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魔族失踪事件⑥ オルデンへ

はるか昔、テラの大地に神が降り立ち、人類を支配した。

神は己に似せて作った使いを監視役に置き、テラの大地を天蓋の中に閉じ込めた。

己の利のため、繁栄のために。


それから幾許もの時が過ぎ、人類がその支配の痛みさえも感じなくなってしまった頃、1人の男が反旗を翻す。


これは、真の自由と解放を求める、神殺しの物語。・・・に、不幸にも巻き込まれた魔族たちの物語。

薬を飲ませると、幾分リンの体調は良くなり、

話ができるようになった。




これまでの経緯を聞いてみたところ、

出稽古の帰りに何者かの襲撃を受け、

戦闘をしたものの、

相手の繰り出した魔法により意識を失った。


それからの記憶は無く、

気付いたらジンに背負われていた、とのことだった。




「この背中の鉱石は、帝国が地下研究所で作っている人口魔晶石で間違いないだろう。問題は、どうやって摘出するかだな。ダンさん、こういった症例は見たことありますか?」


リストはリンの背中を慎重に観察している。


「戦場でもこんな物は見たことなかったよ。恐らく、八咫で治療できる医者はいないだろう」

「じゃあどうやってリンを助けるんだ?このままでは一生マナ中毒を味わうことになるんだぞ?」

「ジン落ち着けよ、俺らが騒いだって何の解決にもならない」

「かと言って黙っていられるかよ。何とかしないと・・・」

「オルデンにマナ鉱石と中毒に詳しい医者がいる。彼女なら治療方法が分かるかもしれない」


ダンは、わずかな望みを手繰り寄せるように皆に告げた。


「彼女は俺の旧友だ。事情を話せば相談に乗ってくれるだろう。それに、この帝国の悪事は八咫よりもオルデンから告発した方が効果的だ。俺たちが騒いだところでもみ消されるに違いない。オルデンに着いたら、国王に謁見してこの実情を伝えてほしい。後で手紙も書くよ。鬼人族の族長からの手紙であれば、信じてもらえるだろう」

「だとしたら行き先は決まりだ。現状で他に可能性はないし、僕はオルデンへ行くよ」


ジンは意思を固めた。


「リンも一緒に連れて行った方が良いだろう。道中の体調は心配だが、八咫にはこの手の専門の検査機器や設備が十分とは言えない。馬車を使って移動すれば、いくらか安全に移動できる」

「俺もついていくぜ。ジンだけじゃ心配だからよ。リスト、お前も行くよな?」


フレンチはこういう時にいつも力になってくれる。リストも快く受け入れてくれた。


「フレンチとリストが付いて行ってくれるのであれば心強い。俺はこの街に残るよ。もし追手が来たら上手いこと言っておく。それに族長が居なくなったら怪しまれるかもしれないしな」




それぞれの役割が決まり、次の行先も決まった。

それぞれは一旦自分の家に戻り、装備を整えた後、

街の北門に集合することにした。




オルデンは大陸の東、

八咫から馬を走らせれば1週間程度で着く距離だ。

長旅になる。

それまでリンの体調がもつかどうか。


ジンは不安な気持ちをグッと噛み締め、

旅路の準備を進める。


思えば、八咫を出るのは、これが初めてだ。

他国への旅路がこんな形で始まるとは

思っても見なかった。

ジンが願う普通の幸せからは、

だいぶ遠ざかってしまう。




ジンはダンから、地図と手紙を2通受け取った。

医者である旧友に当てたものと、

オルデン王へ宛てた手紙だ。

旧友は、どうやら大戦前からの古い付き合いらしい。


「彼女の名前はベル。若いころ、苦楽を共にした仲間だ。きっと力になってくれる」


手紙を受け取ると、ダンとジンは抱き合い、互いの未来の無事を願った。


「リンを頼んだぞ」

「父さんも、ご無事で」


リンとともに馬車を走らせ、

北門へ向かうとフレンチとリストが待っていた。


「よし、行こうぜ」


一行はオルデンに向けて出発した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


皆様に楽しんでいただけるような作品に仕上げたいです!

ド素人のつたない文章ですが、ぜひ、皆様のご意見・ご感想をお聞かせください。


よろしくお願いします!

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