第十七話 テスト開始
昨日林間学校が無事終わり、今日からまた日常に戻る。ホームルームがそろそろ始まろうとしている所、まだ疲れが残っている俺はあくびをして先生が来るのを待つ。
「おはよう。林間学校お疲れ様でした。今日からテスト期間なので各自勉強頑張るように」
先生はそれだけ言ってホームルームが終わる。いつも思うが俺の担任はありがたいことにホームルームが短い。
にしても色々あった三日間だった。
バスケ部についても中々捜索が進んだ。
一番驚いたのは猿田が付き合い始めたことだがな。
もちろん、朝から少しクラスでは話題になっていた。
これについては柊と三人でよく会議をして、「非リア三人衆は今日で解散だ。」なんて言っても良かったのだが、俺は素直におめでとうとだけ言った。
ふと隣を見ると霜月は今日もポニーテールをしている。
「霜月は昨日からポニーテールにしたのか?」
俺は聞いてみる。霜月のポニーテールはかなり刺さる。
「あ、はい。昨日やってみたのですが、結構いいかなって。
「気分で変えるとは思いますが、、似合っている、、でしょうか?」
照れている顔で霜月が言った。
「ああ。似合っていると思う。」
俺は素直に感想を伝える。
「ありがとうございます。」
そういう霜月は嬉しそうだ。
授業も始まろうとしているが、今回のテスト期間は今まで以上に頑張らないとな。テストはちょうど二週間後だ。
猿田は鴨志田と勉強するのだろうか、そうなると俺は教えてもらいずらくなるな。1人で俺は悲しくなる。
「楓!みんなで勉強しないか?」
この日は全ての授業が終わると水無月が誘ってくれた。
「やろう。俺は今回はトップテンに入ることにした。」
「あとは緑岡とか猿田に柊誘うか?」
「緑岡は分からないが、猿田は、あれだろ」
「そっか、付き合ったばっかでまだまだイチャつき足りんか」
水無月が真面目な顔でそういうので俺は笑ってしまう。
「緑岡、柊!勉強しようぜ!」
水無月が声をあげる。
「いいぜ!」
柊はもちろんOKなようだ。
「鈴花がいてもいいなら」
緑岡はやはり如月とセットか。
「霜月さんもしようよ」
近くで如月が霜月を誘っている。
「良いのでしょうか?」
「もちろんいいぜ!」
水無月が答える。
そうして俺は水無月、緑岡、柊、如月、霜月の、六人で勉強した。
かなり集中することが出来た。
突然教室の扉が空く。
「楓いるか?勉強しないか?」
本木がやってきた。
「今日は無理だ。明日にでもやろう」
俺がそういうと、
「そうか、俺らはいつでもいいらからな!」
本木はそう言って教室を去っていった。
そうして、今日も一日を終える。もっとテストが近づけば家でもするのだが、今日はまだいいだろう。
次の日。今日は本木たちと勉強だ。
放課後になると俺はAクラスに向かう。
Aクラスに入ると本木たちは俺を席に座らせる。
「俺がAクラスで勉強してもいいのか?」
一応聞いておく。
「もちろんだぜ!神月もいるしな」
隣には確かにCクラスの神月の姿だ。
今日もまた頭のいい人たちに囲まれて、勉強が出来そうだ。時々久保や狸の件を思い出すが、テストの邪魔になるため、忘れようとする。
最近は夜や朝日先輩よりも狸が何をしたのかが気になってしょうがない。テストが終わったらまた吹雪先輩と話でもするか。
この日は綾華、本木、神月と勉強をする。
「綾華ちゃんと楓くんは幼馴染なんだっけ?」
神月の急な質問に俺も綾華も頷く。
「幼馴染なんかいねーよ!」
本木が1人で嘆く。
「いいよね。幼馴染って、憧れるかも」
神月が言う。確かに昔から仲がいいのは綾華くらいかもしれない。
綾華は神月に言われて嬉しそうにしている。
そういえば、本木と神月は恋人がいないのだろうか。聞いてみても良かったが、こうして俺たちといるということはいないのだろうか。
本木はイケメンとは言えないが、頭もいいし、運動できる。なにより良い奴だ。
神月は俗に言う美女で、スタイルも良く、俺は天才だと評価しているため、そのうちすぐ彼氏ができるだろう。
こうやって他のクラスの友達と仲良くするのもいいな。俺はしみじみとそう思った。
本木たちとの勉強が終わり五時頃俺は家に帰る途中、突然霜月に会う。
「楓くんは帰る所ですか?良かったら一緒に勉強しませんか?」
霜月が勉強に誘ってくる。本木たちとの勉強は早めに終わったので、まだまだ勉強はできる。
「勉強するのはいいが?どこでやる?」
「えーと、、私の家とかどうでしょう」
まさか家に招待されるとは。俺も年頃の男子だ。色んなことを考えてしまう。
「嫌でしょうか?」
「いや、霜月がいいなら行こうかな。」
俺はそう言って霜月の家に行ったのだった。
「失礼します」
俺はそういうが、家には誰もいないようだ。
「兄弟とかいないのか?」
「いますよ。妹が。」
聞いてみたが、霜月は妹がいるらしい。
俺は平然を装っているが、心臓はバクバクだ。初めての女子の家。そして、霜月の部屋に入る。非常に整
理整頓されていて、綺麗な部屋だ。シンプルであるが、どこか可愛さも感じられる。
家に誰もいる気配はないので、妹はまだ帰ってきていないのだろう。
「じゃあここに座っていてください」
霜月がそういうので俺は座って霜月を待つ。
すると霜月はお茶と軽いお菓子を持ってきてくれた。
「手作りのお菓子を持ってきました。なんて言ってみたいですが、残念ながら普通のお菓子ですよ」
「ああ、ありがとう」
霜月も面白いことを言うものだ。
「別に、料理ができない訳ではないですよ!そのうち、何か作ってあげますから」
焦る様に霜月は言う。
「ああ、楽しみにしておく。」
そうして勉強を開始するが、霜月とは至近距離で、あまりにも集中できない。
勉強に疲れたころ霜月は軽く俺に寄りかかってくる。
「疲れました。」
霜月はとても平然としているが、俺の心臓の鼓動は早くなるばかりだ。
「霜月。まあ、なんというか、あまりそういうことしすぎるなよ」
焦りのあまり変な事を言ってしまっただろうか。
「別にしませんよ。」
霜月がそう言う。俺じゃなかったらここで霜月を襲う者も多いだろう。だが、俺の心は結構堅いのだ。それに付き合ってない人とそういうことはしたいとは思わない。
その後は霜月が寄りかかる以上の接触はなかったが、かなり濃厚な時間を過ごした。あまり勉強は進まず、霜月と話してばかりだった。服越しに触れ合っていたため、手汗がすごい。
本当に緊張した。
「じゃあ、また明日な霜月。」
「またいつでも来てくださいね。」
霜月はそう言うが、しばらくは遠慮しておきたい。
そうして俺は二週間みんなと勉強に励み、テストももう明日となる。この二週間は勉強と麻雀以外しなかった。
テストが終わるともう2月か。
もう一年生が終わるのも近いな。本当に早かった。
このクラスが終わってしまうのはなんとも惜しい。
明日のために早く寝ないとな。俺はいつもより早く眠りについたのだった。
テスト当日。
テストは始まる。
教科は、国語、数学、化学と初日から重い教科だが、無事一日目を終える。国語は元々得意教科だったこともあり、かなり自信がある。数学も化学もそこそこできただろう。
二日目。教科は歴史、生物、英語だ。
今回のテストは6教科らしく、今日で終わりだ。
あとは明日以降のテスト返し、そして順位発表だけだ。
その日はテストが終わったこともあり柊たちと遊んだのだった。
次の日。テスト返しだ俺。
「テストの順位についてなのだが、今年からうちの学校AIなど使って作業効率の上昇そして先生の負担を軽減することになった。それによって丸つけなども早く終わるだろう。明日にでも順位は張り出されるかもしれない。」
ホームルームに先生はそういった。
クラスはザワつく。そんなに早くなることなのだろうか。みんな驚くことだろう。先生という職業もAIに乗っとられてしまったら終わりだ。でも丸つけなどを効率化する分にはいい使い方だろう。にしても金がかかりそうだなと思ったが、そういえば俺の学校は私立なこともあり金があるのだった。恵まれた学校に来たなと思う。
この日は都合よく全教科返されるそうだ。
午前中返されたテストをお昼休憩に見返す。
国語は94点と非常に高かった。
生物は88点とこれも十分だろう。
化学は90点だった。
歴史は90点これも得意教科の一つだ。
少しやりすぎた。
このまま行くとトップ5にもなってしまうかもしれない。
「楓くん!テストどうでした?」
霜月が聞いてくる。俺は点数を全て教える。
「すごいじゃないですか!」
親のように霜月は褒めてくれた。
「霜月はどうだったんだ。」
「国語は92点、生物は90点、化学は93点、それから歴史は95点です。」
問題は5.6時間目だ。頑張った英語と、余裕だろうと実はノー勉の数学だ。あんなに自信満々だったのに、何故か俺は数学の勉強をするのを忘れていたことをテストが終わってから気づいた。本当に意味がわからない。実は授業もまともに受けていない数学。赤点でもおかしくは無いのだ。
まあ、仮に赤点を取ったとしても、他の教科で十分補えるだろう。
「はい英語のテスト返しますよー」
ついにその時は来てしまう。みんな順に取りに行く。
「文月さん」
テストを返され、自分の席で確認する。
「どうでした?」
霜月は授業中に聞いてくる。
俺は答案だけ霜月に見せる。
96点。
霜月は驚いた様子だ。霜月も見せてきたが、94点である。
気分がいいままの6時間目だ。
今の俺は誰にも止められない。そんな気分である。
ウキウキしながら俺は数学の答案を見る。
が、一瞬にしてそれは崩れる。
それに気づいた霜月がこちらの様子を伺う。
「28」
俺の声は今日一小さい。悲しい哀れな声だ。
霜月も動揺を隠せない様子だが、俺を慰めてくれる。
「そんなこともありますよ。英語ができたならいいじゃないですか。また次頑張りましょう」
そういう霜月は点数を見せてこないため、俺が聞いてみる。
「俺のことは忘れてくれ。霜月はどうだった。」
「私は、、」
霜月の答案には100と書いてある。
「マジか。おめでとう」
もしかして、俺に気をつかって俺に点数を教えなかったのだろうか。
「たまたまですよ」
霜月はそう言った。かっこいい言葉だ。
もしかして、補習とかあるだろうか。
「先生!補習ってありますか?」
俺はみんなの前だが、聞いてみた。この際みんなの前だとかどうでもいい。
「ありますよ。」
やらかした。
流石に、最低限は点数は取っておかないとな。
ご愛読ありがとうございました!
ぜひぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!!
では、またお会いしましょう!