第三十一話 引退
「あの、、文月さん。」
俺を呼んでいるのは、確か花宮雀。静かな性格でいつも一人なのだが、非常にかわいい顔をしており、紅がメイドに引きずり込んでいた。
「花宮だよな。どうした。」
「あ、あの、、しょうもない相談なんですけど、、、、」
「ああ、俺でいいなら何でも言ってくれ。」
「徳永くんと仲、、いいですよね?」
「ああ、あいつとは仲良くしているぞ。」
同じバスケ部の徳永翔斗。去年の夜と朝日先輩のことだったり、なにかと徳永は頼りになる。
「私、、気になってるんです、、徳永君のことが、、」
予想してなかった言葉に俺は驚く。
「あ、ごめんなさい。」
花宮は緊張している様子だ。
「いや、全然いいぞ。俺は何をすればいい?」
「いや、そんな、、、ちょっと徳永君のこと教えていただけるくらいで、、」
「そんなんでいいのか?」
「はい。私、頑張ってみたくて、、」
「そうか。徳永は、、どうだろうな。あんま分からないが確かショートカットが好きと言っていた気がするぞ。」
今の花宮は長い髪の毛を一本で括っている感じだ。
「すまんな。徳永とそういう話はあんましなくて、何かわかったら教えるよ。」
「あ、ありがとうございます。私、、メイドなんかやりたくなかったのですが、、頑張ってみますね。」
「ああ。応援してるぞ。」
徳永にもついに春が来ただろうか。
目が離せないな。
俺の五月は非常に忙しい。まず来月に文化祭を迎える。そして俺は責任者だ。それだけでも忙しいのに、今月末には早くも中間テストがあるらしい。
そしてもう一つ、大事なことがある。
それは来週のバスケ部の大会だ。
この大会がおそらく最後になる。
冬にウィンターカップがあるのだが、それにいけるのは限られたチームだけ。
うちも普通に強いほうなのだが、推薦をとったりしている高校には適わない。
一週間前で迷惑となる可能性もあるが、俺は部活に復活することにした。
4か月程で腰はほぼ治った。病院の先生にも早く完治して良かったと言われた。
そうして一週間俺は部活に打ち込んだ。
そして本番は早くも訪れるのだった。
「楓。試合出れそうか?」
「はい。もう大丈夫です。迷惑が掛からないよう頑張ります。」
朝日先輩は俺を気にしてくれる。
「何言ってんだ。思いっきりやれよ。」
朝日先輩はずっといい人だ。先輩は朝日先輩に限らずみんな優しい。
もっと一緒にバスケをしたかった。
一試合目。
俺はベンチスタート。途中で出場して六得点。この試合は朝日先輩の活躍で72対45で勝利した。
二回戦へと駒を進める。
「この試合が本番だ。」
今まで試合をしたことがある相手だが、いつも僅差で負けている相手だ。
だが、そんな試合でアクシデントは起きる。
試合は残り2分30秒。94対100で負けている。
エースの朝日先輩が相手と接触し、足をひねってしまい、交代。徳永と変わった。
俺はこの試合はスタートから出ていた。
朝日先輩は泣くのを堪えて近くの俺に言った。
「すまん。後は任せた。点を取るのはお前だ。」
そういわれた俺も思わず泣きそうになる。
そして、ボールに触れた瞬間、俺に久しぶりの感覚が訪れる。
さっきまで聞こえていた歓声は聞こえない。
聞こえるのは俺の手とボールがこすれる音だけ。
俺以外がゆっくり動いているように見える。
そのうち、俺にはゴールしか見えなくなった。
いわゆる、ゾーンと言われるものに入った俺はその後、十得点を決め、試合は104対102で勝利した。
「楓。よくやってくれたな」
朝日先輩、そして狸と一緒に夜について捜索している時に少し関わった駒井先輩が俺を称えてくれる。
「俺がもっと動けていたらな」
駒井先輩はそういう。
「俺は次も出れそうにない。頑張ってくれ。」
朝日先輩は悔しそうにそう言った。
しかし、朝日先輩を失なった俺たちはあっけなく試合に負けてしまった。
そうして、早くも先輩の引退の日が来てしまった。
顧問は泣きそうにしながら話す。
こういう時は大体いつもとは違う先生の一面性が見れる。
続いて、先輩たちが話始める。
本当にいい先輩だったなと入れは思う。
いつの間にか俺は涙が出ていた。
「楓。なに泣いてんだよ」
ちょうど、前で話ている朝日先輩が笑いながらそう言う。
そう言う先輩の目からも涙がこぼれている。
そうして、引退のミーティングはすぐに終わってしまう。
先生が去った後、みんなそれぞれお礼の品などを先輩に贈った。
俺も全員の先輩に用意している。
「楓。」
そういって、朝日先輩は俺に何か渡してくる。
朝日先輩がくれた袋には練習試合用のビブスなどが入っている。
「俺の分まで頑張ってくれ。応援してるぞ。」
「先輩、、」
俺はさらに涙が止まらなくなる。
「おい、泣きすぎだぞ。あ、それからこれもやるよ。」用
朝日先輩の手にはリストバンドがある。
そのリストバンドには朝日先輩の番号の7番が刻まれている。
エースの7番だ。
「俺、頑張ります。」
「ああ。応援に来るからな。」
そういって先輩は引退してしまった。
「楓先輩。切り替えて頑張りましょう。」
先輩が去っても泣き止まない俺を霜月妹が慰めてくれる。
「ああ、すまない。恥ずかしいところを見せてしまった。」
そうして、先輩たちのバスケ部は一旦終了し、俺たちの新しいチームが始まるのだった。
バスケ部の試合が終わり、いよいよ中間テスト。そして文化祭。
テスト勉強と文化祭の準備の忙しい日々はあっという間にすぎ、いつの間にかテストは終わっていた。
そして、またいつものようにテスト順位表を見る。
一位 緑岡林太郎
二位 神谷綾華
三位 霜月有栖
四位 猿田紫耀
五位 神月桜
六位 本木力
七位 水無月蒼空
八位 如月鈴花
九位 神楽坂心
十位 文月楓
やはり、いつもと同じようなメンツだ。如月が調子を取り戻しただろうか。
そして一位は今回も緑岡。
綾華は二位に上昇しているようだ。
この前のこともあって、神月のことを考える。
今回神月は五位だ。
素晴らしい成績なのに変わりはないが、この前は三位だったから、少し下がっている。
緑岡の件で無理しすぎなのではないかと思う。
どうにかしてやらないとな。
そんなことを思いながらたまたま生徒会室の前を通る。
つい、耳を傾けてしまう。
「退学だ。」
そう聞こえ、俺は背筋が凍る。
「楓くんだ」
すると、神月が話しかけてくる。
「すまん。たまたま聞こえてしまった。」
「いいわ、また一人、、守れなかった。」
「単なる興味心で聞くのだが、緑岡が退学にさせる奴は何か共通点はないのか?」
「それもまだわかってないの。でもさっき今回の退学者について緑岡が一言言ってたんだよね。」
「なんて言ってたんだ。」
俺が聞くと、神月は答えずに聞いてくる。
「楓くん。まだ調査するつもり?」
俺はなんて言うか戸惑い、黙り込む。
「んー緑岡はこう言ってたよ。」
続いて神月が話す。
「今から退学する彼は今回の試験、学年で最下位だったって。」
最下位?それが理由なのか?
緑岡は何を考えているんだ。
混乱する俺は何も話せなかった。
「じゃあ、またね楓くん。」
そういって神月は去っていった。
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