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第二章 どうやら俺のスパイ行動は人の恋路をスパイするだけではなかったらしい。
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第九十五話 (後編)〜 〜

病から解放されてからの日々は、思っていたよりも楽しいものだった。


解放されたと言っても、正夢を見ることはやはり多い。


そんな長ったらしい話を、私は何故か有栖ちゃんに話した。


いつの間にか、話していた。


「やだ、恥ずかしいけん、忘れてくれ。」


アリスちゃんはニッコリと笑った。


「じゃ、うち行くから!」


そうして、水無月くんにバレンタインを渡しに行った。


ーーーーーーー


「水無月くん。ちょっと時間ええか?」


「うん。いいよ。」


「あの、ここじゃなんやから、ちょっといいかな。」


そうして、人が少ない所へ水無月くんを誘導する。

チョコを渡すだけなら別に教室でもいいけど、今回は話が違う。


「水無月くん、、これ、バレンタインや。」


緊張で、手が震える。


いつ言えばいいのか分からない。


「ありがとう。神楽坂さん。」


「あの、あのな、水無月くん。」


今まで長かった。


中々、思いを口に出来なかった。


「うち、水無月くんのことが、、、」


ーーーーー


水無月蒼空。


「うち、神楽坂心っていいます。地元の方便が抜けきれなくて、関西弁がでちゃうんやけど、みんなよろしゅうお願いやで」


初めて神楽坂さんを目にしたのはこの時。


もしかしたら俺は、この時から彼女に恋していたのだろうか。


俺は今まで彼女がいたことは無かった。


でも、チャンスはいくらでもあった。


それを邪魔したのが俺のプライドと理想。


今まで告白されたことなんかいくらでもあった。


でも、全て断ってしまった。


俺のプライドが許さなかった。


失礼だが、俺ならもっと上を行ける。

そんな思考だったのだろう。


自分から告白したいという気持ちも強かった。


今でも昔のプライドがあったなら、もしかしたら神楽坂さんにすら恋をしなかったかもしれないと考えると恐ろしい。


いや、違うか。


たぶん、神楽坂さんが俺のプライドをぶち割った。


高校生になると、何故か分からないが、もう恋なんかしない。

そんな思考になっていた。


厨二病なのかなんなのか。


でも、俺は自分の性格を理解してのこの判断だった。


俺に恋愛は無理だ。


でも、その全てを崩して行ったのが神楽坂さん。


初めて彼女を見た時、初めて目で女子を追ってしまった。


話からも、彼女は話しやすく、俺はどんどん惹かれていった。


初めての感覚だった。


毎日が楽しかった。


もちろん、今までが楽しくなかった訳では無い。


楓を始め、俺は色んな友達に恵まれた。


でも、神楽坂と一緒にいる楽しさは他の友達とは違かった。


きっとこれが恋なんだろうと。


俺はプライドを捨て、自分の恋を認めた。


俺のプライドはガラスが割れるようにように一瞬で砕け散った。


「水無月くん。ちょっと時間ええか?」


神楽坂さんに呼ばれる。


「うん。いいよ。」


「あの、ここじゃなんやから、ちょっといいかな。」


場所を移動する。

すると、神楽坂さんは俺に何かを差し出す。


「水無月くん、、これ、バレンタインや。」


体が熱い。

俺の顔、赤いかもしれない。


「ありがとう。神楽坂さん。」


いつもより少し自分の声は震えている。


「なあ、水無月くんって好きな人いるんか?」


神楽坂さんの様子が、どこかいつもとおかしい。


「うち、水無月くんのことが、、、」


「なあ、水無月くんって好きな人いるんか?」


好きな人。

それは目の前にいる神楽坂さんに決まっている。

言えない。

恥ずかしくて、そんなの言えるわけない。

君が好きなんだなんて言えない。


「いや」


バカ。

何否定してんだ。俺。


***


「なあ、水無月くんって好きな人いるんか?」


もう、うちはなんで素直に告白できないんやろ。

なんでわざわざ遠回しにこんなこと聞いて。

しかもこの質問前にもしたことあるのに。


「いや」


水無月は否定する。

そっか。

水無月くん好きな人いないんや。

ちょっとは脈ありだと思ったんやけどな。

残念。失恋や。


「そうなんや。じゃあ、またな、水無月くん」


振り返って帰ろうとする私。

今にも涙が出そう。

大丈夫やって、振られた訳やない。

そんなこと分かってるのに、涙が目に溜まっていく。


「嘘」


水無月くんの声がした。

私は立ち止まる。


「嘘。好きだ」


目に溜まっていた涙が、一気に落ちていく。

私はもう一度好きな人の方を見る。


「神楽坂さんが好きだ」


私は水無月くんの方に駆け出していて。

抱きつくように水無月くんの方へ飛び込んだ。

水無月くんを倒しそうにになったけど、支えられて互いに抱きしめ合う。


「み、水無月くん。う、う、うちと付き合ってもらえますか?」


上手く喋れない。


「もちろん」


うちと違ってちゃんと喋れる水無月くんは、やっぱりかっこよくて。




***


もしかしてこれは告白されるのではないか。

そう思ってもいいだろうか。


神楽坂さんが本当に俺に告白したとして、俺はちゃんとイエスと言えるのだろうか。


昔みたいにプライドが邪魔しないことを願う。


神楽坂さんから続きの言葉は中々出ない。


さっきから、互いに目が合ってはすぐにどこかへ視線を泳がす。


もし、告白されるなら、俺も好きだとちゃんと気持ちを返したい。


「うちな、水無月くんのことが、、、」


いや、違うな。


「好きだ。神楽坂さん。俺と付き合って欲しい。」


俺はそんな言葉を発していた。


神楽坂さんの目にはうっすらと涙が見える。


「う、うちも好きや〜!大好きや!」


神楽坂さんは鼻声のような声でそう言って飛びついてくる。


それを支え、抱きしめる。


「蒼空って呼んでもええか?」


「じゃあ、俺は心って呼ぶ。」



水無月蒼空によって夢から目覚めた神楽坂心。


神楽坂心によってプライドを砕かれた水無月蒼空。


互いに支え合い、恋をした。


半年以上の月を経て、それがついに実った。



「絶対に幸せにする。」


水無月は心の中でそう呟いた。




第九十五話



水無月蒼空という男②




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