No.99 人の恋路を…
急ですが、二年生編はこの話で完結となります。
もう、二年生編でやることはほぼ終わらせましたので、だらだら、引き伸ばしてもしょうがないので。
すこし、会話シーンが少ないですが、楽しんでいただけたら幸いです。
あっという間に、二月は過ぎ去ってしましました。
特に何事もない平凡な毎日。
そんな毎日はもちろん幸せで。
もう、このクラスも終わろうとしているのです。
クラスが変わって、心配なことしかなかったですが、一年を振り返ってみれば、楽しいことばかりでした。
もう、楓くんがいなくてもやっていけます。
どんな環境でも、やっていける自信があります。
もちろん、同じクラスに越したことはないですけどね。
「神楽坂さん。一年間本当にありがとうございました。」
「有栖ちゃん~こちらこそありがとな。来年もいっぱい遊ぼな~」
もう、このクラスは終わってしまうのです。
「楓くん。」
「私、来年、、、」
去年の私は、楓くんがいないとやっていけないと言った。
「いや、今のお前なら、、、」
「はい。一人でやってやりますよ。」
なんだか、楓くんが笑ったような気がします。
「ああ。変わったな。有栖。」
楓くんに認められるほど、私は成長できたのでしょうか。
たまには自分を認めても、いいのでしょうか。
「でも、願ってもいいならば、やっぱり同じクラスがいいです。」
「ああ。俺もだ。」
ーーーーー
「好き。」
あの言葉が、俺から離れようとしなかった。
有栖は本当に俺に言ったのだろうか。
その言葉は本当に「好き。」だったのだろうか。
その二つが本当ならば、あの言葉は、告白だったのだろうか。
俺には分からなかった。
踏みいる勇気もなかった。
あの日を境に、有栖との対応が変わったなんてことななく、今までと同じように会話をしている。
でも、意識してしまうんだ。
恋をしているわけではない。
それは俺がよく分かっている。
でも、あの感情が少しづつ湧いてくる感じがするんだ。
「はあ。はあ。」
乱れる呼吸。
思い出しそうになる。
あの時の恋の記憶。
文月楓の誰も知るはずのない記憶。
それは心のどこかに深く刻まれていた。
その記憶は、忘れたはずだった。
でも、蘇ってくる。
前回、思い出してしまったのは、狸が退学したとき、俺が病んで部屋にこもったとき。
今、文月楓に、その思い出したくない記憶が思い出される。
高校一年 文月 楓
正直、中学校生活はそんなに楽しくなかった。
では、小学生はどうだったのだろうか。
そこに、あった記憶が、文月楓を戦慄とさせた。
今の高校生活がとても楽しい。
友達も担任もきっと恵まれている。
いや、別に今までも恵まれていなかったわけではない。
前、緑岡に話した過去。
あれも大体本当のことだ。
だが、それでも、やはり話せなかった記憶があった。
彼女が欲しい。
そう思った俺。
実際に、彼女だったかは分からない。
でも、それに近い人がいたのだ。
小学校も中学校でも俺は特に恋愛をしてこなかった。
嘘だった。
嘘というよりも、嘘にして、記憶から消したかった。
忘れていいなんてわけではなかった。
でも、そうでもしないと、今存在している文月楓は、もしかしたら、もっと違う人間だったかもしれない。
この世から去っていたこともあったかもしれない。
そもそも小学生の頃は恋愛なんて1ミリも興味なかった。
これも嘘だ。
文月楓の初恋は小学生なのだから。
でもやはり、それは文月楓の記憶から消されることになった。
中学生になると、女子を意識することもあったがモテることなく三年間を終えた。
こんなことはどうだっていいのだ。
だってその時にはもうすでに恋の感情がなかったのだから。
今までの俺に恋愛という言葉はなかった。
いや、違う。
だから俺は生まれてから恋愛を1度もしたことが無い。
違う。
そして彼女が欲しいと思う割には異性に恋をしたこともない。
違う。
もしかしたら、俺は恋をしているのかもしれない。
だけど俺はそれが恋なのかすら分からない。
違う。
それを知れば、あの時を思い出すことになってしまうのだ。
だから、文月楓はあの記憶を、恋という感情と共に、封印したのだ。
文月 楓は恋愛をしなさすぎて恋という気持ちを知らない。
ということにして。
文月楓の記憶が今にも繰り返されようとしている。
それは、今にも始まろうとしている。
では、始めようか。
「人の恋路をスパイしていたら、いつの間にか恋人ができていた。」ことについて。
ご愛読ありがとうございました!
この回で2年生編は終わりですが、3年生編の間に過去編あります。
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