第二十三話 義理チョコ
2月14日。
この日は一般的にバレンタインデーと呼ばれる。
女子が思いを寄せた人にチョコなどを送るのが一般的だが、友チョコだの言ってみんなに配るったりするやつも現れる。
正直俺は友チョコの意味がわからず、アンチだったりする。
まあ、貰うこと自体は嬉しいのだが、バレンタインにする必要があるのかと思ってしまう。
俺は学校につくと、一応慎重に下駄箱を開ける。
流石に何も入っていないようだ。
教室に入り、一応机の中を覗く。
ここにも入っていないようだ。
もちろん予想通りだがら一応見ておいた。
バレンタインの面白い所は他人の恋愛を見る点でもある。
バレンタインはもちろん一日しかない。だから結構意識して回りを見ていると、「今日放課後来てくれますか?」みたいな会話が結構聞こえて、面白い。
だいぶ教室が埋まってきたが、まだバレンタインの様子は全く見られない。
そういえば、いつも早く学校に来ていた上久保英介だが、退学したので姿はない。これについてはいつか真相を知りたいものだ。
そして、何も起こらず授業を迎える。
何も起こらないものなのだろうか。
まあでも本番は放課後だろう。
中々に楽しみなものだ。
昼になると少し動きが見られる。
まず俺が注目したのは鴨志田だ。
「紫耀、バレンタイン作ったから食べてね!」
さすがカップルである。
慣れたように会話を進めている。
猿田。本当に良かったな。お前が幸せで俺も幸せだ。
すると、
「放課後、時間ありますか?」
的な誘いの声も色々と聞こえてくる。
これだこれ。バレンタインとはやっぱこうでなくちゃ。
俺は紅にも注目していた。
紅が柊にバレンタインを渡すとかなり熱いのだが、どうだろうか。
「雄太。あげるよ」
「え?まじ!ありがと!」
期待通りに紅が柊に渡した。
これだこれ。激アツである。
「あ、手作りとかじゃないからね。期待しないで。あくまで義理だから」
「分かってるって。貰えるだけで嬉しいよ」
そうだそうだ。貰えてない男がここにいるのだから感謝すべきだろう。
紅は義理だと言っているが、実際はどうなのだろうか。
やはりバレンタインさ面白いな。
だが、やはり好きだったら手作りを作る気もする。
俺は真剣に考えるが、全く分からない。
まあいいか。
放課後の事だった。
「水無月くん。ちょっとだけいいですか?」
一人水無月を訪ねる者がいた。
申し訳ないのだが、名前は分からない。
うん、行くしかない。
「楓くん、またそんなことするんですか?」
「霜月か。バレるか?」
「私にはそう感じましたよ。でも水無月くんの恋愛は私も気になります。」
「だよな。また一緒に行くか」
そうして、水無月を追った。
「ずっと好きでした。付き合ってください。」
その女子はチョコを渡しながらそう言う。
ちょうど俺のポッケに入ったスマホが鳴るが、バイブにしていたため、たぶん大丈夫だ。
「ありがとう。でもごめん。」
「そっか、、ごめんね。よければ理由っていうか、、」
「好きじゃない人とは付き合えない。それだけだよ。」
カッケー!カッケーよ水無月。俺も水無月に惚れそうになる。
水無月。やはりお前はモテないわけではなさそうだな。きっとお前なら来年にでも彼女が出来ていることだろう。
水無月たちはその場から去っていった。
「楓くん。すみません。ちょうど二人なので、今渡しちゃってもいいですか?いつ渡すか迷っていたんですよ」
「え?」
「チョコですよ。そんなに驚きますか?」
「え、いや、、」
「どうぞ、頑張って作ったんですよ」
「ありがとう。」
思わず、俺は照れてしまう。体も少し熱い気がするが、気のせいだろう。
そういえば、この前霜月が、料理楽しみにしててくださいみたいなこと言ってたな。
教室に戻ると、みんな賑わっている。
貰えなかったと嘆く人もいれば、喜んでいるやつもいる。
中々面白かったな。そろそろ帰るとしよう。
「楓!!!チョコもらったか?」
Aクラスを通る時に本木に呼び止められる。
「一応、な。お前はどうだったんだ」
「何!!!貰っただと!?俺はもちろんゼロ個だぞ」
やはり本木はうるさいが面白いやつだ。
「あ、楓くんいた!これ、貰ってくれない?」
本木と廊下で話していると、突然神月が来た。
「お、本木もいた。あげるよ」
神月は俺と本木にチョコをくれた。
「1個。1個目だあああああああ」
本木は一人叫ぶ。
「ありがとう。神月。気を遣わなくていいのに。」
「楓くんとは結構仲良くしてると思ってるんだけどな。」
確かに神月とも最近結構話すな。
「そうだな。ありがとう」
そうしている間も本木は叫んでいる。
「うるさい。義理だからな。」
神月はそう言う。
俺は興奮している本木を置いて帰る。
神月がくれたチョコ。義理でも義理じゃなくても、嬉しいな。
そういえば、水無月を見ている時に通知なってたな。俺はスマホを見る。
綾華「今日一緒に帰りませんか?」
「楓。急に読んでごめん」
「大丈夫だ。」
そうして綾華と二人で帰ることになった。
「楓。今年は貰えたのバレンタイン。」
「それがな。二つも貰ってしまった。どちらも義理だろうがな。」
「ほんとに!楓も成長したね」
何かバカにされているような気がする。でも事実か。
「なーんだ。今年も楓にあげるのは私だけかと思ったのに。はい。」
綾華はそう言って俺にチョコをくれた。
「今年もくれるのか!ありがとな綾華。あれ手作り?初めてじゃないか?」
「せっかくだから作ってみたの。おいしくなかったら、、食べなくて、、いいから、、」
「ありがとう」
まさか、今年三つも貰えるなんて思ってなかった。
どれも本命かは分からないが、きっとみんな義理なんだろう。
家で食べたチョコはどれも美味かった。
霜月のはチョコケーキのような感じになっており、非常に美味しかった。味も甘すぎず、絶妙だった。
神月のはザ・チョコといった普通のチョコの形をしていたが、これもまた美味しかった。甘ものから苦いものまで入っており、飽きずに楽しめた。
綾華のはチョコに加えて、クッキーまで入っていた。そのクッキーは非常に美味しく、綾華は料理が上手いことを再認識した。
みんな、ありがとう。
お返しを何にするのか非常に迷うが、それを渡す時はBクラスも解散の頃だろうか。
退学者 ○○○○
この日も一名の退学者が出たのだった。




