっていた。犯してやっていた。
その男もそんな1人だった
男の体は、いや男の見た目は男の許容範囲内に収まっていた、
男のからだの具合が良かった
その男にとっても具合が良かったらしい
男とその男はのマラとケツマンの相性は抜群だった、
のか。
『だからやっていただけなんだろう。』
男の魔羅の具合が腰使いが絶妙に良かったよ。
その男のあなるまんこがの具合が良く
ぴったりと嵌まり込んだ。
『これ以上は無い、』
少なくとも、お互いにとって、お互いが今までやってきた中では最高だった。
変わるもののない絶妙な相性だった。(ん)だろう。
だから、付き合っていた、だけだったんだ。
その男はそう言って、別れを受け入れたらしい。
身体の相性だけじゃない、
俺にとってはかけがえのない相手だった。
それこそ相思相愛だったんじゃなかったのか?
なのに、なぜ?
あっさりと「わかった。」なんていったんだ。
言えるんだ。
俺はぐずぐずと酒を呑んでいた。




