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#1 疑う女

人間に擬態して人間観察を楽しむ魔法使いの男と、その男が魔法使いでないかと疑っている女の日常

 

 彼は魔法使いに違いない。疑わしい。

 その証明がしたくて。私は日々証拠情報をコツコツ集めているのだ。


 彼の言葉が、眼差しが、一挙手一投足が私をほんのちょっぴり翻弄する。


 チグハグだ。とってもチグハグだ。

 鋭いのに柔らかい。冷めているのにスッと熱い。

 博識なのに無知だ。


 どうしたって、魅力的だ。近づきたい。離れたい。

 逸らしたい、逸らせない。


 。。。どうしようもなく惹きつけられているようだ。


***


「ふあー。後5分で始業だぁ〜」おはよう。と、マイペースな音がトントンと耳に響く。この音を聞くのが、嫌いじゃない。悔しいけれど、このぐうたらで無精髭を顔面にぽそぽそと散らせた男が、私の雇用主である。

 悪くいうと、ちょっと小汚い。そう、例えるのなら。。。


 ----

 "怠惰に握ったのりたまおにぎり" 。。。

 ----


 さぁ、時計の針が9時を指した。彼は歯磨き中ですが、開店です。


** Day1. 表:"にんじんバースト炒飯" **


 …意気揚々と開店いたしましたが、この店は別に有名店でも人気店でも何でもない。名前は"こめ"。彼曰く「看板メニューは"おにぎりマウンテン"!」らしい。看板メニューの定義って何なんだろう。と考えさせてくれる良いネーミングセンスでなかろうか。


 そんなハイセンス(笑)なメニューと対照的なのはお店の外観だ。白く爽やかなペンキを基調として、所々ターコイズブルーのアクセントが散りばめられている。窓枠など。彼曰く「地中海を意識してみた!」とのこと。行ったことは無いらしい。ドアの側にはオリーブの苗木がこぢんまり佇んでいる。かわいい。守ってあげたくなっちゃうね。彼は植物には特に興味が無いようなので、私がひっそりと愛情を込めて育てている。


 さて、時計は10時を回ったが、この時点でご来店は0。私は手持ち無沙汰でカーペットをコロコロで撫でる。流石に飽きてきたが、特に彼と話すこともない。彼はというと、新聞を片手にローカルな喫茶の常連客を思わせるような風貌でくつろいでいる。あなた、オーナーですよね?それはそうと、昨日は実に不思議な出来事が起こった。


  ----<記憶1>

 昨日 11:30 AM, お昼の空気が漂う"こめ"店内

 ・母と息子であろう二人組が来店

 ・息子君は "おにぎりマウンテン"、"ブロッコリーの逆襲"、"にんじんバースト炒飯"、"母ちゃんを彷彿とさせるパスタ" の4択で迷っている(なかなかのセンスである)

 ・お母さんは迷わず「ドリップ、ホットでお願いします。」と一言

 ・息子君に選ばれたのは "にんじんバースト炒飯"

 ・何でも人参が大好きなんだとか(盗み聞き)

 ・運ばれて来た炒飯を見て息子君が一言

「パパの作った炒飯に似てる!!」

 ・店長はクスッと笑い、「君はパパによく似ているね」と独り言をぽつり

 ----

 ----<記憶2>

 昨日 19:30 PM 帰宅途中

 ・賄いを頂戴したが、デザートも欲しいのでスーパーにアイスを買いに寄り道

 ・本日ご来店された息子君とアイスコーナーで鉢合う

 ・外でお店の人と会うのは気恥ずかしいので会釈し、いそいそとレジに向かう

 ・息子君そっくりな男性が2つ先のレジに並んでいた

 ----


 。。。こんなことってある?私の妄想癖が甚だしいのかもしれないが、気のせいかもしれないが。彼(店長)は魔法使いで、来客者の交友関係を透視できる・・・とか?聞きたい、けど怖い。頭がおかしいやつかと思われる。し、これ以上彼のミステリアスさにハマってしまいたくない。。。その葛藤から逃げるようにお布団に滑り込む。今回だけではないのだ。違和感は。


 あなたはいったい何者なんだろう。

 明日はどんな1日になるのだろうか。


 そんな思いを脳の中でぐるぐるさせ、気付かぬうちに夢の中。



 Day1. ~fin~ have a nice dream!

▼次回予告

店長:俺の正体がバレた...?

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