第七十九話 復活〜
一人、廊下を歩く俺。
突然話しかけられる。
朝からずっとなんだか、胸騒ぎがしていた。
今日何かあると。
そしてそれが、今来てしまった。
そう肌で感じた。
ずっと朝からあった胸騒ぎはこれだ。
その声は顔を見なくても誰だか分かった。
俺は鳥肌が立っているのを感じた。
「あれれ〜楓先輩じゃん。」
ニヤリとした目でこちらを見つめてくる。
間違いなく、彼女の声だった。
「あれ、何でいるの?そう言いたんでしょ。あのね先輩、私はそう簡単に負けない、こんなところで死んじゃいられないんだよ〜」
俺は振り返らずに黙ったまま。
「ん?この前私を殺したくせに、もう忘れちゃった?凪だよ?凪。」
頭の片隅にはあったが、緑岡がいる限り、こいつは特別な存在。
なぜなら、凪と緑岡はもともと血が繋がっているから。
凪の退学はきっと緑岡財閥に取り消された。
この前の緑岡の意味深な言葉の意味はこのことだったのか。
「ハア。俺から言うことは特にない。いや、一つ言うならば、緑岡と俺の勝負に入ってくるな。」
「ンフフっ。はあい。」
凪の顔を振り返って確認することなく、俺はそのまま前に歩き出した。
ーーーーーーー
昨日からある噂が流れています。
それは、楓くんと綾華さんの交際です。
気になって気になって仕方がありません。
楓くんは、、もう、、、
いや、大丈夫。
私は水無月くんを訪ねます。
「水無月くん。楓くんの噂は聞いていますか?」
隣に神楽坂さんがいますが、まあいいでしょう。
「あ、例の綾華さんのやつか。」
「そうです。あれは本当なのでしょうか。」
「どうだろうな。俺も分からない。」
「気になるよなあ。楓くんと綾華ちゃんは元々仲ええから、見てても何も分からへんわ。」
ここで神楽坂さんも話に入ってくる。
「仮に綾華ちゃんと楓くんが付き合ってるとしたら、有栖ちゃんはどーするんや?」
「どうするって言われても、、、」
「有栖ちゃんは諦めるのかって聞いてんねや。」
「べ、別に、私楓くんのことは、、」
「好き。違うんか?」
「、、、」
「可愛ええな、有栖ちゃん。」
「やめてくださいよ。神楽坂さん。」
恥ずかしくて赤面している私。
「恋をすると人は可愛くなるなんてな。まあ有栖ちゃんは元々可愛ええけどなあ。」
ニコッと微笑みながみ、ドヤ顔で決める神楽坂さん。
神楽坂さんの優しさ、そして、私の楓くんへの思いを、改めて実感しました。
ーーーーーーー
「ちゅーわけで、有栖ちゃん。楓くんの真相を突きとめるために、情報収集や!」
元気にそういうのは神楽坂さん。
「本人に聞けばすぐ分かるんじゃない?てかなんで俺も。」
神楽坂さんに連れられる水無月君。
少しいやがっている風にしていますが、きっと内心では喜んでいるツンデレさんでしょう。
「あまり、ストーカーみたいなのはしたくないのですが、、、」
「ストーカーじゃないで、それに楓くんもよく色んな人の観察しとるやろ。そんな感じや。」
楓くんと一緒に恋愛をスパイしたことがありました。
柊くんと紅さんや、徳永くんと花宮さん。
もちろん、目の前の神楽坂さんと水無月くんも。
今度は私が楓くんをスパイすることになるとは。
「それじゃあ行くで。ウチの情報によると、二人は一緒に帰るはずや。それにどっか寄り道する可能性だってある。」
そういう神楽坂さんについて行き、特に隠れることもなく、三人でただ帰るようにして、楓くんたちの少し後ろを歩きます。
恐らく二人は気づいていないでしょう。いや、楓くんは気づいているでしょうか。
「神楽坂さん、やっぱり付き合ってるのでしょうか。」
「有栖ちゃんは、綾華ちゃんから楓くんを奪いたいと思うんか?」
「言い方悪いぞ。神楽坂さん。」
「ごめんって、許してや。」
「奪うなんて、そんなことは、、仮にしたいとしても、私にそんなことできません。」
「楓くんなー見る目ないなー。確かに綾華ちゃんもいい子やし可愛ええけど、近くに有栖ちゃんっていうこんないい子がおんのになあ。」
「それに気になるのは、楓は本当に好きなのかって話だよな。噂が流れる前日に楓言ってたんだぜ。恋ってどんな気持ちなんだって。」
恋という気持ちが分からない。
楓くんは前も言っていました。
私が好きな人いるのですか?と聞いた時、楓くんは、こう答えました。
私も同じく、今まで私に恋は全くの無関係で、関わることがありませんでした。
でも初めてその気持ちを教えてくれたのは楓くんです。
でも、私は教えられなかったのです。
楓くんに、その気持ちを。
それが、悔しいのです。
「だよね!それ、気になるよね!」
ここで神楽坂さんでもなく、水無月くんでもない人が、話に入ってくる。
「か、、神月さん!?」
「久しぶり、霜月さん。負けヒロイン同士仲良くしようね。」
「ちょ、負けヒロインて、ウチの有栖ちゃんは、また負けてないで。」
「そっか。じゃあ、私だけかな?霜月さん、実はね、私楓くんに告白したんだよね。」
「え、本当ですか?」
「うん〜。楓くんは好きな人いないんだって。」
「じゃあやっぱり、楓くんが付き合ってるおかしいやんけ。」
神楽坂さんは眉間にシワを寄せてそう言う。
「そう、てか私が気になってるのは、どっちも好きじゃないのに、なんで私とは付き合わないで綾華さんと付き合ってるの勝手話なんだけどね。」
「それはそうですね。先に告白したのはどっちなんですか?」
「多分私。ま、楓くんが幸せならいいんだけどね。私、好きな人が幸せならいいやって思っちゃうタイプだから。」
多分神月さんの言葉は嫉妬ではなく本当だと感じます。
私、恥ずかしいです。
綾華さんも、神月さんも、楓くんに気持ちを伝えてるのに、私だけ、、、
私なんか楓くんに釣り合うわけありません。
もう、私は一線を引いてもいいのかもしれません。
「話に夢中になって二人を見逃してどうする。二人はカフェに入ってったぞ。」
「水無月くんナイスや!行くで!」
神月さんも加えて四人でカフェ向かいました。
ーーーーー
「楓は何飲むの?」
俺は綾華と、カフェに来ている。勉強もしなければならないしな。
「俺はこれにしようと思う。」
とりあえず1番上のおすすめを飲むことにする。
ドリンク手に持ち、席へ向かう。
二人で隣になるように座り、雑談をしながら勉強を進める。
カップルというのはこういうのでいいのだろうか。
ところで、俺の追っ手がいるのは気づいている。
霜月、神楽坂、水無月。そして神月。
どういう目的かは知らないが、やはり神月には申し訳ない。
今度話すしかないか。
「一口頂戴!」
綾華は俺のドリンクにそう言って手を差し伸べる。
一瞬戸惑ったが、カップルなら普通だろうか。
一応俺も綾華のを貰っておくか、と状況的に飲み合う。
「楓。」
「どうした。」
「私、今すごく幸せだよ。」
そう言う通りの顔をこちらに向けてくる彼女。
「ああ。それなら、良かった。」
上手く言葉を返すことは出来なかった。
ーーーーー
翌日放課後。神月と会っている。
呼ばれたのだ。恐らく昨日のことだろう。
「神月。すまない。」
「別に謝ることはないよ。誰と付き合おうが楓くんの自由だし、楓くんが幸せなら私それでいいし。」
「ありがとう。神月。」
「でもさ、私が気になるのは楓くんが本当に綾華さんを好きなのかってこと。聞いちゃったんだけど、恋が分からないって何?」
「そのままの意味だ。恥ずかしいからあまり言いたくないのだが、笑ってくれて構わない。」
「じゃあ、綾華さんは好きじゃないの?付き合えば、恋の気持ちが分かるって思ってるわけ?」
「、、、」
「そっか。何かあるんだね。」
「いや、俺は綾華に恋を教えてもらおうとしただけだ。」
「それもそうなのかもしれないけど、なんかあるんでしょ。」
「はあ。神月。別にお前なら正直に話してもいい。」
「ちょっと待って。その前に一ついい。」
そう言った瞬間神月は俺に近づき、両手で俺を抱きしてめる。
いわゆる、胸もかなり当たっている状況だ。
俺を抱きしめて神月はこう言った。
「恋だったらさ、私がいくらでも教えてあげるって。」
少し涙ぐんでいるように聞こえる。
俺にも彼女がいるから離してくれるか。と言おうとしたが、その言葉が出ることはなかった。
「恋をするとこうやって触れ合いたいって思うこともあったりするかな。」
そう言ってさらに強く抱きしめる神月。
しばらくして、その手を外す。
「ごめんね。じゃあ、話を教えて貰えるかな。」
「あ、ああ。」
抱きしめられたあとで、少し頭がボーッとしているが、俺は綾華と付き合うもう一つのきっかけのあの時を頭の中でイメージして、神月に伝えた。
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