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第二章 どうやら俺のスパイ行動は人の恋路をスパイするだけではなかったらしい。
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第八十話 守るべきものは

楓と綾華が付き合う少し前まで時間は遡る。


「楓、お願いがあるの。」


尋ねてきたのは綾華。


「どうした。」


「私、退学になっちゃうかもしれない。」


「何があったんだ。」


「私が生徒会やめたのは聞いてるよね?」


「もちろん。まさか緑岡か。」


「そうなの。」


「いつからだ。」


「やめてから話はあったよ。」


「なんでもっと早く言わない。」


「だって、、」


「なんで今になって言ってきたんだ。」


「私、この前テスト一位とったでしょ?だから賭け勝負しようって。まあ私が勝てばいい話なんだけどね」


「なんでそんな勝負断らないんだ。」


「だって、断った時点で退学かもしれないでしょ?」


でも確かに、緑岡からの立場としたら、裏切り者であり、それがバレた途端生徒会を辞める。退学しにさせたい気持ちも理解はできる。


「できることはやる。お前もできる限り頑張れ。」


「うん。ありがと。」


この出来事も綾華と付き合う理由の一つだった。


ーーーーーー


「って訳だ。俺は綾華を守ろうとしてる。」


「付き合っても付き合わなくても関係なくない?」


「ないことはないぞ。まず、緑岡は俺に情けをかけることがあるし、無条件で綾華の退学がなくなる可能性だってなくはない。」


「まあ、それは確かに?まあ後は、綾華さんの心の問題的にも、楓くんがいた方が安心だよね。」


「恐らくは」


「楓くん。綾華さんの退学ケアも大事だけど楓くん自身の事も忘れないでね。」


「ああ。もちろんだ。」


もう、これ以上この話をする必要はないだろう。


「神月。」


「どうした?」


「次の試験そしてクラスマッチ。神月の本気が見れるのを楽しみにしてる。」


「あれ、私本気だすなんていったっけ。」


「さあな。」


「ありがとう。楓くん。なんかあったらいつでも呼んでね。じゃあね。」


「ああ。」


綾華を守りたい。か。


好きな人のことを守りたい。


俺の気持ちがそうであること願う。


いや、きっとそうだと、信じよう。


少しだけ、分かったかもしれない。


ーーーーーー


冬休み明けにあると告知していた不定期試験は今日行われる。

まさかのゲリラ方式。だが、対策済みの者が多いのも事実。

このクラスでも推薦のために今までにないくらい団結して勉強をしていた。


俺もしっかりと、本気でテストに挑む。


結果は明日にならないと分からないが、できるだけのことはした。


気になるのは綾華と緑岡の結果のみだ。


ちなみに、クラスマッチだが、2週間後の2月初めに行われると先生から報告があった。


ーーーーーーー


一位 神月桜


二位 文月楓


三位 緑岡林太郎


四位 神谷綾華


五位 水無月蒼空


六位 霜月有栖


七位 本木力


八位 武藤愛里


九位 如月鈴花


十位 神楽坂心


結果を見て気になるのはやはり三位と四位。


綾華は緑岡負けてしまったようだ。


綾華の言う通りならば、退学になってしまう。


そして、一位の神月。

神月はまだ本気を隠してたのか?と言った感じだ。

負けて素直に悔しいと思ったのは久しぶりだ。


とりあえず、いち早く緑岡のところに行かないとな。


ーーーーー


「失礼します。」


「楓か。急にどうした。」


「綾華のことだ。」


「なんだ聞いてるのか。」


「何とか出来ないか。」


「その前に、お前と綾華が付き合ってるというのは本当か?」


「ああ。だから、失いたくない。」


「フフ、ハハハ。」


不気味な笑い。


「ごめんなあ。僕も余裕がねえんだ。また一位を逃して、最近は父に毎日叱られて、結構キツいんだ。そんな中、お前との対決のことも忘れちゃあいけない。」


「というと?」


「ここから去ってくれ、楓。」


「綾華の退学が無くなるなら去ろう。」


「チッ。あまり調子に乗るなよ。」


「それはお前もだ。」


「お前の立場で調子に乗るなって言ってるんだよ。」


俺は動かない。


「楓。戦うのはクラスマッチにしたい。頼むから去ってくれ。これ以上は何も言わない。」


時間の無駄でしかない状況になり、そこを去った。


ーーーーー


教室に戻り荷物をとって綾華に会いにいく。

正門にいるらしい。


「待たせた。」


「全然。じゃあ帰ろっか。」


「ああ。」


なんと言えばいいだろうか。

俺に出来ることは全然なく、結局綾華に勉強を教えるくらいしかできず、結果的に負けの結果に。


「あのさ、私たちさ、、、」


そこで言葉を止めると、首を横に振り、話を変えたようだ。


「楓。ちょっとこっちから帰ろ。」


薄暗く、人通りが少なく、遠回りな帰り道だ。


「ああ。」


「楓。ちょっと止まって。」


言われて止まると、綾華は俺の耳に当て顔を近づける。


俺でも何もしようとしているのか分かった。


やがて、互いの唇は交わり、俺も綾華の頭を支える。


初めてその行為は長いようですぐに終わる。


その後は綾華は何もなかったかのようにいつものように世間話などをする。、


テストの件に触れないのが不自然だが、楽しそうな綾華を話し相手になれるなら、それでいいと思った。


ついに、その話になったのは、電車を降りてからだった。


「楓。私たち、別れよう。」


思ってもなかった言葉に困惑する。


「どうしてだ。」


「私、もう楓に迷惑はかけられない。もう十分楽しませて貰ったよ。楓。」


俺が今胸が痛いのは、恋なのだろうか。


「迷惑なんかじゃない。俺はやりたいことをやっているだけだ。」


「楓は優しいね。」


綾華は、さらに近づいてくる。


歩く足なんか、とっくに止まっている。


「私、もう心の準備は出来た。心残りもないの。」


綾華は俺の頭を右手で撫でる。


「きっと楓にはもっといい彼女ができるよ。」


俺の言葉はでない。


「もし大人になって楓が1人ぼっちだったら、結婚してあげてもいいけどね。」


「ねえ楓。

恋ってね、

その人がいない時のほうが……

考えちゃうんだよ。」


「寝る前とか、

ふと歩いてる時とか、

風の音を聞いた時とか……


そんな時に、

気づいたらその人のことを考えてる。」


「それで胸が痛くなったり、

会いたくなったり、

笑ってほしいって思ったりするの。」


「それをね……

“恋”って言うんだよ。

綾華。なんでお前は笑えているんだ。

でも、笑いながらも、目の奥に涙が見える。


「楓。ありがとう。本当に。」


俺は綾華を抱きしめる。

それしか出来なかった。

俺も今泣いているのかもしれない。

なあ、俺は今、本心から泣けているのだろうか。

この俺の喪失感は、恋なのだろうか。


綾華を抱きしめる手を次第に離し、綾華は最後にこう言った。


「楓。恋の気持ち、少しは分かったかな?」


最後の綾華の言葉に涙なんかはなく、いつも通り。いや、いつも以上の笑顔だった。









ご愛読ありがとうございました!

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ぜひよろしくお願いします!!

では、またお会いしましょう!

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