第四十八話 海は意外とやることがない
「疲れたー」
柊が騒ぐ。
海に来てから1時間ほど経ったが、柊や紅、水無月、神楽坂などが早速大はしゃぎで泳ぎまくった。
俺は泳げないことは無いが別に好きでは無いのでそれを見ていた。そしてあの合宿のことを思い出す。
黄瀬川 凪
これが彼女の本名らしい。
あの後、実は彼女に俺は一言言われた。
「宣戦布告ってやつだよ。楓先輩」
これが俺はずっと頭から離れない。
誰に対してなのか。
これから何をするつもりなのか。
俺には全く予想がつかない。
「楓。バレーしよーぜ!」
柊に呼ばれる。
ていうか、ここの海ビーチバレーコートあるのか。すごいな。
「全員でやろう!」
水無月も言う。
「分かった。」
俺は立ち上がり、みなの元に集まる。
「じゃ、適当にチームを、、」
というわけで、俺のチームは柊、水無月、神楽坂、神月、霜月。
相手チームは綾華、本木、武藤、紅、徳永、花宮となった。
結構みんないい動きをするものだ。
特に相手の本木と綾華。
「おい、来るぞ」
またしても綾華のアタックが来る。
本木からの完璧なパスを受け、綾華がそれに強烈な一撃を放つ。
こちらは柊の上手いレシーブから俺のアタックで得点を稼ぐ。
かなり長引いたが、相手に勝ちを許してしまった。
「ねーアイス食べよーぜー」
柊が子供のようにはしゃぐ。
「雄太行こー」
紅がそれに反応する。まだ出来たばかりのカップルだ。
「楓くん。一緒に行こ。」
「分かった。」
それを見た神月に誘われたので素直について行く。
またしても綾華と霜月が目線で謎の対決をしていたが、神月もそれに混じっている感じがして心配だ。
「何食べる?」
「んーじゃあチョコのソフトクリームにしようかな。」
「チョコ味、二つください!」
俺がチョコ味と言うと、神月はすぐにそれを注文してくれた。かっこいい。モテそうだな。
「来たぞ。」
しばらくしてアイスが来たので俺は二つ受け取り、一つを神月に渡す。
「ありがと」
至近距離で一緒にアイスを食べる相手は水着。
流石に目のやりどころに困る。
顔を見ようとも視界に入ってくるし、上を見すぎても不自然だ。
逆に下を見ても、露出された育ちの良い足を眺めている変態になってしまう。
結局、顔を見て話すが、やはり視界に入ってくる二つの山には時々気を取られる。
他愛もない話をしながら食べるが、少し真面目な話が始まる。
「夏休み終わったらもうすぐ体育祭だけど、緑岡どうしよっか。」
「前みたいにやっぱ他の誰かに指示する感じなのかな。」
「まあ、基本はそうだろうね。あと一つあいつが今年の体育祭にルール追加したの。」
「新ルールか?」
「そうよ。今年の体育祭はクラス対決になるらしい。しかも、学年関係なしに戦う。」
「なるほどな。学年関係なしならこの前の文化祭の東条とかとも戦うのか。そういえば、緑岡って俺らのスパイのことは気づいてたりするのか?」
「分かんない、でも私がバレたら即退学だと思う。」
それもそうか。
俺だったら、友達として見逃したりしてくれるのだろうか。
それとも正面衝突か。
どちらも面白いな。
「あと一つ気になることが、、」
「なんだ」
「生徒会に一人新しい人が入ったんだよね。しかも緑岡が指名してね。」
そうなると、緑岡の手下の可能性が高くなる。
「名前は、、、」
俺は言われる名前に唾を飲む。
「黄瀬川 凪って子」




