第六十三話 相棒の暗躍
その後は北野天満宮で過ごした。
一日目にすでにお守りを買ってしまったのはミスったかもしれない。
俺はさっき霜月のことを呼び捨てにしたのが未だに頭から離れない。
女子を呼び捨てで呼ぶのは結構緊張するのだ。
そんなことで頭がいっぱいの俺は今日のグループ活動を終え、ホテルに戻った。
風呂に入り、夕食も済ます。
やるべきことを終え、俺も部屋のメンバーも疲れてダラダラとしながら、各自スマホに没頭する。
スマホを眺めながら、今日のことを振り返る。
真面目に考えた時に、やはり綾華のことが気がかりだ。
昨日の夜俺の前で泣いていた綾華。
そんな綾華のことを今日気にしてみていたのだが、修学旅行中の綾華はやはりどこか暗い。
どうにかして助けてやりたいが、俺にできることはあるのだろうか。
ベッドの上でそんなことを考えていると、いつの間にか俺は眠りについていた。
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三日目。今日もグループ活動だ。
昨日色々観光したので、今日は京都駅などでショッピングなどする予定だ。
言ってしまえば今日は遊びの日だ。
京都と言えば清水寺や伏見稲荷大社など、まだまだ行くべきところはあるが、そこには最終日の明日、クラスで行くことになっている。
ということで、グループで今、京都駅に立っている。
「でっけー。」
「うちらの駅の何倍あるんやろな。」
テンション爆上げの水無月と神楽坂この二人の雰囲気は本当に良くなってきている。
いつ付き合ってもおかしくないだろう。楽しみだ。
広すぎてよく分からないので、とりあえずあちこちを歩いてみる。
歩いていると、見たことある人を見つける。
あまり会いたくないやつが俺の前にはいた。
思わず立ち止まる。
「楓に水無月じゃねえか。」
声を掛けられる。それに水無月が応じる。
「久しぶりだな。緑岡。」
「お前とは久しぶりだな。元気にしてたか。」
緑岡がこんなに話してくるのは少し俺のことを調べたいからだと思う。
だから、俺は最低限の会話だけをする。
「楓と綾華は同じグループだったのか。」
俺も綾華も頷く。
「緑岡はどこに向かってるんだ?」
この場を逃げ出したい俺は誘導目的でそういう。
「俺たちはあっちへ行こうと思ってる。」
指をさしてそう言う。
「俺たちはあっちだ。時間もないのでここで失礼。またな。」
自然な流れを作り出すことに成功する。
「ああ。ちょっと綾華借りていいか。」
緑岡が言う。
俺は綾華の方を伺う。頷いているが、少し嫌そうなのが見てわかる。
「いや、すまんが綾華は渡さん。」
やべ。変なこと言ったかも。
綾華も驚いている。
「ほう。」
そういって緑岡は去っていく。
まあいいか。俺たちも歩き出す。
すると綾華がこちらに寄って来る。
「ありがと」
小さな声でそう呟く。
「かっこよかった。」
さらに小さくそう呟くが、誰の耳にも入ることはなかった。
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緑岡と離れてから数分。
メンバーが1人欠けていることに気がつく。
「おい、西谷どこだ。」
俺がそういうが、西谷はどこにもいない。
「ついさっきまでいたよな?緑岡に連れられたか?」
水無月が言いたいこともわからなくはないが緑岡が西谷を連れて何をするのだろうか。
「とりあえず、戻って探そう。」
「そうですね。」
「水無月、そっち側頼むわ。」
「任せろ。」
軽く探すスペースを分割して西谷の捜索をするのだった。
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「西谷恵であってるよな。」
僕は事情聴取件スパイになれる素質があると見込んだ西谷に話しかける。
「ああ。俺になんのようだ。生徒会長さん。」
「ひとつ言っておくが、お前は色々問題を起こしている。いつでも退学にできるわけだ。あまり俺に逆らわないほうがいい。」
「ああ。」
「楓はクラスでどういう感じだ?」
「あ?なんで文月なんだ。」
楓はやはり誰にも見つからないようスパイをしているのか。やるな。
「綾華はどうだ?」
「委員長してるぞ。」
僕は楓の調査と共に綾華についても調査している。
綾華が裏切る可能性が一番高いとみているからだ。
僕は生徒会に内通者がいるとみている。
生徒会の情報はなかなか漏れる事がないからだ。
そうなった時に誰かとなると楓と仲が深い綾華が怪しいと思うのは自然だろう。
「西谷恵。俺と組まないか。」
「あ?何言ってんだてめー」
「お前にはスパイをしてもらいたいんだ。楓と綾華の、、」
「意味がわかんねえぞ会長さん。」
「綾華が最近生徒会で様子がおかしくてな、ちょっと気になるんだ。」
「文月は関係ねえじゃねえか。」
「関係あるとみている。僕の勝手な考察だ。」
信用してないやつにあまり深く事情を教えることはできないため、軽く説得してみる。
「めんどくせー」
「こちらも色々事情があるんだ。全て解決したら教えてやるから大人しく俺に従え。」
軽く壁に西谷を押し倒す。
「チッ、わーったよ。具体的に何をスパイすればいいいんだ?」
「楓の不審な行動の調査とそれに関わる綾華の行動の調査だ。」
「文月が不審な行動?まあ確かにあいつは何考えてるかわかんねえし、いつの間にかいなくなったりするな。」
「ああ、そういう時にどうしているのか気になる。」
「で、それに神谷が関係してんのか?」
「可能性があると僕が勝手に思っているだけだ。」
「納得いかねーけど、文月の正体は気になるからやってみるわ。少しは楽しめそうだ。」
「それならよかった。間違えても本人に直接聞くなよ。」
「わーってるわ。じゃあ失礼する。」
「よーし」
緑岡と西谷に気づかれないよう2人の会話を全て盗み聞きしていた一人の姿。
彼女は一仕事終え、一息つく。
「チョー怖かったんだけど!バレたらどうなると思ってんの。」
彼女は小さな声で独り言を言っている。
「ま、これで少しコチラが有利ですかね。緑岡くん。」
文月楓スパイの相棒である神月の姿がそこにはあった。
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