第十六話 猿田紫耀という男②
林間学校。俺は鴨志田とグループを組むことが出来た。ほかのメンバーは柊、紅、委員長だ。
俺はあの日のことを忘れていない。あの日、俺の口から出そうになった言葉を。
「鴨志田、俺、、、」
俺は言いかけた。
「ごめん、やっぱなんでもない」
でも最後まで言うことは出来なかった。
でもあの日から俺は決めている。
いつか鴨志田に俺から告白すると。
俺が鴨志田に見合う男になった時に。
林間学校二日目。自由行動だ。午前中は観光スポットを回ったのだが、午後からはショッピングモールで好きなものを買ったり、お土産を買う時間にした。
「俺、紅とあそこ見に行ってくるわ」
そういって柊と紅は好きなところいいってしまった。その場には俺と鴨志田、委員長の三人なる。
「じゃあ俺も好きなところ言ってくるわ」
気を遣ったのか、気まずくなったのか委員長も行ってしまった。そして俺は鴨志田と二人きりになった。
「鴨志田、いきたいところあるか?」
俺は特に行きたいところもないので、鴨志田に聞く。
そしてしばらくは鴨志田の買い物に付き合った。
「猿田君ついてきてくれてありがとう。猿田君は行きたいところないの?」
「俺は大丈夫かな。疲れたからカフェで休もう」
俺が誘い、二人でカフェに行くことにした。
二人で世間話などで盛り上がる。
こうして鴨志田と二人なのはあのクリスマス以来な気がする。
もしかしたら今、あの日のリベンジのチャンスなのではないか。
俺はあの日を思い出す。
俺が告白したら鴨志田はなんと言うのだろうか。
俺の気持ちに答えてくれるのだろうか。
鴨志田は俺のことをどう思っているのだろうか。
俺は鴨志田に見合う男になったのだろうか。
こんなことを考えても、結局は告白しないと始まらないのかもしれない。
「猿田君?」
一人で考えるあまりボーっとしてしまった。
「あ、ごめん。鴨志田と俺ってどうやって仲良くなったっけなあって考えててさ」
慌てて俺はこんなことを言う。
「確かに。私と猿田君ってどうやって知り合ったんだっけ。」
鴨志田はそういうが、俺はあの日のことを忘れていない。
俺が聞いた質問だが、鴨志田と会った日のことなんて、俺が忘れるはずがないだろう。
高校に入って何日か経ったある日のこと。
俺は授業の間の休憩中に隣の席の女子に話しかけられる。
確か自己紹介で鴨志田葉月と言っていた気がする。
「猿田君で合ってる?さっきの数学の問題解けた?」
「猿田紫耀だ。たしか鴨志田さんだよね。」
俺はそう言って鴨志田のノートを見て解説した。
「ありがとう。猿田君って頭いいんだね。また教えてね。」
これが俺と初めて鴨志田と話した日のことだ。
隣の席というのもありこの日以降はかなり話すことも多くなった。
特に仲が深まったのはきっとテスト期間のことだろう。
「猿田君今日暇?一緒に勉強しない」
鴨志田から声をかけてくれた。
俺は楓とかを誘ってもよかったのだがこの日は鴨志田と勉強することにした。
時に鴨志田に教えながら俺は自分の勉強をしていた。
ふと隣で頑張っている鴨志田の顔を横目で見る。
クラスでは静かめであまり話さない女子だと思っていた。近くでこうしてみると非常に美人なのが分かる。
「どうかした?」
つい見とれていると。鴨志田にこう言われる。
「いや、何でもない。」
つい至近距離で目が合い、恥ずかしくなった俺はそっけなく返事をしてしまう。
体が熱い。きっと俺が鴨志田を意識し始めたのはこの日からだっただろう。
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林間学校二日目の午後。私は今猿田君と二人でカフェに来ています。
「猿田君?」
ボーっとしている猿田君に私は言います。
「あ、ごめん。鴨志田と俺ってどうやって仲良くなったっけなあって考えててさ」
「確かに。私と猿田君ってどうやって知り合ったんだっけ。」
私はこう答えておいたけど、私は初めて話した日のことを今でも鮮明に覚えています。
「猿田君で合ってる?さっきの数学の問題解けた?」
私はこの日勇気をだして猿田君に話しかけてみました。
入学してから、ずっと隣の猿田君のことが気になっていました。
彼は授業中いつも淡々と問題をこなす。
彼はいつもかっこいい顔をしていますが、私は猿田君が勉強に集中しているときの顔が一番好きなのです。
でも猿田君と話す機会は全然訪れません。
そして、私から話しかけてみることにしたのです。
最初はわからない問題だったのですが日に日に私は分かっている問題でもつい猿田君に聞いてしまいます。
私はそこまで馬鹿でもないので授業をちゃんと聞けばある程度は理解できます。それでも、最近は分かっていても猿田君に聞いてしまうのです。
勉強をきっかけにすれば猿田君と自然と話すことができます。それから私は花火大会にもクリスマスにも猿田君と遊ぶことができました。どちらも私から誘ったのですが、それでもいいのです。
時々考えます。猿田君は私のことをどう思っているのだろう。
私はいつの間にか猿田君のことが好きになっていました。
それでも私からは告白しないと決めています。
猿田君のことが好きになった日から私はずっとそう決めています。
私は絶対に猿田君に好きなってもらって、猿田君から告白してもらうのです。
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鴨志田。そろそろ言ってもいいだろうか。
今、二人で遊んだり思い出の話などの話盛り上がっている。
二人の雰囲気も今までにないくらい良い。
「なあ鴨志田。」
今の俺にならきっと言える。
「どうした?猿田君」
もしかしたら振られるかもしれない。
クリスマスのあの日、俺は振られることを恐れ、直前で言葉が詰まってしまった。
でも、今は振られてもいい。
俺はこの気持ちを、気持ちだけでも鴨志田に伝えたい。
「好きだ。良ければ俺と付き合ってほしい」
カフェで言う言葉かどうかは俺にはわからない。周りの人に聞こえるかもしれない。
でもそんなことは今はどうでもいい。
鴨志田に話しかけてもらえて、嬉しかった。
教えてと言ってもらえたのも嬉しかった。
花火大会に誘ってくれたのも、クリスマスに誘ってくれたのも、全部嬉しかった。
俺から誘いたいこともたくさんあったが、俺には勇気がでなかった。
告白だけでも、俺から言いたい。仮に振られたとして
も。
「ありがとう。猿田くん。私で良ければよろしく。」
鴨志田は言った。
俺の体は今までにないくらい熱い。
「いい、のか?」
鴨志田の返事に驚いた俺はそう言った。
「ずっと、待ってた。」
鴨志田はそう言って俺の肩に寄りかかってくる。カフェじゃなかったら抱きしめていたかもしれない。
「私もずっと猿田君が好きだったんだよ。」
寄りかかったまま鴨志田は言った。
神様。俺はこんなにも幸せでいいのだろうか。
俺は鴨志田を一生大切にする。そう心の中で決めた。
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