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第3章 恋愛も事件も全部俺がスパイする
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135 アフターケア

 

「おはよ。楓くん。」


「あ、ああおはよう。」


 休日が終わると、また学校が始まる。

 昨日のことはもちろん覚えているし、頭から離れないのが事実だ。

 なのにそんなことを忘れたかのように、あたかも、もともとなかったかのように神月は俺に声をかけてきた。


「どうしたの?」


 どうしたのって、とぼけている神月が怖いとまで思えた。

 あんな雰囲気になったら、次に会うときは気まずくなると思っていたが、そうではないようだ。


「いや、なんでもない。」


 ならば、俺も昨日のことは引きずらないようにしよう。

 忘れようと思えばいくらでも忘れられる。

 たまに無意識にも気にしてしまうことはあるのだろうが、もしそれが起ったなら俺はそれを恋だと解釈することにする。


 ーーーーーー


「ごめん有栖。」


「いいえ、全然。お願いとは何でしょうか。」


「紅と話せるか?」


「紅さん、、ですか。まあ、全然話せますけど…」


 紅茜。

 今は違うが、柊雄太の元カノというところ。

 柊と紅の関係。

 それは伊達の流した噂によって壊れてしまったのだが、一つ気になる点があった。


「この前柊に聞いたんだ。」


「柊くん。ですか。」


「伊達と話したみたいだ。あれだろ?伊達が紅と浮気をしたって噂だったから。」


「そうみたいですね。」


 ーーーー


「なあ伊達。」


「どうしたんだ。柊。」


「お前が浮気相手だとは思わなかったよ。」


 伊達は何も言わない。


「なんか言えよ。」


「何か勘違いしてないか。柊。」


「あ?何がだよ。」


「はあ。まあいいか。」


「お前、本当に茜のこと好きなのか?それだけ聞ければ、もう文句は言わねえ。」


「ああ。好きだよ。」


 ーーーーーー


 みたいな会話をしたみたいだ。

 柊から聞いた話を有栖に伝える。


「今伊達くんと付き合ってるのか知りたいってことですか?」


「ああ。そういうことだ。」


 これが気になる原因は二つ。

 伊達の思惑がちょっとでも分狩る可能性があるということ。

 そしてもう一つはシンプルな好奇心。

 正直、紅の浮気だとしても浮気じゃないとしても柊と別れた後に伊達と付き合っているのなら、紅はそれまでの女だったということになる。


「まあ、分かりましたよ。」


「すまない。」


 そうして、有栖にたのむ。

 柊と茜の件を調べる。


 そして、それを調べるなら、

 誰

 猿田の件もだ。


 有栖と別れた後、学校の敷地の外に神無月夜を呼んだ。


 調べるのは猿田紫耀の元カノである鴨志田葉月。

 紅はそもそも友達が多いし、有栖も話せるため、誰でも解決できそうだが、鴨志田は特別明るい性格でもないので、誰がいいか思いつかなかった。


 そこで呼んだのが神無月夜。

 クラスの女子グループ岩下だったり如月だったり。

 その中に夜と鴨志田も含まれると俺は思っているため、夜が候補に挙がる。

 後は女子からも男子からも人気なこと、それもあって情報力には長けていることを加味してよるを飛んだ。


 メールで呼ぶときに内容を聞かれたため、事前にメールである程度話はつけてあった。


「すまんな夜。」


「別にいいよ。鴨志田さんだっけ。」


「ああ。猿だとどうなったのかそして今はどうなったのか。」


 猿田の件を調べる必要はもしかしたら、いや全くないのかもしれない。

 でも、猿田から聞いた話だと、鴨志田に迷惑をかけたくないと言って、猿田が別れを告げたと言っていた。


 俺が調べたい一番の原因は猿田のためだった。

 それがどんな影響を与えるかは分からない。

 でも鴨志田なら、唯一猿田を元気づけるんじゃないかと思った。

 それはもちろん柊にも言える。

 俺が元気づけられるならそれが一番だし、喜んでするが、それができないからこそだ。


「まあとりあえず、鴨志田さんと猿田君の現状と別れた原因みたいなの調べとくね。」


 さっきから視線を感じる。が、何者かはすぐに判断がついた。


「ああ、頼む。」


 調べたいとは言っても、こういうのは女子を通してやった方が早い。


「ほんと、何考えてるのかわかんないけど…」


「すまん、友達のためだ。」


 それが友達なのか、今まで友達が少なかった俺には分からないが、きっと友達なら、こういう時にたすけてやるものだと、そう思っている。


 有栖や、神月、それこそ猿田や柊自身にそう教えてもらったからだ。


「楓せーんぱいっ。今度はどんな女連れてるんだ~と思ったら、夜先輩じゃないですかあ。」


「凪ちゃん…」


 夜と凪はバスケ部真似として関わりがある。


「確かに夜先輩もかわいくていいけどさ~楓先輩~」


「凪ちゃん、そういうのじゃないって。」


「分かってますって~からかっただけですよ~楓先輩はなんで黙ってるんですか?」


「特に喋ることがない。」


「えーありますよ。」


「話があるから俺の後をつけてきたんだな。」


「あれ、ばれてました?ま、そゆことで、話が終わったなら夜先輩は返ってもらって。」


「すまない夜。またな。お願いの件は後で恩返しさせてもらう。」


「うん。じゃーね!」


 そういって夜は去っていった。


「なんだよ。」


 凪がつけてきているのは分かっていた。

 俺と夜の話を聞いている様子はなく、単純に俺と話したいだけのように見えたから、特に隠さず夜とは話した。


「クラスマッチ、学年全体みたいじゃないですかあ。それです。」


「それがどうしたんだ。」


「いろいろ考えたんですよ。楓先輩のクラスに勝つとか。でも~決めました。私、優勝しちゃいます。」


「そうか。頑張れ。」


「もう~冷たい。」


「別に俺は優勝を狙ってない。好きなだけ優勝してくれ。」


「いや、だから、これだけで話し終わるわけないじゃないですか~」


「引き伸ばさないで早く言ってくれ。」


「私が優勝したら、付き合ってください。」


「は?」


「えへへ。お願いね。」


「じゃあ、俺がすることは何もなく、ただお前が勝つか負けるか見てるだけと。」


「いや?私と付き合いたくないなら楓先輩が本気出して優勝してくれないと~」


「別に俺が優勝しなくてもお前が優勝するとは限らんだろ。」


「いや、女子競技は私が荒らすんで、男子はある程度勝ってもらう。私が優勝しちゃいますよ。」


 確かにクラスマッチの得点配分的にも一人の実力のある生徒がいれば、そいつに競技を二個出てもらいどちらも優勝してしまえば、一気に総合油症も見えてくる。

 特にバスケなんかは、一人うまい人がいればクラスマッチ程度ならなんとかなる。


「付き合いたくないなら本気出せってことか。」


「そゆこと~」


「でも、俺がこの条件を飲まなければ、そもそも交際が成立するころはない。」


「いや、駄目だよ。もう決まり、私が彼女になったら、どれだけ楓先輩が否定しても私が彼女ずらしてずっとついて行くんだから。」


「そうか。なら考えておく。」


「お願いね~じゃあね!」


 凪はあっさりと去っていく。


 まあ、ちょうど緑岡を倒すついでに優勝もありか。

 神月も優勝を狙ってるみたいだし、それの協力という意味でも。

 優勝を狙う者同士、神月対凪という構図が生まれそうで、中々楽しみだ。


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